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孤高の塵人  作者: dy冷凍
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四十六章

防衛戦の死者を弔い、ミーサとジンの死にショックを受けながらも

修斗は砂漠へ向かう。そして急展開。

「しゃぁぁあぁぁ!!」

「シャァァ! シシャァ!」



 鬱憤ばらし気味に砂漠へ足を踏み入れると後ろから馬車が走ってきて、そこから一匹のリザードマンが飛びかかってきた。手に持っている剣でナイフを受け止めながらも親の敵とでも言いたげな目線のリザードマンと対峙し、結果的に俺がそいつの右手を切りすると落として顔へ剣を突き刺そうとした。


 その剣は一匹のリザードマンの背中で防がれた。馬車でこちらを見ている子供を見るに、身代わりになったのは右手を落としたリザードマンの妻らしかった。右手を落としたリザードマンは吠え、俺に組み付いてきたがすぐに腹を蹴り飛ばして気絶させた。


 身代わりになったリザードマンを治療しようと思ったが、馬車からは他の重厚そうな鎧を着たリザードマンが迫っていた。いきなり切りかかってきた見覚えのある奴は兎も角、身代わりになったリザードマンは可哀想だったから治療することにした。


 剣を抜いて溢れる血を抑えながら体を修復するイメージをしながらリザードマンの胸に手を当てる。長い槍が三本俺の胴体を貫いたが、リザードマンの治療は終わった。


 息苦しさを抑えながらも三本の槍を押し返し、地獄の十秒を耐えた俺は街へ逃げ帰った。不幸だな、オイ。




「……貴方は誰ですか。シュウトさんは死んだはずです」

「まさか……スコーピオンがシュウトさんの死体を……?」



 ギルドで魔物の素材依頼を探していると他ギルド職員にとんでもない深読みをされ、挙句の果てには魔法を打ち込まれた。途中でシロさん来たのが唯一の救いだ。まぁ最初はあっち側に付いてたんだが、あっちの明らかにおかしい言い分を聞いて考えを改めてこちらに付いてくれた。シロさんマジ天使。




「お買い上げありがとさん。でもアンタ、免許取ってるの?」

「免許なんてあるんかい! 先に言え!」



 やっと魔道具のバイクを買ったと思ったら免許がなきゃ運転出来なかった。砂漠で乗りこなすのは難しくて習得に一ヶ月かかった。



(そういやシロエアとか荒瀬って神の不幸補正あんま受けてないね)

(……そういやそうだな。少し検証してみるか)

(どうやって?)

(……まぁ地道に検証するしかないわな)



 一年間の検証の末に出た結果は、何か不幸があって心が弱っている人や、悩みや悲しみなどを抱えている人は神の補正に影響されやすいことだった。例えわかってても苛々するのは同じだけどな!



 まぁそんなこんなで、インカが旅立ってから一年が経った。



 ――▽▽――



 赤い装甲のバイクを走らせながら砂漠を突き進む。タイヤに風を纏わせて走るとか最初は出来る気がしなかったが、今は息をするように出来ている。魔法で補助すれば曲芸なんかも出来る。月に一回街の子供に見せるくらいしか使い道ないけどな! 


 門の前でバイクから魔力を抜き取ってから降りて、そのまま押しながら門を通ってギルドへ向かう。異次元袋から依頼書の確認をしながらバイクを押す。


 ギルドの前にバイクを止めてシートに電気の膜を貼り付けてから見開き型の扉を開く。相変わらず賑やかな人混みの中を抜けながら受付へ向かう。



「依頼を達成したんで確認をお願いしたいんですけど」

「ミジュカへの配達依頼ですね。……はい。ちゃんと印が押されてますね。報酬はこちらになりますね」



 若干釣り目の彼女はそう言うとテーブルに纏められた札束を置いて手を差し出してきた。……この人天然だからな。もしかしたらお金が手に乗っていると勘違いしてるのかもしれない。



「……いや、何ですかその差し出された手は」

「私と一日デート権です」

「あ、それじゃあ行きましょうか」

「えぇ!? い、いあいやいあ。お仕事あります! あ、でも――」

「いつまでも突っ込んで貰えると思うなよ、ラミ! あ、でも冗談ですごめんなさい。調子乗りました」



 テーブルにある札束を取ってそそくさとギルドから出てバイクを押しながら立ち去る。旅に必要な道具は買ってあるし……あとは宿屋の代金を払って街を出るだけかー。インカが先に行ってからもう一年。結構あっという間だったな、一年って。


 この一年で変わったことと言えば、ギルドランクがBランクになったことくらいか。それ以外は別に何ら変わりはない。あ、あとバイクの免許と野宿に慣れたことくらいか。



「あ、シュウトだ」

「よう。そういやサラって一年前より少し背伸びたな。1センチくらい?」

「そうだよーこれでも伸びた――1センチ!? 驚くほど伸びてないじゃん!」

「本当俺より年上とは思えないな。ほい、一週間分の代金な」



 三万五千円を渡すとサラは訝しげに首を傾げながらも代金を受け取った。



「珍しいね。いつもは一ヶ月払いなのに」

「……たまにはな」



 そんな返事をして宿屋を出る。今日俺はこの街を出るが、まだ誰にも別れの挨拶をしていなかった。門番のおっちゃん達、世話になった宿屋の人達。冒険者にギルドの人達。唯一伝えたのはシロさんだ。紹介状を書いて貰わなきゃいけなかったからな。



(別れも言わずに去るなんて駄目な子だねシュウト。今更気恥ずかしいの? ねぇねぇ?)

(……まぁいつか帰ってくる予定だしな。別にいいだろ。出るぞ)



 門番に挨拶してシートの電気を解除し、バイクに乗ってハンドルに魔力を預けてタイヤに風を纏わせる。エンジンにまで魔力が貯まったのを確認してグリップを捻ると、赤いバイクは唸りを上げて動き出した。

ちょっと文字数少なめ。あまりに物語が進まないためこんなことになりました。


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