BATTLE:009【恐怖! 不死軍団(アンデッドトライブ)の侵攻・見えた真実】
ついに、黒幕登場です!!
本性を露にしたフジミに対し、イクサは一歩引いて距離を取って問う。
「なぜそこまでして、守護龍のカードを……」
「……俺には倒したい奴がいてな。そいつを倒すためには、どうしても守護龍のカードが必要なのさ」
「倒したい……相手?」
イクサは拳を強く握り締める。
たったそれだけのために、フジミは色んな人を巻き込み傷つけたのだろうか?
体の奥から怒りが湧いてくる。
「鹿羽会長、笑えない冗談ですよ……」
「ハッ。ここまで言ってもまだ分からないとはな。俺が生徒会長をやっているのは、あくまで裏の顔を隠すための隠れ蓑に過ぎないんだよ。まあまあ面白かったぜ、ちょっと優しくしただけで簡単に尻尾を振るお前達を見てるのは。さあ、分かったらとっととカードを渡しな!!」
「……1つだけ、聞かせて下さい」
「ああ?」
「諸星シンヤを雇って、カードバトル部を襲うように仕向けたのは、貴方ですか?」
「あぁ? ……フッ、さあな」
「だったら……」
イクサは懐からデッキを取り出す。
「鹿羽会長、俺とカードバトルして下さい!」
「カードバトルだと? 俺が、お前と?」
「……会長が勝ったら、その時は守護龍のカードを差し上げます。その代わり、俺が勝ったら、真実を教えて下さい」
「ほぅ。なるほど、面白いなそれ。いいぜ、そのバトル受けてやるよ」
このバトルに勝てれば、全ての真相が明らかになる。
イクサはそんな気がした。
互いに初期手札を整える。
「ルールはビギナーズルールを適用してやる。お前、まだ始めたばかりなんだろ?」
「……はい」
「なら、決まりだ」
「「ダイス・セット!!」」
先攻は、フジミ。
「俺のターン、メインドロー。フォースチャージ、追加ドロー!」
フジミは不気味に小さく笑う。
「フォースを1つ消費して、アタックガーディアン【死霊 デッドガイ】を召喚!!」
3Dバトルテーブルによって、ガーディアンが3Dビジョンで出現する。
【死霊 デッドガイ】
SF【1】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【アンデッド】
DG【0】
LP【900】
全身を黒マントで覆った戦士が出現した。
「デッドガイのトライブアビリティを発動! 永遠なる魂の宴!!」
【死霊 デッドガイ】
【トライブアビリティ】
【起】(COST:あなたの山札からカードを4枚ジャンクゾーンに送る)
┗あなたのターンに一度、コストを支払うことで発動できる。このカードをX00リペアする。(Xの値は、あなたのセットフェイズ終了時にジャンクゾーンに存在する【アンデッドトライブ】のガーディアンカードの枚数)
「デッキからカードを4枚、ジャンクゾーンに送る」
フジミのデッキからカードが4枚、ジャンクゾーンに送られた。
「おーっと、このカードがジャンクゾーンに送られたか。ポテンシャルアビリティを発動!」
「っ?!」
【不死兵】
【ポテンシャルアビリティ】
【自】(このカードがデッキからジャンクゾーンに送られた時)
┗このカードをアシストゾーンにフォースを消費せずに召喚する。
「よって、アシストガーディアン【不死兵】をノーコストで召喚!!」
【不死兵】
SF【1】
GT【ノーマル/アシスト】
Tr【アンデッド】
DG【0】
LP【500】
まるで落武者のような屍の戦士が出現。怖い……。
「そしてセットフェイズ終了時、デッドガイはトライブアビリティによって、リペアする」
【死霊 デッドガイ】
DG【0→-300】
LP【900→1200】
「ターンエンド」
「俺のターン、ドロー!」
コストを消費せず、アシストガーディアンを召喚しつつLPも回復。
アンデッドという名前からして、恐らくジャンクゾーン起点に効果を発動するトライブであることが伺える。
厄介な相手、イクサはそう認識した。
「フォースチャージして、追加ドロー!」
すぐに手札を見る。バランスはまずまず良い。
「手札のアタックガーディアン【カオス・ベビーナイト】のポテンシャルアビリティを発動!」
【カオス・ベビーナイト】
【ポテンシャルアビリティ】
【永】
┗相手フィールド上のアタックゾーンにガーディアンカードがあるなら、このカードはSF【0】として扱う。
「よって、ノーコストで召喚!!」
【カオス・ベビーナイト】
