陰キャ
森の中にまで逃げて来たところで遠くからさっきの村を眺めて見る。
「あれ?」
海の中からまた第2陣、第3陣と魚人達が上陸してきている。アリの群れのように無限に出てくる姿は僕を戦慄させた。戦慄の旋律だ。
「地上を乗っ取る気なのか?」
明らかに海の彼方までバシャバシャと泳いで来ている一群の姿が見える。
「まあ人を殺すのが目的じゃなさそうだし、スルーしておくか」
そんなことよりも切実な問題がある、食料と薬が全く足りなくなるのを見越して今から確保しなければいけないことだ。警察は頼れない、もう明日か明後日には大きな街の店も使えなくなる可能性が出てきた。
溢れた魚人の群れは街にも及んで略奪を始めるだろう。せめて24時間開いてる店があれば……コンビニ?なんだそれは。
「ヨモギ、山芋のムカゴ、スベリヒユ、こんだけしか無いのか」
一晩中山をさまよって大した収穫もなく朝を迎えることになった。
「異次元の穴が開いて来たな」
ようやく僕のチート能力を紹介できる、これが僕のユニークスキル「ニライアイランド」だ。
異次元の世界に常夏の無人島を出現させられる。(ただし日中のみ)
僕には龍神がついていて日中はそいつが現世で活動する、その代わり僕は日中の行動を制限される、その間にここにいといてくれって頼まれてる。
そう、僕は陰キャなのだよ。
「とりあえずニライアイランドで今後の方針でも練るか」