表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/124

狼撃破! ・・・大したことなかったので魔法を試そう

  兎肉のことを検証していたら、何か接近する気配が複数あり。

〈魔狼系の群れです。タイプが複数あるので要注意です〉

 ナビーネが補足してくれる。いや、自分より大きい体格もそうですが、複数相手とかも初めてなんだけど。ウサギの血の匂いに惹かれたか。

 俺は群れの密度が高いところを囲い込むように座標を設定して、三十メートル程前で水平に一辺二〇メートル程度の空間切断魔法を発動した。狼のある個体は横一文字に分断され、たまたま、跳躍に近い体勢だったものは四肢を飛ばされ、伏せ気味だったものは脊髄を削られて行動不能に陥った。そこに巻きまれた形で切断された数本の立木が倒れて覆いかぶさる。生き残っていたのは、座標圏外の先頭の一頭と、右端の同じく圏外で助かった一頭だった。

 右端の一頭は瞬殺された仲間を目の当たりにしていたので、すぐさま森の奥に逃げ帰った。

 先頭にいた狼は振り返った時には、木が倒れた瞬間だったので、仲間の状態を確認しておらず、俺の前で攻撃態勢をとる。

 ほお、つまり俺に魔法を試せと?

 風魔法攻撃! 風が狼に向けて吹きぬけただけだった。狼は全くダメージを受けていない。

俺は空気を半月状に圧縮して、半月の手前に圧縮した空気を開放して、風を向けるように狼に開放する。半月状の圧搾空気は狼に避けられてしまう。地面にぶつかった半月は土を弾き飛ばすが、あれが当たったところで、どれだけ狼にダメージが与えられたか、はなはだ疑問な魔法だった。

狼は俺の武器が魔法であることを察したので距離を取って様子見に入ったようだ。俺に攻撃しているうちはいいのだが、ジンジに攻撃されるとまずいなと思い、空間切断魔法に頼ることにし、狼を中心に広めに座標固定!

 狼は、やはり何かを察したのか瞬間飛びかかろうとしたようだが、余裕で広めに水平切りにした範囲からは逃れることが出来ず、横に体を分断された。


 そして、現在はステータス確認中。


ザンザ・ガンガ(零歳)

LV 二〇

人種 竜人   、

状態 ラウドズライグ

HP 一〇四

MP 一一一(一六一)


強 二八

速 四二

賢 一四四

魔 一〇六

耐 二九

運 三九

スキル

強発声・強化爪・鑑定眼・ふりおろしっぽ

空間魔法・重力魔法・風魔法・火魔法


 俺はステータスを確認しながら最後に殺した魔狼を確認しにいく。殺しただけでもステータスは上がる、か。

 俺は魔狼の断面をまさぐり、魔真珠を探す。分断された魔狼の魔真珠は一緒に二分割されていた。こういうこともあるか。

「ギア~、ギア~」

 いつの間にか兄弟のジンジが横に来て催促する。

〈ジンジよ、働かざる者食うべからずって知ってる?〉

 まあ、約束だから与えないことはないが、しばらくお預けすることにする。

「ぎあ~、ぎあ~」

 ジンジは泣きそうな、べそをかきそうな声を出す。

 先に一網打尽にした狼どもを確認しに行くことにする。

 一頭倒木の下でうなっているが、他の四頭は絶命していた。

 俺はステータスが上がった数値から、子分の五頭が一ポイントずつとしたら、最後に倒したボスだかリーダーだかは二ポイントの割合かと思っていたが、認識にずれがあったようだ。

 生き残っている狼を見下ろし、ジンジのほうを見る。狼が動かせるのは前右足と、頭だけのようだ。俺は、その首と前足を踏みつけ、地に固定する。

 頭を押さえていた足を首にずらして、ジンジに促す。

〈やってみろ〉

 意味は伝わってると思うが、蹴り殺すかなという俺の想定は外れてジンジは右手を振り下ろした。振り下ろした爪は狼の頭蓋を破壊して息の根を止めた。


ジンジ・ギンギ(0歳)

LV 一〇

人種 竜人   、

状態 ペンドレイク

HP 四三

MP 一九


強 二一

速 二二

賢 一七

魔 一一

耐 一九

運 一一

スキル

――――

重力魔法・風魔法・火魔法


 ほお、意外にアップしたな。そういや、これがジンジの初討伐になるんだったな。

〈お見事〉

 賞賛を兄弟に伝えて、狼に被さっている木を空間魔法で切断して狼を引きずり出す。

〈魔真珠の取り出しやってみるか?〉

 俺は狼の胸の位置を指さしながら、兄弟を見上げる。

 ジンジは右手を振り上げて倒れた狼の胸に叩きつけた。が、皮と肉と骨を壊すことは出来たようだが、胸の奥まで突き破ることはできなかった。

 代わって俺は狼の皮をむいて胸の筋肉押し広げ、ろっ骨をむき出しにする。胸骨から肋軟骨を引きはがし肺を押しつぶし心臓の横、人間に当てはめると心臓のすぐ下の球形の臓器を取り出し、むき出しにする と小さな魔真珠が現れた。

