信仰への目覚め
「やめろ!やめてくれ!!」
「おとなしく入れ」
「こりゃ心が壊れるまで叫び続けるだろうな、うるさくてかなわん」
バタン……と扉は閉められた。
自分が入れられたのはロッカーのような狭い箱だった。座れない、眠れない、光りもない。
この後自分がどれほどの時間放置されるかを想像してゾッとした。
「出せ!出してくれ!狭い!暗い!怖い!」
目をつぶってもはあはあと息が切れる、何も考えてはいけないのは分かるがこんな快適さの全く無い空間にいつまでもいたらおそらく発狂してしまう。
めまいがするが横にすらなれない。
ストレスのあまり頭痛がしてくる、なのにまだ10分すら経っていないだろう。
その時だった、「おじさん!」と頭に声が響いてくる。幻聴ではない。
「ラハブたん!?」
「おじさん、親切なマネキンさんがおじさんの危険を知らせてくれたのよ、女王さまを呼んだからすぐ助けに来てくれるはず」
あのマネキンが?とつっこみたいが今はまだそれはいい。
「ありがとう!ありがとう!ところでわしはここでどれくらい待ったらいい?」
「大丈夫!一週間くらいで来てくれるよ!そんでここの外で分かりやすい目印になるような物を空に向かって振ってみて!」
うん、分かってました。そんな都合の良いことはないと。
しかしみかえるはあの娘を責める気にはなれなかった。
「ラハブたん、わしはもうだめだ、この狭い空間で死んでしまう、あとはよろしくたのんだ……」
そこで初めてラハブは何かに気がついた。
「いっけない言い忘れてた、おじさんはもう私の守護天使だから拷問を耐えるスキルくらいは使えるよ」
「え?そうなの?早く言っておくれよ」
「ごめんごめんそれじゃ説明するね。水分には物事を記録しておく力があってね、その水を聖なる火で蒸発させるの」
「なるほど、やってみよう……」
みかえるは自分の手を自身の頭に向ける。
「忘却の火!」
「あのおっさん静かになったけどよ、なんか一人でぶつぶつ喋ってるぞ」
「もう精神が崩壊したのか?いくらなんでも早すぎるな」
「ほっとけよ、どうせあそこから出すのは一週間後だ」
そして男たちはみかえるの存在を忘れたまま一週間過ごした。
正直毎回開けるのが億劫だ。
大小の便が出ていることもあるし、とっくに干からびていることもある。生きていてもすぐに死んでしまうだろう。
そして決まって開けるのは一番序列の低い者である。
つまりはおれだ。
「全く、毎回おれじゃねえか、いい加減早く新入りが入ってきてほしいぜ…………はあ~、はあ~、はあ~、開けるぞ…………えいっ!」
その瞬間暖かい風が男の頬に触れた。
フワリ……
「……え?」
羽の生えたおっさんがつぶらな瞳をゆっくりと開ける。
「おや、もう終わりか?ふわあああ~」
あくびをする中年の姿に、下っ端の男は思わず見惚れてしまった。
「おい、どうしたんだ?……!!」
後ろから来た男もみかえるに見惚れてしまう。
そこからは男たち総出で祭り上げられた。
「神よ!」「神よ!」「神よ!」
「わし、なんかやっちゃいました?」




