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権力
職員室に訪問者が1人、職員一同整列して「おはようございます。会長」
「いや、良いのだよ。くつろぎたまえ」
グレーのスーツのカフス釦を直しながら「折り入って話しがあってきた」
「どうされたので?」「実はな…離婚する事になった。義理の父親を探している。教師の中に誰か立候補者はおらぬか?」
誰も手を上げない。
「…やはり無理か…」
ひとつ咳払い。
「いや、女房がな…外に男をつくってしまったようでな…」
「そ、それはそれは…」
教師一同たじろぐ。
「まあ、いいさ。男手1つで育てるのもまた、一興だろう」
煙草に火を付けながら会長は切りだす。
「ここの図書館はなかなか良い場所だな」
「はい?」
「いやまぁ、息子はね案外バカ者でな引き取り手が無いことは分かっていた」
「そ、そうなんですか?」
「ではこれで失礼するよ」