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巡礼者の道  作者: 잿빛서기관


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才能⑤

第25話 才能⑤


傭兵ギルドを出た俺たちは宿へ戻った。


外では日が傾き始めていたが、

夕食にはまだ少し早い時間だった。


レアは階段を上りながら大きな欠伸をした。


「はぁ……もう駄目だ。

少し寝る。」


そう言うと、

面倒くさそうに手だけをひらひら振った。


「夕飯はスープみたいなものでいい。

適当に済ませて、もう少し寝る。」


その言葉を残し、

レアはそのまま自分の部屋へ入っていった。


扉が閉まる直前、

部屋の中が少しだけ見えた。


ベルがベッドの端に腰掛け、

床を見ながら足をぶらぶらさせていた。


そして、

扉が開くとすぐに顔を上げた。


「あれ? 帰ってきたんですか?」


だがレアは返事の代わりに手を振っただけだった。


「寝るから、

うるさくするな。」


「もうですか?」


「お前の弟のせいで疲れたんだ。」


その言葉に、

トリは思わず口を尖らせた。


レアはそんなトリを無視して扉を閉める。


ガチャリ。


しばし沈黙が流れた。


トリは気まずそうに頭をかいた。


話はそこで終わった。


俺たちはそのまま自分たちの部屋へ向かった。


部屋に入ると、

窓際に座っている神父が見えた。


窓の外を眺めていた神父は、

扉の閉まる音にゆっくり振り返った。


「そうか。何事もなかったか?」


エリオンは返事の代わりに、

トリをちらりと見下ろした。


神父の視線も自然とトリへ向く。


トリは少し気まずそうにした後、

しばらく迷ってから口を開いた。


「……あの、訓練場にいた傭兵が……

一緒に働いてみないかって言ったんです。」


神父は静かに聞き返した。


「それで?」


トリは少し視線を落とした。


「まだよく分からないって答えたら……

これを渡されて。」


そう言って懐から木札を取り出した。


「気が変わったら、

王都で傭兵ギルドを探せって。」


神父はトリが差し出した木札をしばらく見つめた。


そして静かに頷いた。


「そうか。

すぐに返事をしなかっただけでも立派だ。」


彼はもう一度木札を見下ろした。


「そういうことは、

よく考えて決めるべきだからな。」


トリはその言葉を聞き、

静かに口を閉ざした。


神父はゆっくりと立ち上がった。


「皆疲れているだろうし、

夕食までは少し休んでおこう。」


そう言うと、

しばらく窓の外を眺めながら続けた。


「明日はラヘンを出る。

荷物も前もって確認しておくんだぞ。」


彼はこちらへ視線を向けた。


「商業区に寄ったらそのまま出発する。

いいな?」


トリは静かに頷いた。


エリオンが短く答える。


「はい。足りない物があれば、

確認してお伝えします。」


神父は小さく笑った。


「うむ。その方がいい。」


部屋は再び静かになった。


エリオンは荷物の整理を始め、

神父は再び窓の外を眺めていた。


トリは手の中の木札を弄っていた。


その視線はずっと木札に向けられていた。


夜が更ける頃になってようやく、

宿の中は完全に静まり返った。


廊下からはもう足音も聞こえず、

窓の外では虫の鳴き声だけが響いている。


エリオンはゆっくりと身を起こした。


隣のベッドでは、

トリがすでに深い眠りについていた。


片手にはまだ木札を握ったままだ。


エリオンはその姿をしばらく見つめた後、

静かに部屋を抜け出した。


ギィ……


古い階段が小さな音を立てる。


エリオンは足音を殺しながら、

ゆっくりと一階へ降りていった。


一階には誰もいなかった。


窓から差し込む月明かりだけが、

静かに床を照らしている。


テーブルや椅子は、

薄暗い闇の中に沈んでいた。


エリオンは隅のテーブルへ静かに腰を下ろした。


そして、

ゆっくりと手を持ち上げる。


指先から、

ごくかすかな光が浮かび上がった。


だが、ほんの一瞬。


光はすぐに揺らぎ、

ふっと消えてしまう。


「……はぁ。」


そんなことを何度も繰り返していた時だった。


ギィ……


誰かが階段を降りてくる音が聞こえた。


エリオンは驚いて慌てて手を下ろした。


光も一瞬で消える。


顔を上げると、

階段の上に誰かが立っていた。


神父だった。


彼は静かに階段を降りると、

エリオンの向かいへゆっくり腰を下ろした。


