燃える神
夜になる前に魚人が上陸して来ない方の島に向かった。そこで待っていた女神は丸い玉を渡してきた。
「如意宝珠よ、これで足りない力を補って活動して」
「了解っす女神さま」
「あれをあいつの口に運べるか?」
「一個ずつならなんとか」
「しまったな、水の中に逃げられたらどうしよ」
「それなら殺す前にこの島に上陸させるわ」
「すごいな!どうやるんだ?」
「あいつは水に浮いてるだけだから基本泳いでるわけじゃないのよ」
「そうなのか!?そんなクラゲみたいなやつにどうやって負けたんだ」
「信者の数で水が流れるか淀むか決まるのよ……」
「お前が淀むな」
とりあえず女神の力で押し流してもらうことにした。
島に上陸したその塊は不気味で不自然だった。
口を大きく開けたまま動かない。北斗にキョウチクトウ爆弾を放り込んでもらいクスノキに点火し、キョウチクトウ爆弾めがけて投下した。
爆発が次々と起こる、キョウチクトウの毒ガスは広がる、あたりは煉獄と化した。
何事もなく燃え続ける、声が響いてくる、
〈ワタシも殺すのか〉
一同は驚愕する。
「今なんて?」
〈火の神を殺したのと同じようにワタシも殺すのか〉
聞こえた、意味はわからない、もう何も言わなくなった。燃え続けるただの死体がそこにあった。
一同は釈然としないままずっとそこに立っていた。