第72話
エメラルドドラゴンの背に乗り、天空宮からレビ平原へと移動したアルディア達。
レビ平原到着後、エメラルドドラゴンから聖石『大空のエメラルド』を授かったアルディア。
エメラルドドラゴンに礼を言うと、一同はディアの居るディナの都へと足を運ぶのであった。
――――ディナの屋敷
ディナの都につくと、一同は真っ直ぐにディアのいる屋敷へと足を運ぶ。
そして、屋敷の入り口に到着すると、門番に
「突然申し訳ない。ディア様との面会は可能だろうか?」
と、ザフィーアが話をする。
アルディア達の姿と、ザフィーアの話を聞くと、門番は
「ザフィーア様、お待ちしておりました。今、確認いたしますので、しばしお待ちを」
と言うと、急いで屋敷の中へと入っていった。
少しした後、先ほど屋敷の奥へと行った門番が、アルディア達の前へと戻ってくる。
「お待たせいたしました。中へどうぞ」
戻った門番は、アルディア達に屋敷の中へ入るよう、案内をする。
アルディア達は門番に案内されるまま、屋敷の中へと入っていった。
――――ディナの屋敷・客間
門番に屋敷の中へ入るアルディア達。
門番に案内されるまま客間に移動すると、案内されるままソファにかけるのであった。
アルディア達がソファにかけて少し待っていると、勇み足で部屋に近づいてくる足音が聞こえた。そして、
「皆様、お待たせして申し訳ない」
と、ディアが扉を開けて勢いよく入ってきた。
「ディア殿。突然申し訳ない」
部屋に入ったディアに、そう声をかけるザフィーア。
「いやいや、よくディナに寄ってくださった。私も皆様に是非、お会いしたかったのだ」
ディアはそういうと、ソファに腰掛ける。
そして、改めてアルディア達に話をはじめた。
「実は、皆様がいらっしゃる数時間前、ハインに操られていた者達が皆、意識を取り戻したのだ。それで恐らく、皆様が四柱帝ラファエルを倒したのだと思いましてな」
「そうですか。ハインに操られていた者達が……」
ディアの言葉にそう返すザフィーア。
「ハインに操られてたのって、確かラファエルのテンプテーションで精神支配されてたことによるものだよね?」
エスメラルダが、確認をするかのようにそうザフィーアとディアに尋ねる。
「仰る通り、あの者達はラファエルのテンプテーションで完全に思考を奪われておりました。しかしながら、皆様が術者であるラファエルを敗ってくれたお陰で、彼らも意識を取り戻せました」
「成る程、それでアルがラファエルを倒したということがわかったわけか……」
ディアの説明を聞き、納得をするエスメラルダ。
一方、ディアはというと
「して、どのようにしてラファエルを敗ったのですか? 是非、お話をお伺いしたい」
と、アルディア達にラファエルとの戦いについて尋ねた。
ディアにラファエルとの戦いについて聞かれると、ザフィーアが一同を代表してディナの都を離れてからの経緯を詳細に話をした。
バベルの事、そこで戦ったラファエル配下のクリーチャー、アエロ、オキュペテ、ケライノーの事、三神龍エメラルドドラゴンの事、そのエメラルドドラゴンの背に乗ってラファエルの居城、天空宮へと向かった事、天空宮円卓の間にて四柱帝ラファエルと戦った事、その最中、アルディアがラファエルのテンプテーションにかかってしまい天空宮から落ちてしまった事、落下したアルディアをエメラルドドラゴンが救い、そのままラファエルと空中での死闘を繰り広げた事、そして、アルディアの手によって、四柱帝ラファエルを倒した事……。
ザフィーアからの話を聞いたディアは、目を丸くしながらも静かに全ての話を聞いていた。
そして、一通りザフィーアが話を終えると、
「何というか……神話のような話が多すぎて、理解が追いつかないというのが正直な感想ではあるが……」
「まぁ、お気持ちはわかります」
ディアの言葉に、苦笑いをしながらそう返すエスメラルダ。
「だがそれよりも……、アルディア殿。よくラファエルを倒してくださった」
「うーん、正直、エメラルドドラゴンが殆ど戦っていたんですけどね」
ディアの言葉に、アルディアは苦笑いをしながらそう返す。
