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僕は、ワルイコ?

この物語は、フィクションであり、現実の団体・人物と一切の関係はありません。

 いつもの様に扉がゆっくりと開く。来客を知らせるベルが気づかないほどにゆっくりと扉が開く。

「こんにちは、」

 誰にも気づかれなうような小声で男子が言った。

「はい、こんにちは。どのような相談で?」

「僕って、ワルイコですか?」

 インパクトが衝撃的過ぎた、悪い子の確認のために来客したのは、はじめだからだ。悪い子ってなんですかとか、良い子になるにはどうすれば良いとかなら、来たことがある。けれど、悪い子の確認のために来たのは、初めてだった。

「悪い子って、なんでそう思うの?」

「皆が言うんです。お前は、ワルイコって。」

「親には、相談したんですか?」

 そう言うと、顔を俯けて黙ってしまった。何かを隠すように、

「たくさん、言っても、ダメなんです。」

 小さく、何かを隠すようなこらえてるような声だった。

「そうなんですね。では、一緒に考えましょうか。」

 安心させる為にも、話しやすい環境を作るために相談室に案内した。

「座ってもいいですか?」

「ええ、どうぞ。」

「ありがとうございます。」

 そう言って、少年を座らせる。少し、震えてる様に感じた。

「貴方の言う、悪い子って、どんなイメージですか?」

「みんなの期待に応えられない人がワルイ子です。」

「理由が、分かってすごいですね。どんな、期待を背負われてるんですか?」

「たくさんです。」

「たくさんなんですね。」

 言いたくないのか、顔を潜めて、小声で言った。

「うーん、別の話をしましょうか。」

 言いたくないことを無理に聞いたら、余計に心を閉じてしまう。だからこそ、別の話をして、信頼関係を作ろうと考えた瞬間に、

「ごめんなさい。テニスの件なんです。」

 少年が、元の議題を続けたいのか、顔を突き出して、大きな声でゆった。

「そうなんですね。運動お好きなんですか?」

 少し動揺したのを隠すように、落ち着いた声で言う。

「はい、大会でも、いい成績を残していて....」

 言い淀むように、少年は答えた。それが、真実なのか虚偽なのかは、関係無い。私は、今目の前にいる少年が、大事なんだから。

「すごいですね。私運動が苦手だったので少し羨ましいです。」

「そうなんですね。でも、まだ足りなくて、、、」

「そうなんですか。向上心があるのは、いいことじゃ無いですか?」

「ええ、そうですね、」

 面を合わせて、普通に話す。僕の問いに、否定する様子もなく、ただ肯定するように答える。

「苦手な物は、あるんですか。」

「いえ、特には」

「すごいですね。なんでも美味しく食べれるの羨ましいです。」

「はい、そうですね。」

「他に好きな事って、ありますか?」

「えっと...」

「すぐに、思いつく物はありますか?」

「ないです...ごめんなさい...」

「いえ、こちらこそ。強く言いすぎてすみません。」

 このような会話を続ける。受け身の会話だったが、最初よりは、良い方向に進めてるのかと思いながら、少し本題に進むことにした。

「悪い子ってどういう物だと思いますか?」

「親の言う事を聞かない子や、みんなの期待に答えられない事じゃないいんですか」

「じゃあ、大人に悪い子はいると思いますか?」

「わかりません、、」

「まぁ、大人も難しいですからねぇ」

「そうなんですか」

「大人は自分が正しいと思っても、周りから見ると酷い有様だったりしますからね。」

「そんな訳無い。」

「そうなんですか?」

「うん。親が正しいに決まってる。」

 少年は、先程までのオドオドしてた雰囲気が嘘だったかのように、キリッとした雰囲気で話す。

「そうですか。何故正しいと思うんですか。」

「当たり前でしょう。親は正しいんですから。」

 何故だろう、この子はすごい、いい子と同時に危うさを秘めている気がする。

「間違える人ってどんな人だと思います?」

「と言うと?」

「いつも、私はオマエの為を思って言ってるんだ。と言われるんです。これって、正しいから言えるんですよね。」

「まぁ、自信持って言ってるんでしょうね。」

「自信を持ってるから正しいんですよね。」

「さぁ、そう言う訳じゃないと思いますよ。」

 そう言いながら、お茶を飲む。ずっと喋ってると喉が渇く。

 お茶を飲んでいる間も彼は、ぶつぶつと呟いている様子だった。正しいのか、どうなのかぶつぶつ言いながら悩んでる。

 少し時が経った。時刻にしては数分だろうか、今も彼はぶつぶつと呟いている。

「そろそろ考えがまとまりました?」

「分かりません。何が正しいのかわからなくなってきました。」

「正しさってなんでしょうね。」

 この言葉は、自分にも少年にも当てはまる事だ。

人間には正しい事をしろって言われる。しかし、正しい事の基準は、大人になっていくにつれて少しずつ育てていく物だと私は考える。それまでは、多くの人に注意されたり、褒められたりして、少しずつ価値観や物事の基準が作られる。

 だからこそ、子供の時にたくさん失敗したり、親から叱られる経験や褒められる経験を通じて育っていくし、自分で考えることも重要だ。だから、自分で今考えてもらっている。

 だからこそ、自分の正義の価値観と他人の正義の価値観は違うんだ。それが普通だから、

 しばらく経った頃だった。

「いくら考えてもわからない物ですね。やっぱり、ワルイ子だから分からないんですかね。」

 そう、少年は投げやりに言った。なんともいえないような、表情だった。

「人生そんなもんですよ。」

「それでいいんですよね。」

「ええ、私はそう思いますよ。自分自身だけでなく、様々な人や物から成長しながら生きていくことが大事です。何も考えずにただ相手の意見を鵜呑みにして生きて行くには、つまらないじゃないですか。」

 そう言うと、少しず苦笑いをした後に、

「先生の言う、正義ってなんですか?」

「さぁ、分かりません。けれど、ここでの私は、相手の話を聞いて、よく理解するのが正義だと思いますよ。」

「そうなんだ。正義ってたくさんあるんですね。」

「何か、わかりましたか。」

「はい。何となく分かった気がします。」

 そう言って、少年が扉から出る時に声をかける。

「貴方は、今でも、悪い子だと思いますか。」

 少年は元気よく言う。

「分かりません。」

 それが良いことなのかどうなのかは、わからない。けれど、少年は元気よく扉から出ていった。

 今後も彼は、多くのことから多くの事を学ぶだろう。どうか、彼にとって良い経験を積んでいく事を私は祈るのみだ。

 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

 今回の作品は自分も少し難しい作品でした。今回の作品も楽しく読んでいただけたら幸いです。また次回の作品も少しずつ書いておりますので気長に待ってくれると嬉しいです。それではまた次回お会いしましょう

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