エピローグ
あの日、高校生の斗真から二度目のプロポーズを受けてから、さらに数年。
お互いに学生、そして社会人というステップを上りきり、俺たちは今、新居のリビングで一つのソファに並んで座っている。
かつては想像もしなかった、男二人きりの、騒がしくて愛おしい同棲生活だ。
休日の穏やかな午後。俺がスマホをいじっていると、隣で淹れたてのコーヒーを飲んでいた斗真が、ふと思いついたようにこちらを覗き込んできた。すっかり大人の男の体格になった彼は、出会った頃と同じ、少し悪戯っぽい綺麗な目で微笑む。
「ねえ、鹿目さん。もう女装はしないの?」
その言葉に、俺は手元の画面から顔を上げ、少し呆れたような苦笑いを返した。今ではクローゼットの奥に眠る思い出の趣味に、ほんの少しだけ思いを馳せる。
「しないかな。小学生男子に一目惚れされちゃったら大変だし」
そう言って俺がからかうように笑うと、斗真は一瞬だけ悔しそうに眉を下げた後、嬉しそうに俺の手をぎゅっと握りしめてきた。
もう、鏡の前に「可愛い女の子」を作る必要はない。
この温かい手のひらの隣で、俺は俺のままで、これからもずっと歩いていくのだから。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!
趣味の女装から始まった奇妙な出会いが、数年の時を経てまさかの形で実を結ぶ──そんな二人の行く末を、楽しんで見守っていただけたならこれ以上の喜びはありません。
最初はピュアな直球を投げていた斗真が、数年後にどんな男になって戻ってくるか、そして翻弄される鹿目の姿をどう描くか、私自身もワクワクしながら筆を執らせていただきました。
駄菓子屋での300円のデートから、大人になった二人の同棲生活まで、少しでも皆さまに甘酸っぱく、そして温かい読後感をお届けできていれば幸いです。
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それでは、また次の物語でお会いしましょう!