SF【1】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【カオス】
DG【0】
LP【1500】
黒い甲冑を身に纏った小さな騎士が出現した。
このカード、ベビーナイトのアタックアビリティは他のカオストライブのカードと同様に1つ。つまり、ダイスステップ時にアタックアビリティが発動する確率は1/6。
下手に攻撃すれば、弱体化によって痛い目を見るだろう。
いや、どうせ攻撃しないのなら。
そう思い、フォースを1枚裏返して手札を切る。
「更に、手札からポテンシャルアビリティを発動!」
【カオス・ロアー】
【ポテンシャルアビリティ】
【永】
┗自分フィールド上のアタックゾーンに【カオストライブ】のカードがあるなら、手札のこのカードをSF【1】として扱う。
「よってフォースを1つ消費し、【カオス・ロアー】を召喚!!」
【カオス・ロアー】
SF【2】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【カオス】
DG【0】
LP【2500】
黒いアーマーを身に纏った大きな虎が出現した。
「そして、トライブアビリティ発動! 魂の継承!!」
【カオス・ロアー】
【トライブアビリティ】
【永】
┗【カオストライブ】のガーディアンを召喚した時、前のガーディアンはアピアステップ時にアンダーカードとなり、このガーディアンの下に置かれる。このガーディアンは、アンダーカードの効果を全て受け継ぐ。
【カオス・ロアー】にベビーナイトのアタックアビリティが受け継がれる。
フォースを使い切ったので、このターンのバトルはできない。
イクサはエンドフェイズに移行する。
「ターンエンド」
「俺のターンか。なるほど、ゴウキ達の報告通り、少々変わったトライブだな。ドローフェイズ、ドロー!!」
ドローしたカードを見て、ニヤリと笑うフジミ。
「だが、能力がある程度集まるまでは攻撃できない、か。折角の後攻のアドバンテージを活かせないというのは、中々可哀想だな。フォースチャージして、追加ドロー!」
追加ドローしたカードを手札に加え、このターンに使うカードを選別する。
確かにフジミの言う通り、イクサは後攻のアドバンテージは活かせなかった。
しかし、フジミより先にSF【2】のカードを出せたのだ。
(状況は五分五分のはず……)
イクサがそう思案していると、フジミは声をかける。
「おい、もしかして俺とお前が互角……とか思ってんじゃないだろうな? 全く、舐められたもんだなぁ、おい」
「えっ?」
「【不死兵】のアシストアビリティを発動させてもらう……」
【不死兵】
【アシストアビリティ】
【起】(COST:フォースを1枚消費して、このカードをジャンクゾーンに送る)
┗あなたのターン、コストを支払うことで発動できる。そうしたら、あなたのジャンクゾーンからSF【3】以下のガーディアンをフォースを消費せずに召喚できる。
「なっ、そんな!?」
「フォースを1枚消費し、【不死兵】をジャンクゾーンに送る。そして……」
ジャンクゾーンのカードを掲げる。
「さあ、墓場に眠りし戦士よ。今再び、現世に舞い降りよ! 【不死の双剣使い】を、ノーコストで召喚!!」
【不死の双剣使い】
SF【3】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【アンデッド】
DG【-300】
LP【2800→3100】
双剣を両手に携えた青い肌を持った戦士が出現。執事服にマントと帽子を着用している。
「ジャンクゾーンに存在することで、その真価を発揮し、再び甦る。それが不死の種族【アンデッドトライブ】だ!!」
「アンデッドトライブ……」
先程も述べたように、ジャンクゾーンを起点に能力を発動するアンデッドトライブ。
山札を削るデッキ圧縮と、ジャンクゾーンのカードのサーチ並びに召喚……このトライブにとって、ジャンクゾーンは手札のような感覚なのだろう。つまり、アタックアビリティにおける相手の山札からカードをジャンクゾーンに送る効果は、フジミにとって、ドロー効果と同義であるのだ。
「フッ、不死者の力をその目に焼き付けるがいい。ツインキラーのトライブアビリティを発動!」
【不死の双剣使い】
【トライブアビリティ】
【起】(COST:あなたの山札からカードを6枚、ジャンクゾーンに送る)
┗あなたのターン、コストを支払うことで発動できる。相手の手札を1枚、ジャンクゾーンに送る。この効果は、1ターンに一度しか発動できない。
