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職員室での出来事。

職員室へ向けて歩いていると、他のクラスでもホームルームが終了したようで多くの生徒たちが教室から出てくる。これから寮に帰るのだろう。もしくはクラブの見学か。


(俺も早く帰って寮の片付けしたかったのにな。まったくついてない。)


ふうと溜息をつきつつ、職員室へのろのろと向かう。



大した時間もかからずに到着したそこへ、ノックをしてから入室する。


担任をさがして室内を見渡すと、さっそく女子生徒が群がっている担任を発見した。


声を掛けるのは心の底から嫌だったが、言われていた事を無視するわけにもいかない。

重たい脚を引きずって、そこへと近付く。



「あの、雨宮先生・・鳳ですが。」



嫌々声を掛けると、担任へ群がっていた女子が一斉に振り向いた。


「え?誰ぇ?今先生は私と話し中なの!悪いけど邪魔しないでほしいんだけど。」


1人の女子生徒が不快もあらわに言った。

その言葉に反論したのは思いのほか一緒にいた女生徒たちだった。


「はぁ!?何言ってるの?先生が話してるのは私よ。あなたこそもう質問は終わったのでしょ?早く帰ったらどう?」


それに先程の女子生徒が反論し、なんだか険悪な雰囲気となる。

予想に違わず、ぎゃあぎゃあと言い合いが始まった。

さすがに慌てた担任教師が止めに入るが、女子は興奮していて担任の声も届かないようだ。

周囲の教師たちはというと、やれやれと呆れた様子を見せているが止める気はないらしい。


近くに居た年配の教師が、「また始まった。」と一言ぼやいたのが聞こえた。


つまり、日常茶飯事ってことか。




早く帰りたいのにな~とうんざりしたが、しばらくその場で眺めていると1人がもう1人の女子の肩を押しやった事で押された生徒はバランスを崩した。



「危ない!!」



気付くと体が動いていた。女子生徒が倒れる寸前に、腕を背中にまわし抱きとめる。

幸い何処にも体をぶつけることなく済んだようだ。



彼女は何が起きたのか分からないと呆然とした様子で、俺の顔を見上げた。


「よかった。ケガはないみたいだな。こんなところで揉み合ったりして、可愛い顔に傷でも付いたらどうすんの?女の子なんだから大事にしなきゃだめだろ。」


少し呆れた様子で女子生徒を諭すと、彼女は耳まで顔を真っ赤に染め上げた。


「あ、ああああああ・・ありが・・とう。」


彼女は一言お礼を述べると、恥ずかしそうに慌てて職員室を後にした。


「あれ?先生に用事だったんじゃないのか?」


先程まであれほど担任と話す事に執着していたのに、あっさりと去ってしまった女子生徒に首をかしげる。

女子ってわかんね。



職員室のドアから担任へと視線を戻すと、呆然とした様子で見つめられていた。

周囲の教員も、先程騒いでいた女生徒も同様。

なぜこんなにも注目されているのかわからず、居心地悪い。


「おまえ、見た目平凡なくせに王子様みたいだなぁ。」



意味が分からない。

担任はとりあえず見た目にばかり栄養がいって脳には栄養が足りていないのだろう。



「おい!お前失礼なこと考えてるな!!」


残念なものを見る目で担任を眺めていたら、ムッとしたように頬を染めて睨んできた。

なぜ頬を染める。きもい・・・




「とりあえず、お前は生徒指導室だ。ほらついてこい!!」




そうして雨宮に手を取られ、俺は職員室をあとにした。



他の女子たちはいいのか?


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