仲間
聖也の掛け声とともにシャーロットとサテラは魔法を唱えた。
「我シャーロットが命ずる、皆の力を引き出せ、リミットオーラ」
「我サテラが命ずる、我が身に夜鳥魂を、フクロウソウル」
シャーロットが唱えたのは援護系の魔法でシャーロットも含めて聖也とサテラにも魔法の効果はあり力が二倍になった。
サテラは魔法で姿を消した。
「まずはあいさつ程度だ!」
そう言って聖也が一瞬でディザストレックスの懐に入り思いっきり腹を殴った。
「ギュアアーーー」
ディザストレックスは足をこすらせながら後ろに吹き飛んだ。
「くっそ、なんて硬さだこっちの拳が壊れてしまう」
ディザストレックスの皮膚はまるで鋼のような硬さを持っていて聖也の拳でもノーダメージだった。
「これならどうですか!」
サテラが姿を消してディザストレックスの背後からアキレス腱に向かってナイフで切り裂いた。
だが、キンッ! と音を立ててディザストレックスの足には切り傷もついていなかった。
「ならこっちはどうよ!我シャーロットが命ずる、相手を焼き尽くす炎を、フレアアロー!」
シャーロットがそう唱えるといくつもの炎の矢が現れてシャーロットがディザストレックスに意識を向けると一斉に矢が放たれてディザストレックスに直撃した。
直撃と同時に爆発が起こり火柱が空高くまで登った。
「ギュアーーー!!」
炎を咆哮で消し飛ばした。だが所どころに火傷の場所が少しあるので効いてはいるみたいだ。
「ギュア!」
ディザストレックスはその体からは信じられないスピードで棘が生えた尻尾を聖夜に向かって振るってきた。
「なんの!」
ズザァーー。 聖也はスピードには驚いたものの棘の生えていない尻尾の部分を狙って体で受け止めた。
「うりゃーー!」
そして聖也の右腕の甲が輝いて紋章が浮かび上がり尻尾をがっちりとロックしてそのまま力任せでディザストレックスを後ろに投げた。
ドスン! と地面が揺れるほどの衝撃が伝わり、ディザストレックスの体制が崩れその隙をシャーロットとサテラは見逃さず、サテラは焦げて少し硬度が下がった部分をスピードの勢いのままに小さく鋭い一撃を与え、サテラが攻撃をし終えた後にシャーロットがフレアアローで追撃をした。
「グルル」
ディザストレックスはさっきよりはダメージが入っているがまだ浅い。そして三人が一拍置いているとディザストレックスの傷が少しずつふさがっていき火傷もほぼ直っている。
「厄介っだな、時間をかけているとこっちがやられる・・・シャーロット、サテラ!」
「何」
「何ですか」
「少しばかり時間を稼いでくれ」
そう言って聖也は距離を取って目をつぶり集中しだした。その時に聖也の周りに集まる魔力の量にシャーロットとサテラはは聖也が何かをすることを読み取って、聖也の方に生かせないために聖也に背を向けるようにディザストレックスを誘導した。
だが明らかにディザストレックスは攻撃をされて興奮状態にありさっきよりも攻撃が早く鋭い、その一発一発があの世行きの切符だった、シャーロットは動きながら魔法を放ち攻撃をよけている、サテラの方は気配が消えてわからないはずだが野生の勘なのかサテラが攻撃する方向に攻撃が飛んでくる、サテラの速さに関しては聖也には劣るものの速いほうだ攻撃が来たらすぐにその場所の逆方向に移動し攻撃をしている、シャーロットも冷静に攻撃を見切りよけている。
その時聖也の方から信じられないほどの魔力を感じて思わずシャーロットとサテラは振り向いてしまった。
「待たせたな、こいつを一発で倒すための魔力を貯めてたんだ」
「もう少し速くできなかったわけ、早く倒しなさいよ魔力が持たないじゃない」
「黒鉄君お願いします。こっちもフクロウソウルの効果の時間がないです」
「わかった、任せろ!」
そう言って聖也は腰を落として右手を引いて左手を前に出した。
一瞬だった最初に踏み込んだ時よりも速く聖也はディザストレックスの頭の上にいた右手の甲の紋章が今までよりも強く輝いた。
「食らいやがれ、メテオストライク(零距離)!」
ディザストレックスが避けるよりも速くディザストレックスの頭に零距離でメテオストライクを放ちものすごい衝撃と音が周りに鳴り響いた、衝撃により砂ぼこりが上がり視界が悪くなった。
「聖也大丈夫!」
「黒鉄君無事ですか!」
二人はその場所に足を止めて聖也を呼んだ、サテラはフクロウソウルが終わり姿が見えるようになっていた。
そして砂ぼこりが晴れて目の前には首がなくドスン! と倒れるディザストレックスの姿とその前にどうどうと腰に両手を当てて立っている聖也の姿があった。
「討伐成功だ」
軽く頬を上げながら聖也は答えた。
「ええ終わったわね、まったくあんたの底がしれないは」
「俺もまだ全力で戦ったことがないからわからないな」
「何もいえないわ」
そう言ってシャーロットは笑顔で右手を開いて顔の横に挙げたので聖也も同じく右手を上げてそのままシャーロットとパンッ! といい音を響かせてハイタッチをした。
