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姉の結婚



私が到着して2日後、公爵様もとい、お義兄様の御親族様方が一族を引き連れて我が家に押し寄せた。

姉に対して概ね好意的ではあったがお義兄様のご兄弟ご夫妻は困惑とも取れる渋い顔をされていて孫の年齢の花嫁に複雑な思いを抱かれているのだと思った。

しかし暫くするとあまりにもお幸せそうなお義兄様(老公爵様)の様子を見て一先ずは安心されたようだ。


❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎


挨拶もそこそこに田舎の領地で宿泊施設が乏しい我が領なので、本家筋の重鎮の皆さんは我が家ご宿泊が決まり分家他若い皆さんは宿泊施設へとご案内する事となった。

その為てんてこ舞いで部屋割りと結婚の準備で猫の手も借りたい具合だった。


「僕らはどちらでも構いませんよ」

そう声を掛けられて部屋割り表とにらめっこしていた私が振り向くと、孫の男性代表の方がニコニコ笑ってこちらを見ていた。

「お構いも十分に出来ず失礼致します。私は次女のパトリシアと申します。御用の際はお声がけください」

「私が見てあげようか、貸して」

「いえ其れは部屋割り表で……」

彼は強引に私の手から奪い取ると目を通し始める。


「随分細かい事まで書き込んであるね、これは君が?」

「はい、苦手なお料理やお好きな物をお伺いしましたので」

この方は最初にご紹介のあったアイザック様だと思う。


「君、最初はメイドかと思ったよ。地味な恰好しているから」

「この方が動きやすく汚れても良いので都合がいいんです。済みません、手が足りず」

「いや、責めてるんじゃないよ。伯爵家のご令嬢にしては珍しいと思ってね」

「はぁ、そうですか。では急ぎますので済みませんが」

これ以上相手をさせられては堪らない。

そそくさと去ろうとすると

「あぁ、また後で会いましょう」

「……?」

「手伝うからさ」

「いえ、お客様にそのような事……」

「僕たちのお爺様の我儘だからね、急がせたせいでしょう?」

「そ、それは……」

その通りですと口には出せないので濁しておいた。


でもパトリシア自身、使用人達がてんてこ舞いをしているのを見てはいられずに手伝ってしまっている。


「チョットそこのあなた。お茶をお願い」

「ハイ直ぐにお持ちします」

そう言ってアイザック様に一礼し給湯室に入って行った。


❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎


公爵様が、いえお義兄様が何度目かは知りませんがバージンロードの先に待っておられます。

父親に付き添われた姉がドアの前から中々入場しないので時間も押している事ですし親切にも少し押して差し上げました。


チョット振り返って睨まれた気がしますが、パトリシアはベールに気を付けている振りをしてやり過ごし式は無事に始まりました。


急な結婚式にも関わらずお義兄様の人徳の賜物でしょうか、沢山の方々が祝福に集まって下さっています。

私も急いで親族席に戻りそちらから見守る事にしました。


お義兄様はとても幸せそうで、目がとろけてしまう程ニコニコされておりました。

姉も皆さんの手前幸せそうに微笑みお似合いの夫婦の門出となりました。


この事は新聞でも「世紀の歳の差婚、大恋愛の末……」とか何とか記事になるそうです。

いやお義兄様の手回しの宜しい事、流石と言わざるを得ません。


……と私は公爵家仕様、お上品モードを此れにて無事終了した。


こちらに戻ってから怒涛の展開に休む間もなく働き、結婚式翌日には流石に疲れが出て早起きは出来なかった。


お姉様夫婦は新婚旅行を兼ねて各地を回りご挨拶をして回ってから領地に戻るそうだ。

領地ではお披露目の会と言う名の披露宴を開いて、それから王都の公爵邸に戻られる予定だそう。


パトリシアは姉の末永い幸せを祈りつつ、エリアルおば様の元に戻る準備に取り掛かっていた。

元々余り大事なものは無い。

着るものに関してはあちらで購入する事にして本や裁縫道具、小物を数点、文房具などハンカチや布物に包みカバンに詰めて荷造りは完了した。長年暮らしたのに簡単なものだった。


❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎


そしていよいよ明日招待されていた親族の最後の方が出立される。

其れを見送ってから両親や妹にお別れし私もエリアルおば様の元へ、そしてここには冠婚葬祭以外では戻らない、そう心に決めていた。

両親も緊張が解けたのかもう既にぐったりとしている。


私は忘れ物がないか自分の部屋を見回しずっと過ごしてきたこの場所を明日で去る事を感慨深く振り返っていた。


トントン……。

「はい、どうぞ。お入りなさい」

メイドかと思い返事をすると扉の向こうから声が掛かる。

「パトリシア様のお部屋で間違いございませんか」

「そうです、どうぞお入りください」

「失礼致します。私、アイザック様の従者をしておりますトーマスと申します」

「はぁ」

「アイザック様が是非一度ゆっくりお話の時間を頂けないかと申しております」

「明日はこちらを発ちますので今少しでしたら大丈夫です」

姉の事で何か思う所でもあるのか、パトリシアは緊張しながらトーマスの後に続いた。

今回の見どころ。

・老獪な65才公爵様、姉の逃げ道を塞ぐ。

・パトリシア風プチざまぁ発動。

如何だったでしょうか。

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