第38話 蜥蜴軍団6
砦は俺の目測では3階建てだ。砦の屋上から蜥蜴弓士が顔を出しては、アイナに射抜かれている。
屋上の隙間から見える大砲が動く様子はない、少人数に使うものでは無いとは思うが、警戒しておいて損は無いだろう。
アイナが5頭目の蜥蜴弓士を射止めたところで変化が起きる。
砦の正門の扉を開けて蜥蜴剣士たちがぞろぞろと出てきたのだ。辺りを見渡して俺たちを探している。見張りの蜥蜴盗賊がいない事にも気づいただろう。
「バーガー様、次射ると場所が特定されます」
「よし、エリノア行くぞ」
「あいにゃー」
俺はエリノアの肩に飛び乗る。エリノアは俺が乗ったのを確認して茂みから飛び出す。
「にゃー!」
橋の中央にいる10体の蜥蜴剣士の群れに、エリノアは真っ正面から突撃する。
腰に差してある剣が勢いよく鞘から抜き放たれる。体重と速度の乗った斬撃は先頭に立つ蜥蜴剣士の頭を胴体から切り離す。
人型の生き物が斬殺されて心が痛むと思っていたが、そうでもなかった。むしろ挟みたい衝動にかられる。俺のハンバーガーの部分が奴らを具材だとしか認識していないのだ。俺は魂までもバンズになってしまったのだろうか。······否、断じて否! 俺は俺だ! 今は戦闘に集中するんだ。エリノアに負けていられない! 俺は肩から飛び降りて、エリノアと共闘を開始する。
「にゃはは! こいつら砦から出るのにこの橋しかにゃいから、数の利を全く活かせてにゃいにゃ!」
エリノアは蜥蜴剣士たちに囲まれないように橋の上で上手く立ち回っている。そしてすでに3体を斬り伏せている。そのうちの1頭の死体が沼地に落ちて大きな音を立てる。
屋上から蜥蜴弓士が、エリノアを射ろうとするが、アイナがそれを先に狙撃して阻止する。
俺は低く跳ね、短剣をしっかり咥えて横回転する。回転の遠心力を活かし、蜥蜴剣士の足を斬りつける。鱗は硬く、斬れないことの方が多い、だが今の俺にできるのはこれくらいだ。それに、エリノアの登場が衝撃的だったらしく、俺に対する注意(そもそも気づいていない奴もいる)が散漫になっている。やれるうちにどんどん斬ってやろう。
「剣を持って! 魔物を斬るのに! 12年かかったぞ! 女神!」
「その意気だにゃ。お?」
エリノアは鍔迫り合いしていた蜥蜴剣士の腹を蹴り飛ばして距離を取る。それに気づいた俺も後退する。橋の掛かっている部分まで下がる。
沼地から蜥蜴が次々と現れたのだ。どうやら沼地に潜んでいたらしい。落ちた死体で気づいたのか?
「沼地で寝てたのかにゃ? それとも沼風呂かにゃ?」
「エリノア気をつけろ、囲まれるぞ」
「ミーは問題にゃいよー」
「俺がやばいの!」
沼地から上がってくる蜥蜴の中には蜥蜴剣士以外にも蜥蜴魔法使いも紛れている。火の玉という火球を飛ばす魔法をを使うので気をつけなければならない。さもなくば一瞬で焼きバーガーにされる。
「蜥蜴魔法使いがいるぞ」
「そうだにゃ、でもミーたちの仕事は眼前の敵の殲滅だよ。アイナとジゼルを信じるんだにゃ、あ、そっち行ったよ!」
橋から出て沼地前の原っぱで戦闘をしていたため、エリノアの脇を抜けて1頭の蜥蜴剣士が俺に襲いかかる。