「いやいや、そのエメラルドドラゴンを味方につけた点、そしてラファエルにとどめを刺したのは他の誰でもない、アルディア殿、貴女だ。もっと誇っても良い」
「そ、そうですか……?」
アルディアはそう言うと、うっすらと頬を赤らめながら人差し指で頬を小さく掻いた。
「ガブリエルに続き、ラファエルも……。最早アルの実力、功績を疑う者はいないだろう」
「そうだよアル! もっと自信もって!」
ザフィーアは冷静にアルディアの実力を評価し、一方でルービィはそう言うと、隣に座っているアルディアに抱きついた。
「る、ルーちゃん……。それにザフィさん。……ありがとう」
いきなりルービィに抱きつかれたアルディアは、少し驚きながらも、両者へとお礼を言うのであった。
「さて、これで四柱帝も二体、倒したわけですが……。次はどうされる予定で?」
話の流れを変えるかのように、ディアは一同に今後の事について尋ねる。
「そうですね……。先ずはルベンに戻ろうとは思いますが……」
ディアの問いかけに、そう話はじめるザフィーア。
ザフィーアがルベンに戻るという話をし始めると、エスメラルダが
「アル、アシェルにも寄る? ラファエル倒したわけだし」
と、アルディアに声をかけた。
だが、アルディアは
「う~ん。アシェルには、全て終わってから戻りたいかな?」
と答えた。
そして
「気遣ってくれてありがと。エスメ君」
と、エスメラルダにお礼を言った。
一方、先の話の続きを話はじめるザフィーア。
「ルベンに戻って準備した後、次の四柱帝のところへ向かおうと思っているが……」
「北の大陸、東の大陸にそれぞれ一体ずつ四柱帝が居たわけだから……、後は南の大陸、西の大陸、中央大陸かな?」
ザフィーアの話に、そのように尋ねるエスメラルダ。
すると、
「その三大陸だと、西の大陸は考えづらいのではないでしょうか?」
と、ディアがエスメラルダに答えた。
続けてザフィーアが、
「そうだな。四柱帝の目的がラファエルの言うとおり『地上を血で染め上げること』ならば、西の大陸は候補から外した方がいいだろう」
とエスメラルダに言った。
ディアとザフィーアがそう言うと、エスメラルダは
「それもそっか。じゃあ次行くなら南の大陸?」
と問いかける。
「そうだな。まだ二体いる状態で中央大陸に乗り込むのは早計だろう。ならば、向かうなら南の大陸だろうな」
エスメラルダの問いかけに、そう答えるザフィーア。
すると今度は、横からルービィが
「なんで西の大陸は候補から外したの?」
と、尋ねる。
「西の大陸は腐敗した大地の大陸だ。とてもじゃないが人族や魔族が住める環境じゃない。故に町とかも全く存在しないのだ」
「ま、なんで腐敗してるかはわからないんだけどね~」
ルービィの問いかけにザフィーアが答え、エスメラルダが続けてそう言った。
「ふーん」
「この世界にそんな場所があるんだね」
ザフィーアの説明にルービィと、そしてアルディアもそう反応を示した。
「では、ルベンに戻り、南の大陸に向かわれるわけですな。……ちなみに出発はいつ頃を予定しておりますかな?」
「そうですね。とりあえず今日はディナの都にとどまり、明日、ルベンに向かって旅立とうと思っております」
ディアの問いかけに、そう答えるザフィーア。
「では、本日はここ、ディナに残るわけですな」
ザフィーアの答えに、嬉しそうにそう言うディア。
そして続けて
「では本日は是非、もてなしをさせてください」
と、一同に提案をした。
「もてなしですか……。有難い申し出ですが、良いのですか?」
ディアの提案に、感謝の意を示す一方、突然の訪問である事も踏まえ準備などの心配をし、そう尋ねるザフィーア。
だが、ディアは首を横に振ると、
「ご心配には及びません」
と答える。
そして続けて、一同にこのように語ったのであった。
「この東の大陸を救ってくださった英雄達をもてなす宴です。是非、やらせてください!」
「そうですか。……では、お言葉に甘えて」
ディアの言葉に、ザフィーアはそう返した。
こうして一同は、この日はディナの都にて執り行われた宴に、主役として参加したのであった。




