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番外編2 ロランのその後



婚約解消が行われた日の夜。


僕はいろいろと考えてみた。


僕は僕なりの考えで正しく行動してきたつもりだった。僕の中では、僕は被害者だった。だから、アリシア嬢に冷たく接してきた。自分なりに好きな人も見つけて幸せだと感じてきた。


しかし、僕以外の人たちの中ではどうだったろうか?


例えば、一番身近なのはアリシア嬢。

もし、僕がアリシア嬢の立場だったら、婚約者に振り向いてもらえないだけでなく、認めてすらもらえない。最初の頃、一生懸命寄り添おうとしていたのではないか?アリシア嬢だって決められた婚約だったかもしれないのに...僕だけが被害者だと決めつけて。

だから、僕に何も求めないアリシア嬢が大人に見えたのだろうか?


父上や母上、アリシア嬢の父上、母上だってよかれと思って動いていたのだとしたら...

悲しませたのかもしれない。

僕が、自分の気持ちをきちんと伝えていれば、誰も悲しませないで済んだのかもしれない...


それでも、もう済んでしまったことはどうにもできない。


これからのことを考えよう。


これからは、エリザベス嬢とのことをきちんと進めていこう。エリザベス嬢を悲しませることがないように。

父上、母上にも僕の考えを伝えよう。心配をかけないように。



そして、僕はまず父上、母上にエリザベス嬢との婚約の話を通した。学園にいるうちに婚約はしたい。父上は僕の話を聞いていたので、すぐに納得してくれた。母上は、微妙な顔をしながらも「今度こそは、誠実に対応なさい。」と認めてくれた。


もちろんエリザベス嬢にもきちんと伝える。実は、アリシア嬢と婚約していて、それをきっぱり解消したこと。その上で、エリザベス嬢を大切にするので婚約してほしいことを。


「エリザベス嬢。実は、僕は、グランベル伯爵家のアリシア嬢と婚約していたんだ。黙っていてすまない。」


「えっ!ええええ~っ、あ、あ、あ、あの アリシア様と~~~~~~」


ちょっと様子がおかしいエリザベス嬢に不安を感じながらも伝えなければならないことをしっかり考えた。


「でも、先日、僕は別な女性を愛しているから婚約を解消してほしいとお願いして、解消してきたんだ。」


僕は、愛しているのはエリザベス嬢だよと伝えようとしたとき...


「アリシア様とお会いしたんですか?あの、あのアリシア様とぉ~?行きたかった。一目お会いしたかった~どうして教えてくださらなかったんですかぁ~」


今にもエリザベス嬢は、泣き崩れそうになっている。あまりに様子がおかしくて、エリザベス嬢を見つめてしまった。


「どうしたんだい?」


「どうしたもこうしたも、私、この世の中で一番、アリシア様のことを尊敬しているんですぅ。だって、今流行りのジャムやポプリを考えてくださった方ではないですか。もう神です。話すどころかお会いすることもできない存在。そのアリシア様を悲しませて、婚約を解消するなんて。」


「ご、ごめん。」


「まあ、百歩譲って婚約解消してしまったことは仕方ないとして、知り合いだったことをどうして教えてくれなかったんですか?私も、一目。一目でいいからお会いしたかった。なんなら、どこかに隠れてお声だけでも聞きたかった。もうお会いする機会はないんですか?」


「もう、ない。本当にごめん。」


「えっえっ。じゃあもしかして、あの時贈られてきたピンクのポプリはもしかして...アリシア様からだったのではーーーー?」


「多分、そうだと思う。変な刺繍があったし。前に変な刺繍のハンカチ渡そうとしていたもんな。よく見なかったけど。」


「そ、そんな~。そんなお宝を。みすみす受け取らずに返すなんて!人でなし~。あなたがいらなくても、私は欲しかったのにぃ~。」


「ごめん。僕って本当に人でなしだったな。」


「まあ、もう済んでしまったことは、仕方がないわね。これからは、どうやったらアリシア様に関わる機会ができるか、二人で考えていきましょう。」


なんか分からないけど、この後、エリザベス嬢に婚約することについてご両親に伝えてもらえることになった。




そして、無事婚約できて学園に通っていたある日。


僕の友人のパーシーが焦って僕に伝えに来た。


「今日、学園にすごい美人が来ているって。しかも、あの伝説の野菜クッキーを考案して作ったすごい人だって。俺、ちょっと見てきちゃった。何でも、今、野菜クッキー作りの実演中で、見ていいのは料理人限定だっていうからさ。残念だよ。でも、この後用事があって男子寮に来るらしいよ。俺、ここでずっと待っていよう。」


「お前は本当に美人に目がないな。どこからそんな情報が入るんだ?」


「だから、お前が婚約者と会う時も、見せてくれって頼んでいただろう?絶対美人だって。見てみたかったな~。」


「あれ?あの人。グレイス様じゃないか?談話室に入っていくぞ。エーレンベルク家の王子様。はあ~。眼福眼福!」


「お前は、男性も美しい人が好きなのか?」


「当たり前だろう?美人を見ることに命を懸けていると言っても過言ではない!」


「それもどうかな~。」


「あ!今度はあの美女が来たぞ。うわ~~~。近くで見ると桁違いに美人。鳥肌が立つレベル!あ。そうだよな。談話室に行くということは、グレイス様と会うのか?美人はやっぱり美人と会うんだな~。」


僕は、固まってしまって動けなかった。そこに現れたのは、アリシア嬢だったのだから...


すごい美人。

それだけじゃなく、野菜クッキーを考案した。

以前、野菜の刺繍をしたハンカチを渡そうとしてくれた。

なにより僕のために宿題をしてくれた。

僕との婚約者としての仲を深めようと努力してくれていた。


なんて、いい子だったんだ。それを僕は...


そう思ったら、もうその場に居続けることはできなかった。




それから、僕はエリザベス嬢と結婚した。


ベスと結婚して一つ変わったこと。


僕の領地では、畜産を推し進めることにしたこと。


そして、アリシア嬢ももう夫人か。


アリシア夫人が進めてきた事業、カフェに参入させてもらった。


僕の領地の肉をカフェに収めている。


ベスは打ち合わせのたびについてきて、アリシア夫人に会えて幸せそうな表情を浮かべている。



一つだけ、解せないこと。



なぜか、打ち合わせのたびに周りから聞こえてくる言葉...



ーーー僕は「肉王子」じゃないぞ!



って、「肉王子」ってなんだ!?


勢いで番外編2つ書いてしまいました。

読んでいただいた皆様に感謝いたします。

私のほかの作品まで覗いてくださった方もいらっしゃるようでうれしい限りです。

本当にありがとうございました。

また、頑張って書いていきたいと思います。

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