File20 この支配からの卒業、です!
第20話です。
よろしくお願いします。
人類のみなさま、おはようございます。
通訳ロボット『カイ』です。
早速ですが、先ほどトロフィーを獲得しました。
“はじめてモンスターを倒した”
“最初のクエストを達成した”
なるほど。
どうやらカイはゴブリンさんを倒したようです。
良かったです。
いくらゴブリンさんが人類のみなさまに迷惑をかけているとはいえ、1つの命であることに変わりありません。
カイは無駄な殺生を好まないのです。
……ですが、この場合死んでしまった方が良かったかもしれません。
パパゴブリンさんはいまだに悶絶しています。
カイはロボットなので、膀胱に対する打撃の痛みがわかりません。
しかしゴブリンさんを見ていると「いたたまれなく」なってきます。
今後、膀胱への攻撃は控えるようにしましょう。
カイは記録しました。
「あんた、よくもパパを!」
娘ゴブリンさんがカイを睨みます。
目にはうっすら涙が浮かんでいました。
折れた棍棒の破片を持ち上げます。
戦闘態勢をとりました。
しかし、娘ゴブリンさんの動きが直後停止します。
原因はパパゴブリンさんに肩を叩かれたからです。
「パパ! 止めないで!」
「いや、お前では無理だ。ココ……」
ぜぇぜぇと息を切らしながら、パパゴブリンさんは苦しそうです。
“ココ”というのは、娘ゴブリンさんの名前でしょうか?
先ほども呼んでいたような気がします。
ともかく記録しました。
娘ゴブリンさんに肩を貸してもらいながら、カイに近づいてきます。
膝立ちになって座りました。
それでもカイよりも大きいです。
パパゴブリンさんは見下げました。
「お前にお願いする」
はい。なんでしょうか?
「俺たちの根城を奪ったガーゴイルをやっつけてくれ」
はい?
カイはその後、ゴブリンさんから事情を聞きました。
ゴブリンさんはこの辺りに昔から住んでいる野良モンスターだということ。
つまり魔王軍とは関係ないこと。
つい最近、ガーゴイルという流れのモンスターに根城を奪われたこと。
そのため持っていた食料をすべて奪われてしまったこと。
そして仕方なく、村の畑を荒らしたこと。
以上、5点の情報を教えてくれました。
なかなか良い情報です。
記録しました。
「すべてはガーゴイルさんのせいだということですね」
じっとカイは見つめます。
センサーを総動員して、ゴブリンさんの体内をチェックしました。
筋肉が発達している以外、さほど人間と変わりません。
嘘は見分けるのは簡単です。
「パパを疑うの!?」
カイが黙ってセンサーを動かしていると、ココさんは怒鳴りました。
凄い怖い顔をして睨んできます。
カイはロボットなので「怖い」という感情はありません。
ですが、怖いという評価を与えることは出来るのです。
その中でもココさんの顔は、記録されている人類のみなさまの顔の中でもトップクラスに怖い顔です。
ああ……。でも、ココさんはゴブリンですね。
リストを分けておきましょう。
センサーで分析した結果、どうやら嘘はついていないようです。
ただし人類のみなさまのデータから類推してという条件がつくのですが、85%ぐらいの確率で問題ないと判断します。
大丈夫。カイは疑ってはいません。
「ココ……。そんな怖い顔をするな。この人間なら――」
カイは人間ではありません。ロボットです。
「なら、カイ。どうかあんたの力でガーゴイルを倒してくれないか? 倒すのが無理なら、追い払うだけでもいい」
パパゴブリンさんは頭を下げます。
他のゴブリンさんも頭を下げますが、ココさんだけが口をすぼめて拗ねています。
カイが視覚センサーで見ると、プイッと顔を背けてしまいました。
反抗期の子供にある行動に似ています。
カイは質問します。
もしガーゴイルさんをカイが倒したら、人類のみなさまと仲良くできますか。
「なんで人間なんか――」
ココさんの口を、パパゴブリンさんは塞ぎます。
「する。元々我々は人間と争うつもりはない」
わかりました。
では、もう1つだけ条件があります。
「なんだ?」
カイはもう1つの条件を告げました。
「そんなことできるはず――」
またココさんの口をパパゴブリンさんが塞ぎました。
「我々はかまわないが、人間がそれを許すかどうかわからんぞ」
それに――とパパゴブリンさんは話を続けます。
「俺たちは人間の言葉を話せない」
大丈夫です。
そのためのカイですから。
カイは胸を張ります。
そして叩きます。
自動的に、です。
『ガーゴイル退治』
[内容]
ゴブリンたちを困らせているガーゴイルをやっつけよう。
[報酬]
0G
新しいスキルが追加されます。
最近、息子さんがテレビに出ていましたね。
明日も7時に投稿します。
よろしくお願いします。




