第一話 非日常
本小説の視点は主人公で固定となっております。
ご理解お願いします。
【プロローグ】
運命は、ときに人を無差別に巻き込む。
その対象は――人を選ばず。
あるところの中学校――泉野北中学校。
今年から入学した66回生は超がつくほどの個性的な人物が集まっていた。
これは、1年3組に所属する6人が繰り広げる、壮大な物語である。
【第一節 - イカれたメンバーを紹介するぜ!】
「Guuuuuten Morgen allerseits……って、もうお前来てるのかよ」
私――宵宮龍也はこの中学校に通う一年生だ。
小学校の頃は殆ど私が一番に教室に入っていたくらいなので登校の早さには自信があった。
しかしこの中学校生活ではどうもそうはいかないようだ。いつも2~5人程教室にいる。
「げ」
「げとはなんだげとは」
こいつはそのうちの一人――旭代燎だ。
彼は中学校で初めて出会った人物だが、係が同じになり、話していくうちに自然と友達になった。
まだ騒がしくない教室に入り、自分の机に向かう。
自分の荷物を下ろして中身をとり、一通り準備を終わらせるとかばんを後ろのロッカーに入れる。そうして準備が終わるとチャイムがなる8時25分までは自由時間のようなものだ。勉強する者、友達と話す者、他クラスに遊びに行く者など様々な行動が行われている。
私は大抵、この後は燎と他愛もない会話をする。席が前なので変に動く必要もなく、互いに席に座ったまま会話ができるからだ。
「お前何してんの?」
「数学の提出物」
「なんで終わらせてないんだよ」
「部活とかで忙しすぎるんだよ察しろ」
燎は吹奏楽部に所属している。なので自由時間は多くはないらしい。一方私は情報研究部所属、かなりアットホームな部活だと自分でも思っている。
「……あれだな、頭のネジ外れてるやつらがこん限りは静かだなこの教室」
「今更?」
「うるせぇよ」
今は8時弱なのであまり生徒はいなく静かだ。だが、ほぼ全員が集まると騒ぎ立てるクラスへと変貌を遂げる。
「んだがまあそろそろ何人か来るか」
「おはよー」
「噂をすればハゲ!違う影!」
「シバかれるぞお前」
今来たのは東雲円花。まーなんというか、頭はいい方だが休み時間は頭のネジがぶっ飛ぶタイプの人だ。
それで、円花が来たとなると……
「おはよう」
やっぱり来た。彼女は東雲愛海。少し天然寄りの真面目な性格の人だ。ちなみに、円花とは姉妹じゃないし、なんならこの学校は東雲が6人程度いるくらいにはレアリティが下がっている。
ただ、円花とは結構仲がいい。
数分、私は燎と話し続けていた。特にやらなければならないことがあるわけでもないので、強いていえば燎の手伝いを多少したくらいだ。
そうして今、また一人教室にやってきた。
「おはよー!」
「おっはー」
彼は暁皨瑠華。やわらかい性格とでも言うべきか。だが、円花とかの前では結構ガッツリいくタイプ。腐っても男って感じ。
それから程なく、もう一人やって来た。
「はぁあっぶねぇ遅れたかと思った」
「うっわ」
「もう17分だぞそろそろ早く来るよう心掛けたらどうだ」
「いやね?私はね?早く行こうとしてるんですよ。でもね?颯汰が出るのが遅いんですよ!」
「置いてけ颯汰くらいw」
「うわーあなたそんなやつやったんや」
「は?」
この今来た馬鹿は昏崎悠月。自他ともに認めるコミュ障陰キャだ。悪口に聞こえるかもしれんが本人が言ってるんだからしょうがない。
ちなみにさっきチラッと話に出てたのは新條颯汰。まあまあ頭のネジがぶっ飛んではいるが……別のクラスだし関係ない話か。
ま、なんというか…… 日常って混沌としたものだな。
【第二節 - なんだこの展開は!?】
今日も特に変わったことはなく、授業を受けて、給食を食べて……と、気づくと昼休みの時間になっていた。
次の授業は数学。そして用意は整っているため、ここも自由時間だ。
「おーい燎正式名称クイズやろうぜー」
「いいで」
「私が略称言うから正式名称を言ってね!」
「わかっとるわかっとる……」
「んじゃあ……ボールペン」
「ボールポイントペン」
「シャーペン」
「エバー・レディ・シャープペンシル」
「ペペロンチーノ」
「アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ」
「残念アーリオオーリオ・エ・ペペロンチーノでしたー」
「殺すぞ(純粋な殺意)」
「そーりーぽーりー」
