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Happiness with you 〜幸せを渇望する少年たちへ〜  作者: 漱成
序章「Dear,my...」
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幕間  -西宮 美桜

 遂に、堕ちてきてしまった。

 いらっしゃい、なんて、とても言えない。

 

 


 私達は”普通”じゃない。

 でも、”異常”なわけでもない。

 ただ、たった一つの大切なボタンを、かけ違えただけ。

 少しだけ、”違ってしまった”。ただ、それだけ。

 だから、あの二人は、――亮と凛は、特別だった。

 唯一、”普通”の存在。私達とは違う存在。

 私達の棲む世界と、”普通”の世界との間に存在する薄い硝子の壁ごしに、こちらを見つめてくる存在。

 あの子達を見ていると、自分たちがかつて手にしていたはずのものを、――今となってはすっかり思い出せなくなってしまったそれを、確かに感じることが出来た。まるで今、自分たちがそれを手にしているかのような錯覚に陥ることさえあった。

 だからこそ、ずっと願っていた。――それなのに、叶わなかった。

 結局、()()()()に、揃ってしまった。この歪んだ世界に、全員が。

 私自身のことはもう、どうでもいい。もうとっくに、戻れなくなってしまったから。もう深く、堕ちてしまったから。

 でも、みんなはまだ、間に合う。間に合うはずだ。

 きっと彼らは、まだ元の世界につながっている。帰る手段も、きっとある。

 だから、私が彼らを救う。

 喜ばしいことじゃないけれど、私には()()がある。助ける方法も、きっと見つけられるはずだ。


 今日も、夜はやってくる。

 肌に触れる風は確かに冷たくて、でも、それ以上に冷たい何かが、自分の中に確かに存在する。


 そこで何かをするたびに、自分の中の大切な何かを削っていく。

 もう、戻れない。もう、引き返せる場所なんて、疾うにすぎてしまったから。

 だから、今日も歩く。

 足取りは重くて、一歩歩を進めるたびに胸の奥で何かが軋む音がする。

 痛みにも、恐怖にも、慣れたはずだった。

 なのにまだ、それを「怖い」と思う感情が、自分の中に確かに存在するらしい。その事実が、私にとっては心底「恐い」。


 誰かのために何かを為すたび、私の中で何かが壊れていく。

 そんな私の「日常」。

 

次回より第一章「Darkness of deep」開始します。今後とも「Happiness with you 〜幸せを渇望する少年たちへ〜」をよろしくお願いします。

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