第64話 大喧嘩祭11
「脅しではありませんよ?」
「やってみろって言っているんだ、やれよ。やってからぶっ飛ばしてやる。やらないなら今すぐぶっ飛ばしてやる」
俺は跳ねずに這ってカルボに近づく。何故かって? 跳ねるより威圧感のある移動方法だからだ。その甲斐あってかカルボを試合場の端に追い詰めことに成功した。
「チッ、話のわからねぇ馬鹿だ、勇者ってのは皆そうなのか」
「馬鹿じゃないバーガーだ」
「これはブラフじゃない、やると言ったらやるぜ。見てろよ仲間が弾け飛ぶ瞬間を、遠隔爆弾」
カルボの呪文と同時に、スーの持つ犬型の風船が爆発した。スーの上半身が吹き飛んで鮮血が飛び散る。
煙で死体が見えないが、アイナが慌てて駆け寄っている。後で謝らないとな。
「くくく、愚かだな勇者、愚者にでも名前を変えればいい」
「それはどうかな」
「なにぃ?」
「うぅ、びっくりしたのー!」
「!?」
スーは瞬く間に再生して元に戻っている。煙に隠れて上手く再生してくれた、これなら不滅龍だとバレることはないだろう。
「どうやった? 抵抗はできていないはずだ!」
「教えられないな」
「舐めやがって」
カルボは奇術師のように、どこからともなく新しい杖を取り出すと柄の部分を引き抜く、仕込み刀だ。その刀で本体である俺を狙う。そうだな、俺を刺せば意識が飛びカルボの勝ちになるだろう。
俺に刀の切っ先が届き少し削れる。内部の魔法陣に伝わる前にハンバーガーの魔人が刃の部分を掴んで止めてくれた。カルボはビクともしなくなった刀から手を離す。体の土埃を払って紳士然とした態度に戻る。
「今回は私の負けのようです」
「そうだな、今回ばかりは相手が悪かっただけの話しだ。さ、歯を食いしばれ」
「残念ですが、小銭稼ぎは諦めます。まさか勇者と当たるとは私もつくづくツイてない。ここらで退散させていただきます」
「む、逃げる気か! 待て!」
カルボは手から玉を出現させる。その玉を床に叩きつけると煙が立ち込める、煙玉だ。煙は瞬く間に広まる。俺は自身の身をハンバーガーの魔人で守らせることしかできなかった。
煙が晴れるころには、カルボの姿は影も形も残ってはいなかった。
俺は魂の実体化を解除する。ハンバーガーの魔人は煙のように消える。
「ゲホゲホ! えー! カルボ選手の敵前逃亡により! 勝者バーガー選手ぅううう!」
歓声が湧き上がるが、俺は釈然としない気持ちを切り替えて表彰台に登る。何はともあれ俺たちの勝利だ。
「優勝者のバーガー・グリルガード選手には! 優勝賞品の金貨1枚と副賞の斧牛を贈呈します! スタッフゥー! 連れてきてくださいぃいいい!」
きたきたぉー! 俺の牛ちゃん! これで俺の溜飲も下がるってもんだ! 今夜は皆で牛ちゃん祭りだな。1頭丸々だから酒場を貸し切って盛大に騒ごう。ぐへへ、早く挟みたいぜ。
「来ました! どうぞお連れ帰り下さい斧牛です!」
「よ! 待ってまし······た」
「ブモ?」
現れたのは子牛だった。それもめちゃめちゃ可愛い子牛。
この牛モゥ、ヒロイン(雄)です。




