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(元?)母熊と共闘! 

 俺たちは初の排泄行為をこなした。

 俺は亜空間から小さめの狼の皮を取り出し川の水でよく洗い、それでジニーの股間の汚れを拭き取った。

 その時、俺の音索敵に感知するものがあった。

 〈魔狼が三頭です〉

 と、ナビーネも知らせてくれる。

 暗がりで見えないが、上流から俺の方に走ってくるのが音で判る。

 川岸から飛び出したのは熊だった。熊は狼の前で立ち止まって前足を振り上げる。

 「爪落とし」二挙動の前置きが必要なのは、致命的だな。

 俺は熊の後ろに回る狼に向けて空間切断を使う。熊が前面の一頭を「爪落とし」で仕留めている間に熊の背後に回り込んでいた二頭の体を横切りに分断しておいた。俺の加勢がなければ、熊は前面の攻撃が終わる前に後ろから膝を喰われて、その後はジリ貧だったろう。

 俺は熊に近づいて後ろの二頭から魔真珠を抜き取り、本体共々亜空間に収納する。

 俺は熊の横に並ぶ。

 「爪落とし」がヒットした狼はまだ息があった。

 右前足の付け根が取れかけ、脇が抉れている。

 〈お前が止めを刺すか?〉

 俺の念話に熊は横顔を向けて応えたように見えた。

 熊は狼の首に嚙みついて、胴体を踏みつけ固定して、首を伸ばし、脛骨を脊椎から引き抜いた。それで狼は絶命したようだ。

 俺は狼の傷口から脇ろっ骨を引き剥がし、魔真珠を取り出した。

 掌に載せて、熊に差し出す。

 〈これ、食ったことないだろ?〉

 魔真珠を取り込んだことがあるのなら、MPが〇ということは無いはずだ。熊は一度、魔真珠に付着した血をなめてから、口と舌を起用に絡めて口に含んだ。喉が動いたので飲み込んだようだ。


 ミカヅキグマ(二〇歳)

 状態 産褥期

 LV 二一

 HP 四四八

 MP 二三


 強 五八〇

 速 六〇

 賢 四〇

 魔 二六

 耐 九九九

 運 三〇

 スキル

 爪落とし


 俺は鑑定してみて、「耐」の数値に驚いた。 そういや元々高数値だったな。

 九九九ってカンストしてんのか? 物理攻撃が通らないレベルなのか?

 〈今、腹はいっぱいだろ?〉

 俺は亜空間に狼の死骸を収納する。怒るのなら、また出してやればいい。熊は怒りはせず、何故かジニーのいる方に向かって四つ足で歩き始めた。

 ジニーもこちらに重力魔法で浮力をつけながらパタパタと近づいている。

 「まんまーまんまーまんまー」

 発音発声順調だなこいつ!

 まあ、何を要求しているのかは分かる。俺は亜空間から血濡れの魔真珠を取り出す。

 「ジニー」

 〈これのことか?〉

 ジニーは魔真珠を掴んで躊躇なく飲み込む。


 ジンジ・ギンギ(0歳)

 LV 一〇

 人種 竜人   、

 状態 真竜人

 HP 四三

 MP 三七七


 強 二一

 速 二二

 賢 一七

 魔 二八七

 耐 一九

 運 一一

 スキル

 ――――

 重力魔法・風魔法・火魔法


 鑑定するとMP・「魔」は一桁分しか上がっていない。ということは、俺はもっとしょぼいんだろうなあ、と、考えつつもう一個の魔真珠を飲んでみる。


 ザンザ・ガンガ(零歳)

 LV 三一

 人種 竜人   、

 状態 ラウドズライグ

 HP 一五五

 MP 一八三(三〇九)


 強 三九

 速 六六

 賢 一八二

 魔 二二七

 耐 四二

 運 四五

 スキル

 強発声・強化爪・鑑定眼・ふりおろしっぽ

 空間魔法・重力魔法・風魔法・火魔法・土魔法


 やっぱ、しょぼかったわ。しかし、MP常用してる割には回復早いな、魔法って結構効率よくね?

 気づいたら熊は飛んでるジニーの真下に位置していた。ジニーはストンと熊に乗って跨っている。

 金太郎を思わせるな。

 しかし、この熊はかなり臭いと思うのだが、ジニーは平気なのだろうか?

 〈焚火の近くに行こう〉

 俺は一人と一頭に促した。

 あそこは草地だったからなあ、少しでも居心地がいい。

 焚火の横に腰かけて、倒木に俺は体を預ける。熊はすぐ横に伏せている。ジニーは熊にもたれ掛かって、もう寝ていた。

 成り行きだが、妙な信頼関係ができてしまったなあ。

 今は満腹だから、こいつは大人しいが、腹が減ったらどう豹変するか分かったものじゃじゃない。何しろこの熊は竜人の肉の味を覚えているのだ。

 しかし、濃い一日だったなあ。

 竜人の城から逃げ出して水飲んで、兎と狼狩って、仮性姉を始末して、ジンジがジニーになって、熊が姉食って付いてきて、また狼狩って、熊が仲間になって、イベント多すぎだろ異世界!

熊は腹を横に向けて寝始めた。ジニーは熊の腿の付け根辺りで落ち着いている。

 〈ナビーネ、君って寝るの?〉

 〈いえ、今のところ、必要ありません〉

 〈無理じゃなければ、熊が起きたら知らせてくれ。でもって、二時間おきに起こしてくれ〉

 〈はい、承りました〉

 と、いうわけで、俺は二時間おきに起きて、熊の様子を窺う。

 熊は大きくはない鼾をかいて、ずっと寝続けている。

 四回寝て起きてを繰り返して朝が来た。


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