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3-8 お弁当をもってデートに行きましょう!



「今日はちょっと遠いところだから、早い時間の出発になってしまって申し訳ない。」


朝から、まぶしい笑顔で私を見つめてくれるグレイス様。今、私たちは馬車に乗っている。


「いえいえ。早起きは得意中の得意ですので、全然かまいません。むしろ、それだけ長く一緒にいられるかと思うと得した気分になります。」


私も、嬉しさから笑顔で答える。


「前回のデートは君の領地を見せてもらったから、今回は私の領地を見せたいと思ってね。それに、ゆくゆくは君の領地にもなるんだよ。」


グレイス様は耳を赤くして、目をつぶってから恥ずかしそうに私を見つめた。


「グレイス様。寒いんですか?私ひざ掛けをもってきたんです。どうぞお使いください。」


私が、荷物からひざ掛けを出すとグレイス様は一瞬目を丸くした。

その後嬉しそうに対面から私の隣に座りなおした。


「それでは、遠慮なく使わせてもらうよ。でも、こうすれば一緒に使えるよ。ありがとう。」


そう言って、ひざ掛けを二人にかけてくれた。


「これにも君の野菜の刺繍がついているんだね。本当にこの刺繡を見ると嬉しい気持ちになる。二人をつないでくれたものだからね。」


グレイス様はそう言って、私の手をとった。


「この刺繍を認めてくれたのは、男性ではグレイス様だけです。私、この絵柄にして本当によかったです。」


私がそう言うと、グレイス様は私に向き直り、ちょっと自信がなさそうに話し出す。


「お願いがあるんだけど...いいかな?」


私は、「何だろう?」と首をかしげた。


「これからは、私のことを”レイ”と呼んでくれないか?ーーそして、君のことは”シア”と呼びたい。どうだろう?」


(なんだ。言いにくそうだったから、もっと大変なお願いをされるのかと思った。例えば肉の刺繍を入れて...なんてことはグレイス様は言いそうにはないわね。)


「もちろん構いませんよ。婚約者ですものね。そう呼び合いましょう!」


私は、元気よく返事をした。


「よかった~~~まだ、早いかななんて心配してしまったよ。」


グレイス様はほっとしたような顔をした。そしてーー


「シア」


そう優しく私を呼んだ後、グレイス様は片手で顔を覆ってしまった。


「あ~~やっぱり照れるな。」


「シア」と呼ばれた瞬間、私の胸の奥がドクンと波打って体中が熱くなってきてしまった。


「シア。君も呼んでくれないか?レイと...」


グレイス様は、赤い顔で懇願するように私を見つめる。


「は、はい。」


返事はしたものの、なんか落ち着かない。心臓もさっきから壊れそうになっている。


「ん。んんっ。ーーーれ・い・さ・まっ...きゃあ~~~」


私も恥ずかしさに両手で顔を覆ってしまった。



こうして、ずう~っと馬車の中でいちゃいちゃしていた二人だった。



ルシアン様。ついてこなくて正解でしたよ。ーーー大正解です。



エーレンベルク領の湖の見える木陰の下でお弁当を食べることになった。


「シアのお弁当、楽しみだな~何が入っているんだろう?」


グレイス様は嬉しそうに私の持ってきたお弁当を見つめている。


「今日は、レイ様が外でも手軽に食べられるサンドイッチを作ってきました。」


私は、メインのボックスの蓋を開いた。そこには、いろいろなジャムのサンドイッチはもちろん。レタスとキュウリ、ハム、チーズ、卵を挟んだもののほか、とんかつに甘いたれを絡めたサンドイッチまで並んでいる。


「うわ~。いろいろな種類があって迷うな。どれもおいしそうだ。」


そう言ってグレイス様は嬉しそうに食べていった。


「レイ様。他におかずもありますよ。紅茶もハーブティーもありますからね。」


私は、卵焼きや唐揚げ、ウインナーやミニトマト、フルーツなども出していった。


「シアは料理も本当に上手だね。全部おいしかった。私は本当に幸せものだよ。」


グレイス様が、ハーブティーを飲みながら優しく私の頭をなでた。


「幸せなのは私も同じです。ありのままの私のことを認めてくださるんですから。」


私が、恥ずかしさから何気なく横を見ると...


「あら!?もしかしたら...」


私は、気になった場所へ駆け寄った。


「どうしたんだい?なにかあったのかい?」


グレイス様も心配で駆け寄ってきてくれた。


「これ!ハーブです。ここにハーブ畑があります。」


何とそこには、ラベンダーやカモミールが並んでいた。

私は気になって、近くをグレイス様と散策してみた。


すると驚いたことに、私の領地にもないハーブが見つかったり、果樹もいろいろと見つかったりした。


「レイ様。この領地にもハーブ園、果樹園、野菜園を作りましょう。そして、この領地にもカフェ二号店を作っちゃいましょう。」


こうなったらもう私の領地経営の妄想が止まらない。レイ様と夢の領地経営構想を立てながら王都に戻っていった。



行きとはまるで違う馬車の雰囲気。



戸惑ったのは、ルシアン様。



二人はデートに行ったはずなのに、その後、さらなるカフェ二号店の計画を延々と聞かせられることになったのだから...



「なんだこれ!?どうしてこうなった?」


お読みいただきありがとうございます。

完結まであと4話です。

毎日頑張ります。

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