 その魔真珠をジンジに渡す。ジンジは待ってましたとばかりに飲み込んだ。


ジンジ・ギンギ(0歳)

LV 一〇

人種 竜人   、

状態 ペンドレイク

HP 四三

MP 二九


強 二一

速 二二

賢 一七

魔 二一

耐 一九

運 一一

スキル

――――

重力魔法・風魔法・火魔法

 

 まあ、魔真珠だからなあ、MPと魔力がアップかあ。

 俺も2分割になった魔真珠を飲み込んでみる。


ザンザ・ガンガ(0歳)

LV 二〇

人種 竜人   、

状態 ラウドズライグ

HP 一〇四

MP 一二一(一七一)


強 二八

速 四二

賢 一四四

魔 一二六

耐 二九

運 三九

スキル

強発声・強化爪・鑑定眼・ふりおろしっぽ

空間魔法・重力魔法・風魔法・火魔法・土魔法(新)


 おおっ! 注目すべき新たな魔法が増えとる!土魔法とな? とは言っても、空間魔法と風魔法しか使ったことないんだけど。

 まあ、MPと魔力はこんなものか。

〈ナビーネ、魔法を使うコツってあるの? 法則とか?〉

〈イメージの具現化です。魔法の具現化は例えば空間切断を、より具体的にイメージすることで形状、大きさ、位置を決定で現すことができ、発動も早くなります。法則は例えば風魔法では強風時に風下から風上に放つと威力が減るとか、水中で火魔法は大幅に効率が悪いとか、でしょうか?〉

〈それは火魔法は水魔法に弱く、水魔法は土魔法に弱いとかいう?〉

〈魔法スキルにもよりますので一概にそうではありません〉

 なんとなく分かるが、スキルごとに要検証ということか。

 と、いうわけで、風魔法の反省? 風魔法をクリックするような感覚で鑑定してみる。

 風圧:風を作り、気を動かす。

 回転:回した風を操る。の二つですって。

 風圧は練度を上げれば、衝撃波に変えれるのだろうか? 薄く圧縮しても刃物にできないのはさっきの実戦の通りだったが。

 回転は竜巻のことだろうか? 俺は風魔法の回転を実践してみる。風が数メートル前で回転し始め、落ち葉や砂を巻き上げる。

 うん、ただのつむじ風だね! これ。実践投入は無理だね。

 次は土魔法?

 隆起と陥没と固定か。

 隆起!

 ボコっと膝くらいまで六〇センチ半球の地面が盛り上がる。

 陥没。

 地面が六〇センチ半球で陥没する。更に陥没。同じ陥没個所の深さが一二〇センチ以上になる。

 もう一度隆起を使う。

 隆起した土に固定を使う。土は山状に固まっているようだ。うん、時と場合によっては使えるかも。

 あとは火魔法。

 これは湖の横で試そう。

 森で使うと火事になったらいけねえから。

 で、俺たちは狼の肉をつまみながら魔石を分け合うのだった。

 因みに魔真珠を3個食べたジンジに土魔法は生えなかった。

 あの一頭の狼が特殊だったのか、俺の突出した魔力のせいなのかは今後の検証課題だろう。

 湖に行く前に、俺は空間魔法を試すことにする。つまり空間移動だ。

 湖の方に向けて座標を指定する。この指定した座標を「切断面」とするか。そうして湖の脇にも座標を指定する。

 俺は切断面に頭をいれ、周囲をみると、そこは森から離れた湖の畔だった。大丈夫そうなので、切断面を解除し、もっと大きい断面を作る。

 ジンジを呼んで、一緒に断面をくぐる。ジンジの尻尾がちゃんと断面を通り過ぎるのを確認してから、解除する。

 無事、湖の畔に俺たちは移動することができた。

 これからは目視できる箇所なら歩行や飛行をしなくても移動できるわけだ。MPは消費するが。

 俺は火魔法を試してみる。

 火よ現れ!と、念ずる。湖に向けて一瞬炎が目の前で燃えて消える。

 火球! 丸い形で同様に炎が目の前で燃えて消える。

 火球――――

 今度は火球が凝縮するよう、維持しながら魔力を放出する。火球は勢いよく前面に広がりながら進んで消えた。三度パターンを変えて試した。

〈解ってきたな。火球維持に魔力を振ると飛距離が伸びて、火球自体を大きくすると近場で弾けると。遠方に強力な魔法を使うとMP消費がかさむか。当然だろうなぁ〉

ジンジを見ると、頭をひねりながら何かしようとしていた。

〈こういうことを真似しようとするのは良いことだぜ兄弟〉

 念話で一声かけて俺は自分の手や体を見てみると、まあ、血や土で汚れていた。

 俺たちは手や顔、体をざっと洗って、今度は歩いて森に戻った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