そしてエリオンの手を一度見下ろした。


「聖法の練習をしていたのか?」


エリオンは少し迷った後、

静かに頷いた。


神父は小さく笑った。


「そうか。よくやっているな。」


彼はテーブルに腕を置いたまま続けた。


「何をするにしても、

勤勉であることは美徳だ。」


しばし沈黙が流れた。


やがて神父がふと思い出したように口を開く。


「トリの進路の話が出たついでに、

お前とも少し話をしておこう。」


エリオンはぽかんと神父を見た。


神父は静かな声で尋ねた。


「お前は将来、

何をしたい?」


「……え?」


エリオンは戸惑ったように瞬きをした。


それから頭をかきながら答える。


「まあ……

故郷に帰ってサラとうまくいって。」


気恥ずかしくなって視線を逸らした。


「他の人たちみたいに、

漁師として暮らすんだと思います。

普通に。」


神父はそんなエリオンをじっと見つめた。


そして静かに尋ねた。


「他の選択肢があるとしたら?」


エリオンは目をぱちぱちさせた。


「え?

それってどういう……」


神父はゆっくりと言葉を続けた。


「お前が身につけた聖法。

それは極めて限られた者しか発現できない才能だ。」


彼はエリオンの指先を見た。


「ある意味では、

奇跡と呼んでも不思議ではないほどにな。」


エリオンは何も言えなかった。


神父は淡々と続ける。


「聖法を使える者は、

教会でも貴重な人材として扱われる。」


そしてエリオンの目を見つめた。


「……何が言いたいか分かるか?」


エリオンはしばらく呆然と神父を見た。


「……え?」


やがて言葉の意味を理解し、

慌てて聞き返した。


「じゃあ俺……

中央教会みたいな所に

入れるってことですか?」


神父は静かに頷いた。


「そうだ。」


彼は少し言葉を切り、

意味ありげに付け加えた。


「そこに誰かが保証人として立てば、

手続きはさらに早く進むかもしれんな。」


エリオンはゆっくりと視線を落とした。


指先が落ち着きなく動く。


「……でも俺の夢は、

サラと一緒に仲良く暮らすことなんですけど。」


神父はその言葉を聞き、

思わず吹き出した。


「自分で言うには少し恥ずかしい夢なんですけど……」


エリオンは顔が熱くなるのを感じた。


「い、今そういう話をされると、

ちょっと……」


神父はしばらく笑った後、

やがて表情を整えた。


そして静かな声で続ける。


「お前ほどの才能なら、

そう長くはかからん。」


彼は椅子にもたれながら言った。


「アカデミー卒業まで二年……

いや、一年でも十分かもしれんな。」


エリオンは驚いた顔で神父を見た。


だが神父は相変わらず落ち着いていた。


「その程度の時間なら、

十分投資する価値がある。」


「卒業後は教会からの支援も手厚いだろうし、

サラを養うにも困らんはずだ。」


そしてエリオンの目をまっすぐ見つめた。


「もしかすると王都で、

今よりずっと良い環境で暮らせるかもしれん。」


神父は低い声で続けた。


「……どうだ。」


「サラには私からきちんと説明しておこう。」


エリオンは長い間黙っていた。


視線はテーブルの上を彷徨い、

頭の中は不思議なほど混乱していた。


サラ。


聖法。


王都。


アカデミー。


すべてが入り混じり、

頭の中を巡る。


エリオンはゆっくりと口を開いた。


「……まだよく分かりません。」


神父は何も言わず、

エリオンを見つめた。


エリオンは照れ隠しのような笑みを漏らした。


「とりあえず……

考えてみます。」


そして静かに続ける。


「こういうことは、

よく考えて決めるべきですから。

そうですよね?」


神父の目がわずかに見開かれた。


そしてすぐに、

一本取られたというように苦笑した。


「……そうだな。」


彼はゆっくりと立ち上がった。


「こういう問題こそ、

よく考えなければならん。」


そして階段へ向かって歩き出す。


「明日からまた移動だ。

あまり無理はするなよ。」


エリオンは黙って頷いた。


神父はそのまま階段の向こうへ消えていった。


エリオンはしばらくその場を見つめていた。


やがてゆっくりと手を見下ろす。


かすかな光が、

指先でほんの一瞬揺れては消えた。


「……サラ。」


そして。


「……聖法。」


エリオンは長い間、

ただじっと自分の指先を見つめていた。




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