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西園寺家の余白詩十 『知らなくても』

千草は知らない


祥吾が森へ出るたび

必ず最初に千草を逃がす道を

確認していることを


祥吾は知らない


千草が毎朝食事を作る前に

今日も旦那様が無事でありますようにと

小さく祈っていることを


千草は知らない


祥吾が自分の笑顔を見ると

少し安心することを


祥吾は知らない


千草が自分の足音を聞くだけで

少し安心することを


知らないことはたくさんある


けれど


知らなくてもいいことが

あるのかもしれない


言葉にならなくても

届いたと分からなくても


相手を思ってしたことは

少しずつ

相手の毎日を温めている


夫婦はきっと

互いに知らない優しさの中で

一緒に暮らしている


─────────────

※毎日深夜に、おやすみ前の1編として更新します。

※本編『とある大正新婚夫婦の異世界転移サバイバル!日記』の短詩集ですが、

 こちら単体でもお楽しみいただけます。

※本編↓

http://ncode.syosetu.com/n4260md/


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