「続き行くよ、教科書」
「教科用図書」
「バンコク」
「クルンテープ・プラマハーナコーン・アモーンラッタナコーシン・マヒンタラーユッタヤー・マハーディロック・ポップ・ノッパラット・ラーチャタニーブリーロム・ウドムラーチャニウェートマハーサターン・アモーンピマーン・アワターンサティット・サッカタッティヤウィサヌカムプラシット」
「きっしょ」
燎は記憶力が化け物だ。なのでこういう正式名称クイズにはめっぽう強い。他にも長いので有名なピアノも覚えている。
「えーっと次は……」
オーストリア=ハンガリー……そういうつもりだった。
その言葉を言う直前に、教卓の上に縦に長い八面体、言うなればひし形のような形をした青白い物体が突如現れた。
それと同時かすぐ後に青白い光が発せられ、目が焼けるほどの明るさに瞼を閉じないと死ぬかのような威圧感を覚えた。
数秒で光は弱くなり、目を恐る恐る開けた。
あの物体はまだ教卓の上で浮いている。
「……なあ燎、あの光から連想されることはさ……」
「……やっぱそうよね」
「デーモンコア!?」 / 「デーモンコア!?」
なぜだか知らんが直感で嫌な予感を感じた私は辺りを見回してみた。
皆が驚いているのは当然として……私はそれよりも不可解なことに気づいた。
愛海がいない。
別に彼女は教室の外にいたわけでもない。先程まで円花たちと会話をしていたような気もしていた。
「……愛海消えてね?」
震える声で燎に問う。恐らく私の顔は表情筋がひきつって笑った顔になっているであろう。
「……え、ほんとやん……どこいったん?あの人」
「知らんけど……なんか、嫌な予感しかしない。」
私は席を立って瑠華のところに行った。愛海の席は瑠華と円花と近いからだ。
「愛海どこ?」
「え?」 / 「え?」
2人ともどうやら把握できていなかったらしい。すぐに愛海の席の方を向いた。
「えほんまにおらんや――」
その言葉を言い終わる前に、瑠華の体から青白い光が放たれ、気づいたときに瑠華は消えていた。
「は?」
私が理解できないのは勿論のこと、円花も理解できていなかった。
「やばくね?」
「やばい。途轍もなくやばい。」
私の問いに答えたのは悠月だ。その目は何かを訴えかけるかのように開いていた。
こんな展開がありえるとか……
頼むから夢であってくれ、今の私にはそう願うこと以外できなかった。
【第三節 - いざ!謎だらけの世界へ!】
突如現れた八面体、恐らくあれが今のこの状況を招いた原因と考えていいだろう。
だが、頭の中は疑問でいっぱいだ。物体としてそこに存在するのか?それともホログラムのようなものなのか?触れるとどうなるのか?どうやったら消えるのか?
とりあえずこの問題を解決する方法の一つを思いついた私は黒板の方へと向かった。
時間割を書く部分なので教卓はさほど近づかずにチョークをゲットできた。
「頼むぞ……無害なものであれ!」
そう言いながらチョークを八面体に向けて投擲した。
……だが、状況はよくない方向に傾いた。
チョークは吸い込まれていき、やがて瑠華のような大きな光を放ち、消えてしまった。
「何がどうなってんだ……」
「……ないとは思うんだけどさ、別次元に飛んでるとかは?」
私も言っておきながら無いとは思ってる。だけど、こうとでも考えないと理屈が合わないからこう考えるしか無かった。
「そんな非現実的なことがあるのか?」
燎の言った通り、これは完全に非現実的……専らSFのような考え方だ。だからこう返した。
「私もないとは思う……というか違ってくれと思っている程だ。だけど、もう普通じゃないことが起こりすぎてる。だから、意外と的を得てると思わないか?」
「……くッ……」
「あのー御三方、ちょっと外見てくれません?」
「え?」 / 「は?」 / 「あ?」
悠月が突如真剣な眼差しで話すので外を見てみると、外は暗かった。しかしこの教室は昼みたいに明るい。一瞬脳が壊れそうだったが、ギリギリでこの八面体の発する光が原因だと辿り着けた。
いや違う、問題はそこじゃない…………
なんだよあの空は……
なんで、空が紺で乱雑に塗りつぶされたような禍々しい見た目になってるんだよ……
「……まるで、この世の憎悪を全て纏めたみたいな空だな」
燎はそう言った。私も、かなり正確だと思った。
「これはまず――」
教室に目を向けると、燎の体から青白い眩い光が放たれた。
あの転送(と仮定する)は終わってなかった……!燎まで巻き込まれた!