「黒鉄君・・・」
「おうサテラこれで家族は助かるな」
「うん、本当にありがとう黒鉄君、シャーロットちゃん、本当に・・・ありがとう」
お礼を言ったサテラの目からは涙があふれていた。
しかし聖也がサテラに近づいた。
「サテラまだ泣くにはまだ早いぞその涙は家族のみんなのために流してやれ」
そう言ってサテラにハンカチを渡した。
「うん!」
そう返事をしたサテラの顔は今までのしかかっていたものが一瞬でなくなりとても眩しかった。
その後に聖也達はギギルドに戻って討伐した証拠を出して無事クエスト達成のハンコを押してもらい報酬金をもらってギルドをでた、その時にギルドの中がとてもざわついたがきれいに流した。
報酬金をもらったサテラはすぐさまギルドの裏の責任者の元へ行き報酬金の九割を差し出して家族を取り戻した、ギルドの人たちはどうやって集めた!? と疑問に思っていたが質問する前に出て行ってしまった。
「お父さん、お母さん、お姉ちゃん・・・」
「サテラ・・・これは夢じゃないんだよな」
サテラの父親はまだこの状況が飲み込んでいなくて混乱していた。
「ううん、夢じゃないよしっかりとした現実だよ」
そう言うとサテラに似ていてとても美しい姉がものすごい勢いでサテラを抱きしめた。
「サテラ、ごめんね、寂しい思いさせてごめんね、本当に・・・ごめんね・・・」
「ううんいいの、もういいから泣かないで」
姉につられて父親と母親もサテラに抱きつく。
「本当に・・・心配をかけたな・・・」
「ああサテラ・・・サテラ・・・」
「おかえりなさい」
そう言って全員で涙を流しながらも抱き合うサテラの家族を見て聖也は昔の記憶を思いだしていた。
「母さん母さんこっちこっち!」
「もう待ちなさい聖也」
「あはははは」
「うふふふふ」
そして何分かしてサテラの家族がこちらの存在に気付いた。
「みんな紹介するね、今回みんなを助けるために手を貸してくれた黒鉄君とシャーロットちゃんだよ」
「どうも黒鉄聖也です」
「同じくシャーロット=ウィンディアです」
サテラの家族が聖也を見て固まっていた。
「サテラ・・・もしかして黒鉄君ってまさか・・・ヒューマンなのか・・・」
サテラの父親は緊張しながらもサテラに聞いた。
「みんな黒鉄君はいい人だよ、黒鉄君がいなかったらみんなを助けることはできなかった、だから嫌わないで」
「誰がいつ嫌ったなんて言ったのよサテラ」
「そうだ命を救ってくれた恩人さんにそんな真似はしませんよ」
そう言って家族が聖也とシャーロットの前に立ったそして深々と頭を下げた。
「この度は娘のサテラに手を貸してくださりそして、我々家族を救ってくれて本当にありがとう」
サテラの父親が家族を代表して聖也とシャーロットに感謝した。
「いやいいんです。気にしないでください私が手伝いたかったから手伝っただけです」
「本当にありがとう、このお礼はいつか返させてもらうよ」
「いいですよ、それより家族との時間を大切にしてください」
聖也は人生で初めてヒューマン以外の種族から感謝されて何も言えなかった
「聖也なにボーッとしてるのよ」
「・・・ああすまない、えっとヒューマンである自分をそんなに感謝してくださりありがとうございます」
「何をおっしゃているんですか、命の恩人に種族は関係ありませんよ」
サテラの母親の言葉は聖也の心に大きく響いた、聖也はこれが感謝されることなんだと頭の隅々まで記憶するのだった。
そしてサテラが聖也とシャーロットの前に立ち満面の笑みで、
「本当にこの度は家族を救ってくれてありがとうございました」
「なにもいいって、それよりこれからもよろしくね」
「はい、よろしくお願いします」
聖也は少し迷っていた、サテラにクエストを手伝うと言ったときは今回だけだと思っていたが終わってみるととても惜しく感じてしまう、聖也としては今回の出来事は初めてだらけだった、教えたりチームでモンスターを倒したり、感謝されたり、そして初めて仲間ができた感じだった。
聖也が迷っていると答えをサテラは言ってくれた。
「黒鉄君には一番感謝しています、ナイフの使い方とか教えてくれたり体術を教えてくれたり、そして何よりも私の力をすごいって言ってくれました」
「すごいものはすごいんだから当たり前だろ」
「ううん黒鉄君が初めてだったです。入学して誰も私のこの魔法をすごいという人はいませんでした。」
「・・・・」
「だから黒鉄君これからも友達として仲間としてよろしくお願いします」
その言葉に聖也は驚いた。
「・・・いいのか俺が仲間でも」
「はいいいんです、むしろ私は黒鉄君とシャーロットちゃんしか信じらません」
「ねねサテラその仲間に私も入っているよね?」
「もちろん入ってます」
「そうか・・・それじゃあこれからもよろしくな二人とも」
「よろしく!」
「よろしくお願いします!」
聖也は今後の学園生活が少し楽しみになりながらその日の夜は眠った。




