魚人上陸
僕が人通りの少ない海沿いを歩いていると海の遥か向こうに山のような何かがこちらを見ているのに気がついた。
「何だあれは……」
すると海一面に何かがいて泳いでこちらに向かって来ているのが分かった。
「なんかわからんが隠れたほうがいいのか」
テトラポットの影に隠れてよく観察してみると全身に鱗のある魚人が大量に現れた。
黒い肌によく隆起した筋肉。背は高くないが首と肩が完全に一体化している。
頭頂は禿げていて、頬まで裂けた口に牙が生えている。
手には一様に鉄の爪を装着している。
「なるほど、あのでかいのが悪神か」
ふと反対側からも人の気配がしたので振りかえって見ると、村の方から数人の村人が出てくるのが見えた。
「女神さまから頂いたラーニングを試してやるぜ!」
「悪神がなんぼのもんじゃ!」
どうやら彼らも女神さまからスキルを頂いた人たちのようだ。
僕らイツキさまの加護をもらう者というのはカッパの子孫と言われていて僕もまた身体の一部に鱗がある。ようは先祖がえりが肉体に現れてくるのだ。
おそらくあの魚人たちの姿こそがカッパとしての完成形なのだろう。
「だとしたら、ラーニングって役に立たないんじゃないか?」
魚人が村人に対して襲いかかる、魚人の片手が1.5倍ほども伸びたのだ。男はそれを辛うじて避けた。
「おっしゃあ、ラーニングしたぜ!お前たちの技を自分でくらいやがれ!」
男はラーニングした技を使って素手で殴りかかる。
だが魚人の腹は拳を弾き返した。
正にその時に頭に声が響く。
「丹田功をラーニングしました」
その瞬間悪い予感が頭をよぎる。
「避けろ!やられる!」
思わず声を出していた。
「おお!カンナヅキくん!」
「前!前!」
魚人はお返しとばかりに男に切りかかる。男は避ける間もなく何のアクションも起こせないまま肉片になるほど切り刻まれた。ほんの一瞬だった。
そして次の瞬間には魚人たちも村人たちもこちらを見ていた。
どうやら隠れていたのがバレたようだ。