こうなると時間の問題だ。多分、ここ以上に頭を使ったことはないと思う。
そこで、ある一つの結論に辿り着いた。
あの八面体に触れると、全く同じ空間に転送されるのでは?
勿論確証はないし、実験もできない。ぶっつけ本番だ。やるしかなかった。
「悠月!来い!」
「おうおうどうし……」
「おぉぉぉぉぉぅぅるぅぅぁぁぁああああ!!!」
私は悠月を持ち上げて八面体の方へぶん投げた。物体の質量が違っても同じことが起こるかを確かめたかった。
「え??」
「私の仮説が正しければ、これであちらにいけるはず……」
私の予想は的中した。悠月の体から先程と同様の光が放たれて消えた。
この場には円花と私しかいなかった。恐らく、皆は逃げ出してしまった。
「これ円花らどうすればいいん?」
「飛び込むしかないだろ」
「は?マジで言ってる?」
「結構真面目に。」
そう言って、私は八面体に飛び込んだ。
「マジで行くん!?」
「それしかないからな。後で必ず来いよ!円花!」
意識が朦朧とし始める。重圧が大きすぎる。だが、予想通り、私の体からも光が放たれているのを確認できた。それで十分だ。
「あっちで待ってるぞ!」
これが、この世界の最後の記憶になった。
もう意識を保っていられない……頼む、成功してく――
【第四節 - 救出せよ!瑠華と愛海!】
………………
ここ、は?
どうやら、成功したらしい。
体を起こして、辺りを見渡す。
そこは、等間隔に青白いX,Y,Z軸が引かれていて、全体的に青白がかった、言うなればプログラムされていない空間のようだった。
重い体を上げて立ち上がり、ゆっくりと歩き始める。幸い、遠くないところに燎と悠月はいた。
燎はこちらに気づいたのか、体をこちらに向けて口を開く。
「あ、来た」
「あ、生きてた」
「淡々とした会話やめません?」
とりあえずこの二人がいたのは朗報だ。だが、愛海と瑠華は……?
「これこっから東雲さんと暁皨さん探さなあかん?」
「というか円花ちゃんは?」
「あれお前円花のことちゃん付けやっけ?」
「うん」
「(超高音で)変態!」
「???」
だがまあ、状況説明はするべきだろう。
「お前らが転送された後にとりあえず私は八面体に振れてやって来た。一応円花にも釘は刺しておいたが私がフル無視して来た感じだから、円花が来るかはわからん。」
「……」
黙ってはいるが、燎は「まじかコイツ」と言いたげな眼でこちらを見ていた。
「やめて燎!その冷たい視線を私に向けないで!」
「倫理観どこに置いてきたん?」
「よしここがどんな空間は全くわからんが少なくともお前位なら殺れそうだ死ねぇぇぇぇぇぇええええええぇぅぅっぅうああああああ!!!!!」
「ぎゃぁぁぁああああ!!!!」
そうして私と悠月は戦争[広義]を始めた。なんでこんなことに……
「避けるんじゃあねぇぜ!!」
「だが断る!!」
「岸辺露伴なら動くなよ!!」
「確かに岸辺露伴だけど!!」
「おい東雲さん来たぞ」
この肉弾戦は燎の一言で止まった。私たちが冗談みたいなコミュニケーション[広義]をしている間に円花は来ていた。
「わーお円花来たのね」
「独りやったから仕方なく……」
「なるほど」
これで教室に残っていた面々は揃ったので、この世界の探索を始めることにした。
「こぉれなんかあるかぁ?」
「そもそも瑠華くんと愛海ちゃんがどこにおるかがわからんねんな……」
「つまり詰みってことだな!」
「ニコニコ笑顔でそれ言うな怖い」
どうにかなるだろうの精神で私たちはとにかく歩くことにした。いつかは成果を得られるはずだ。
「にしても気味わりぃ世界やな」
「誰がどんな目的で作ったんやろ?」
そうして歩き続けると、私たちはあるものを発見した。
カラーノイズの一部だ。
なんというべきかは知らないが、その一部分にまるで苔のように張り付いていた。それに加え、微妙に動いていた。
「うっわなんだこれ!?」
「YouTubeの動画の演出とかで出てきそうなやつ……」
「多分カラーノイズじゃね?」
「あー私も思ってた」
その場で観察を続けていると、そのノイズは膨張を続けていることに気づいた。
「あれ?これデカくなってね?」
「まずい!逃げろ!」
そうして私たちは急いでその場から離れた。
程々の距離逃げられたと思う。一度そこでこの状況を整理することとした。
「さて……まあまあ私らは歩いたわけだが、二人の気配が全くしないどころか、物体の気配がないな。」
「本当に二人はいるんかな?」
「わからん」
「……見間違えやったら悪いねんけどさ」
「え?」 / 「ん?」 / 「はい?」
「あそこに物影ない?」
円花の指した方向を見ると、そこには確かに物陰があった。少しだけ、希望を感じられた。
「確かにあるな……」
「じゃあ向かうか」
「了解」
少しずつでもいいから、この空間、こうなった原因……
すべての謎を知りたい……
だが、この生身の身体ではやっぱりできないこともある……
どうにか、こちらのアドバンテージを確保できないものか……!
