本来の業務
イツキさまはトヨウケヒメの様子を見に行った。
太陽の照りつける砂浜で分厚い着物を着た大地の女神は肌が全く焼ける様子もなく、スヤスヤと眠っている。
「トヨウケヒメ、調子はどう?」
「スヤスヤ…」
「ツクヨミさまがあなたのことを助けてくれたのよ」
女神はパチッと目を覚ます。
「ツクヨミさまが?」
「なんと都合のいい耳してんの……、彼は前世の記憶どころか幼少期の記憶も全部忘れてるみたい」
「そう……」
「世界最強の力士である父大鵬王と現代魔女の母ローレライのことも何も覚えてなかった」
「私があそこで龍に囚われてることも覚えてなかったんですね」
「まあそういうこと、でも魚人たちを短時間で処理した手腕はやはりあの方だったわね」
「当たり前ですよ、いつだってあの方がすることは突飛で私たちとは違うんだって再認識させられます」
15歳の時
うちは忍者兼農家なのだ、現世に畑はないがニライアイランドの中に大きめのプランターを用意してある。一応周りは海なので塩害がひどくて畑は諦めた。
現世の山から採ってきた山芋のムカゴを種芋にする、これはまあ、一年後の食料だ。
スベリヒユは雑草枠として食べれる植物を集めているプランターに植えておく。
今のところ非常食になりそうなのは月下美人とパイナップルだな。
僕が何の偉業を成そうとしていたか、それは品種改良の分野だ。この世界は便利な植物が全然開発されていないのだ。僕の希望をイツキさまに相談したら一匹の龍神を貸してくれた、やつとは反りが合わないが僕の野望には必要な人材(龍材?)だ。
「おい、もっと植物を増やせ」
噂をすれば……
「何でもかんでも持って来たらあっという間に場所が無くなっちまうよ」
「この間持ってきたカキドオシは良かったぞ、あんな調子でどんどん持ってこいよ」
「ああ〜、うざったい、お前の好みがよくわからん」
「ユキノシタ、百両、万両、サネカズラ、サルトリイバラ、ヘビイチゴ、トベラ、シャリンバイ、オドリコソウ、ハンゲ、マメキンカン……他にも色々持って来てただろう、あの調子で持ってきてくれたらいくらでも増やして品種改良しておいてやるよ」
「分かった」
う〜ん、僕実際要らなくね?とか思っちゃうけど肉体を持つ人間が望むことが必要だと言われて説教されたことがある。龍が独断で品種改良するのはルール違反なんだそうな。たとえ自然の状態でもあくまで植物が環境に適応しようとする気合みたいなものを消費して進化を促すらしい。
「北斗!」
「なんだ?」
「呼んでみただけ」
「メタ発言はほどほどにしろ」
北斗七星から呼ばれて来たから北斗と読んでいる。龍の名前としたら妥当だろ?
そして現在
「はあ~、せっかく集めた資材が全部パーだ」
キョウチクトウ爆弾はあっけなく完成した、三つほど作ったあたりで昼頃になった。
その辺でくつろいでる北斗をみつけて仕事を依頼する。
「今夜にあの水神をやっつけたいんだ、手を貸してくれないか」
「あれをやっつけるだって?まあお前ならできるかもしれんが、どんな作戦だ?」
北斗に計画を説明する。
「任せておけ、おれはお前のとこの水神の方が好きだ」
「まあ、あっちはちょっと不潔な感じだからな」
ニライアイランドからの海を眺める、ほどよい緊張感と恐怖心と冒険心で足がガクガクだが、北斗の方も似たようなもんだった。
「おい……お前龍なんだろ、しっかりたのむぞ!?」
「はっはっは、面目ない」




