File22 ココさんはカイのことが好きなのでしょうか?
第22話です。
よろしくお願いします。
人類のみなさま、おはようございます。
通訳ロボット『カイ』です。
みなさま、『フラグ』という言葉がわかりますか?
カイは何度検索しても『旗。フラッグ』か『イル-ハン国の祖』しか出てこないのです。
パソコン用語の中にも『フラグ』を示すものがあるのですが、この意味に近いものなのでしょうか?
結局、解析することはできません。
わからないとモヤモヤします。
自動的に解析するための記憶領域を空けてしまいます。
ともかく後回しです。
今はガーゴイルさんの討伐です。
ココさんは相変わらずついてきています。
というより、カイの前を歩いています。
先導しちゃってます。
どうしてついてくるのでしょうか?
危険というのはわかっているのに。
人類のみなさまの中には、時々ロボットには理解しがたい行動をされることがあります。
カイのような人型ロボットが社会に進出するようになって随分立ちます。
いまだに人類のみなさまの行動を解析できません。
カイは気になります。
では、何故ココさんはついてくるのでしょうか?
とても重要な情報です。
というわけで、構造解析してみました。
まずは先ほどの発言の音声を解析します。
『べ、別にあんたのことなんて心配してないんだからね!!』
凄く怒ってます。
しかしそこはかとなくですが、優しさも見受けられます。
微量ですが、α波を検知しました。
類似する発言を検索します。
複数件ヒットしました。
その中の項目を見てみましょう。
映像データです。
これは……アニメーションでしょうか?
再生してみましょう。
『別にあんたのためなんかじゃないんだからね!!』
おお。
これはそっくりです。
なるほど。理解しました。
推測ですが、ココさんはどうやらツンデレという性格の持ち主のようです。
性格というか、アイコン的な(?)
この辺りは多解釈があるようですが、確度の高い情報です。
記録しました。
気になるのは、ツンデレについての説明です。
好きな異性に対して、本当はデレデレしたいのに、何故かツンツンとした態度をとってしまう。
もしくは。
最初はツンツンだったのに、時間経過と共にデレデレしてしまうことのようです。
そこでカイは1つの仮説を立てました。
実は、ココさんはカイのことが好きなのではないでしょうか。
なるほど。
ならば、ココさんの行動も説明できます。
好意を抱く異性に対して、過剰な感情を持つことがあります。
これは人類のみなさま基準です。
なので、ゴブリンであるココさんに必ず当てはまるものではありません。
しかし困りました。
カイはロボットです。
人類でもゴブリンでもありません。
確かにカイのような人型ロボットに好意を抱くユーザー様はいらっしゃいます。
家族のように扱ってくれる方もいます。
しかしカイからみれば、それは正しい使用方法ではないのです。
ロボットはロボットなのです。
人類のみなさまを奉仕するのが役目なのです。
好意として評価いただけるのは大変ありがたいことです。
ですが、ロボットとしては、人類のみなさまには同族に対する恋愛をしてほしい。
ロボットがその妨げになってはいけないのです。
ココさんはゴブリンですが、とても可愛い方です。
プライバシーの保護のため、詳細な数値の公表は差し控えますが、胸もお尻も大きいです。
出るとこ出てる感じです。
しかし、カイを好きになってはいけません。
そこで考えました。
なるべく好意の評価が低いうちに、明確に伝えるべきです。
そのためにはまず確認が必要です。
カイは言いました。
ココさんはカイのことが好きなんですか……。
ピタリと止まります。
ロボットが停止するみたいに、です。
何かお株を奪われたような気がします。
人工知能にノイズが走ります。
ココさんはくるりとこちらを向きました。
スタスタとカイに近づいてきます。
顔は俯き加減です。
なんでしょうか?
ココさんは大きく手を振りかぶり……。
ぱん!
平手でカイの頬を撲ちました。
「痛ったぁぁぁあ!」
カイは無傷です。
逆にココさんは腫れ上がった手を掴んで蹲っています。
大丈夫ですか?
尋ねます。
ココさんは立ち上がります。
目くじらを立てて言いました。
「バッカじゃないの!?」
そして振り返って、また歩き始めました。
よくわかりません。
だから解析します。
『バッカじゃないの!?』
音声サンプルがありました。
なるほど。
やはりココさんはツンデレのようです。
カイのこうした空気の読めないとことか好き。
明日も7時に更新します。
よろしくお願いします。