【第五節 - 全員救い出せ】
その物陰のほうに向かうと、徐々に人だということがわかってきた。
背丈からして恐らく愛海か瑠華だろう。
しかし……倒れていないか?あれ……
「なんか……様子からして倒れてない?」
「あれは……」
もっと近づいていくと、それは愛海だということがわかった。
「愛海!?」
「え?」
円花が真っ先に走り出し、愛海の身体を揺さぶった。しかし、起きる様子はなかった。
「起、起きない……」
「なんでだ……?」
私も念のため脈拍と呼吸を確認する。どうやら、問題はなさそうだった。
何もわからないまま数分が経過すると、遂に愛海が目覚めた。
「あれ……ここ……は?」
「愛海!」
「あ、起きた」
目覚めた愛海に現在の状況を説明した。
もちろん戸惑う表情を見せたが、少しして頭の整理が終わったのか、納得した表情を見せた。
「じゃあ瑠華くんを探さなあかんってこと?」
「Exactly。だから今は探しているんだが、跡すら見えてねえ。もしかしたら、お前が見つかったのは奇跡かもな。」
そうして、また私たちは歩き始めた。愛海は見つかったんだ。絶対、瑠華も見つかるはずだ。
何分も歩き続けた。瑠華は見つからなかったが、私たちは信じられないものを目撃した。
また八面体があった……のだが、今度は青白くない。紫色だった。
「えぇーっと………… 瑠華がこれに入ったって可能性は」
「なくはないな」
「………… くっそォ……どのみちここにあるなら入った方がいいのか!?」
「……まあそれはアリではあるな」
ここで停滞したって、瑠華は帰ってこない。だから、覚悟を決めるしかない。
私は、この八面体に触れた。
先ほどと同じ、意識が吹き飛ぶような重圧を感じた。
念のため、すぐにこれる人材は用意しておきたい。できるだけ個人行動は避けた方がいいと判断した私は、燎をすぐに入るよう、釘をさすようにした。
「燎、もし分断されたら面倒だ、お前だけでもすぐに来てくれ。」
「は?」
これが、この空間での最後の記憶だった。
【最終節 - 超常的存在に抗う勇気を】
「…………ッ?」
目が覚めても、さっきいた空間と似たような場所だった。
しかし、X,Y,Z軸の色が紫色で、全体的に紫がかっていた。
なぜ似たような空間が存在する?そもそも先の世界といいこの世界といい、何のために存在している?
考え事をしていると、燎もすぐにやってきた。
「あ、来た」
「あ、生きてた」
「デジャヴ……?」
「お望み通りすぐに来てやったぞ」
「Dankeschön Dankeschön」
そうして二人で会話していると、突如、上から影がせまって来ていた。目に映る景色の明るさが暗くなってようやく気付いた。
「やってこれたのは二人か……まあよい。」
「え?」 / 「え?」
心臓の鼓動の音が大きく、速度が速くなっていった。汗が体中から吹きだす。そのばからすぐにでも逃げ出したいのに脚が動かない。恐怖を越えたこの感情は何といえばいいのだろうか。
「さあ、始めようとしよう。」
「交渉の時だ。貴様らの命全てを賭けてな。」
次回!第二話「交渉」!
乞うご期待!
いつ出すかは未定です




