↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
28/36

3-6 グレイス様に決めました



”恋のポプリ”が見守る中ーー


「アリシア嬢。私は、領地を、そして領民を心から思う君が好きになった。

これからもアリシア嬢をこの領地ごと大切にするよ。

どうか私の婚約者になってくれないか?」


グレイス様が真剣な顔で私に思いを伝えてくれる。


私は、大きく深呼吸をして、もう一度グレイス様をしっかりと見つめた。

体中が熱くなってしまったけれど、私の気持ちはしっかり伝えたかった。


「私は、この私だけでなく、私の大好きなこの領地を大切に思ってくれるグレイス様が好きになりました。


領地の野菜がおいしいと言ってくださるグレイス様。

領地の人たちが素敵だと言ってくださるグレイス様。

何よりーーー私がいいと言ってくださるグレイス様。


これからどうぞよろしくお願いします。」


そう言った途端ーーー


グレイス様は、安心したのか、息を吐いた後、一度ゆっくり目をつぶり、そして笑顔になった。


「ありがとう。最高にうれしいよ。」


そうして、私たちはクラッカーにジャムをのせていただき、ハーブティーを飲んで一休みした後、屋敷に戻っていった。


屋敷に着くころにはお互いの両手は領民のみんなにいただいたものでいっぱいになっていた。

もちろん、私の心の中も幸せな気持ちでいっぱいに満たされていた。




「お帰り。その表情では、もうお互いの気持ちが決まったんだね。」


お父様は、私たちの顔を交互に見ながら、そう言った。


「詳しいお話は中に入ってからよ。ごちそうを用意して待っていたんだから。」


お母様も笑顔で家に招き入れてくれた。



そして、お母様が料理長と一緒に腕によりを掛けて作ったおいしい料理をいただいた。


領地自慢の野菜をたっぷり使ったサラダ。もちろんジャムのドレッシングでさっぱりといただく。


「本当に野菜そのものの味がしっかりとしているね。ドレッシングがさらにそれを引き立てている。」


グレイス様は、一口一口かみしめるように食べている。


「グレイス様は、もうすっかり姉さまの影響で野菜派だね。」


エドワードがからかうように私を見た。


「野菜派でも肉派でもどちらでもよくなりました。この領地を好きになってくれる方なら...」


私は、そう言ったけど、驚くみんなを前に顔に熱が集まってくるような気持ちになってきた。


「私はアリシア嬢が好きだから、もちろん野菜もこの領地も好きだよ。」


グレイス様は私を見て優しく微笑んでくる。その笑顔に、さらにどきどきと心臓が高鳴ってきた。


「なんかおかしい!?熱があるのかしら。さっきからなんか熱いわ。」


私がそう言って頬を両手で押さえると、グレイス様が慌てて私のそばに寄ってきて、額に手を当てた。


「大丈夫かい?本当に顔が赤いね。心配だから私はもう帰るとするよ。今日はゆっくりするといい。」


グレイス様は、すぐにでも帰ろうとし始めた。


「大丈夫よ。グレイス様。今帰ったら余計にアリシアの元気がなくなってしまうわ。まだいてあげて...」


お母様は笑いをこらえながら、グレイス様を止めた。


「なんか一気に熱いのが治りました。グレイス様。まだ帰らないでください。」


私は、帰ってしまうという言葉に悲しくなってグレイス様の服の裾をつかんでしまった。


その途端、グレイス様の顔が今度は真っ赤に染まってしまった。


「なんだか、私たちの若い頃を思い出すね。いいね~。」


なぜかお父様は私たちを見てうらやましそうな顔をする。


「なんか僕もお腹いっぱいになった。」


まだサラダしか食べていないのに、エドワードはそんなことを言い始めた。


そうして、食事を再開し、おいしい野菜のスープやハーブを効かせたチキン、私の手作りのフルーツケーキなどを食べた。


「どの料理も皆さんの気持ちがこもっていてとてもおいしくいただきました。」


グレイス様が、満足そうに紅茶を飲みながら一息ついた。


そして、背筋を伸ばしてお父様に向き合った。


「今回私はアリシア嬢に婚約の打診をいたしましたが、本日正式に婚約を申し込みたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。」


グレイス様は、そう言ってしっかり頭を下げた。


お父様は私を見て、確認するように話をした。


「私は、娘の幸せを一番に願っています。娘が望むなら喜んでお受けしましょう。アリシア。それでいいかい?」


私も背筋をピンと伸ばし、お父様にきっぱりと返事をした。


「私もグレイス様がいいです。いえ。グレイス様以外とは婚約したくありません。ぜひ、よろしくお願いいたします。」


「だそうだよ。グレイス殿。娘をよろしく頼む。」


お父様の言葉にグレイス様も嬉しそうにうなずいた。



その後、グレイス様はーー


グランベル家一人一人からお土産をもらい、大きな馬車にたくさん積んで帰っていった。




そうして、後日両家顔合わせをして、正式に婚約が結ばれた。



今回の顔合わせは、ジャガイモの収穫の前に行われた。



つまり、グレイス様が領地を訪れてそう経たないうちに行われたのだった。



今回はーー



ジャガイモに勝ったのである!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。