「デッキからカードを6枚、ジャンクゾーンに送る。さあ、手札を1枚捨ててもらおうか!」
「くっ!」
ツインキラーがイクサの手札に向かって剣を投げ飛ばす。
剣の刃先がカードに命中し、ジャンクゾーンに送られた。
「ダイスステップだ」
フジミが振ったサイコロの目は【2】。
【不死の双剣使い】
【1】【2】【3】……あなたのジャンクゾーンのSF【1】以下のカードを1枚選択し、その選択したカードのLPの値のダメージを相手のアタックガーディアンに与える。
【4】【5】【6】……あなたの山札の上のカードを1枚、ジャンクゾーンに送る。そうしたら、相手のアタックガーディアンにX00ダメージを与える。(Xはジャンクゾーンに送ったカードのSF×2)
「フォースを1つ消費して、バトルフェイズを開始する。俺が選択したカードは、これだ」
【スカル・ジャッカー】
LP【800】
【スカル・ジャッカー】の魂がツインキラーの双剣に宿る。
「魂を戦いの糧とするツインキラーの攻撃!」
ツインキラーは勢いよく飛び上がり、【カオス・ロアー】を切りつけた。
【カオス・ロアー】
DG【0→800】
LP【2500→1700】
「ターンエンドだ」
「俺のターン、メインドロー!」
ジャンクゾーンにカードを増やせばその分だけ強くなる。
まずは現状維持に努めるべきだろう。
「フォースチャージして、追加ドロー!」
ドローしたカードを見て、うっすら汗を垂らす。
かなりの荒業だが、やってみる価値はある。
「フォースを1つ消費して、アシストガーディアン【カオス・チャージャー】を召喚!」
樽を抱えた黒い甲冑の大男が出現した。
【カオス・チャージャー】
SF【1】
GT【ノーマル/アシスト】
Tr【カオス】
DG【0】
LP【1000】
「そして、更にフォースを1つ消費し、アシストガーディアン【カオス・キャノン】を召喚!!」
「何?!」
イクサはキャノンをチャージャーの上に重ねるようにアシストゾーンに召喚する。
【カオス・キャノン】
SF【1】
GT【ノーマル/アシスト】
Tr【カオス】
DG【0】
LP【600】
背中に大砲を装備した青年が現れた。
「そして、魂の継承!!」
【カオス・キャノン】に【カオス・チャージャー】の魂が受け継がれる。
「なっ、アシストガーディアン同士で魂の継承だと?!」
「カオストライブは、こういうこともできる! そして、【カオス・キャノン】のアシストアビリティを発動!」
【カオス・キャノン】
【アシストアビリティ】
【自】(あなたのセットフェイズ終了時)
┗このターン、あなたはダイスステップをスキップしてバトルフェイズを開始する。相手のアタックガーディアンにXダメージ与える。(Xは、あなたの【カオストライブ】のアタックガーディアンのSF×500)
「ツインキラーに1000のダメージを与える!!」
【カオス・キャノン】は大砲の狙いをツインキラーに定める。
大砲から発射された光弾がツインキラーに命中する。
【不死の双剣使い】
DG【-300→700】
LP【3100→2100】
「俺はこれでターンエンド!」
「中々やってくれるじゃないか、メインドロー!」
フジミのターン。
ドローしたカードを手札に加えて、カードを1枚選択する。
「フォースチャージして、追加ドロー!」
追加ドローしたカードを手札に加え、歯をギリッと噛み締めて忌々しそうにイクサを睨む。
「まさかアシストガーディアン同士でも魂の継承ができるとはな……。正直、計算が狂った。貴様からのダメージはもう少し先だと思っていたからな。手札からポテンシャルアビリティを発動!」
【彷徨える魂】
【ポテンシャルアビリティ】
【起】(COST:手札のこのカードを相手に公開し、ジャンクゾーンに送る)
┗あなたのターン、コストを支払うことで発動できる。そうしたら、あなたのジャンクゾーンからSF【2】以下のアシストガーディアンをフォースを消費せずに召喚する。
「ジャンクゾーンより蘇れ! アシストガーディアン【スカル・ジャッカー】を召喚!!」
【スカル・ジャッカー】
SF【1】
GT【ノーマル/アシスト】
Tr【アンデッド】
DG【0】
LP【800】
身体が骨で構成されている骸骨の戦士が現れた。
「そして、【スカル・ジャッカー】のアシストアビリティが発動する!」
【スカル・ジャッカー】
【アシストアビリティ】
【起】(COST:フォースを1枚消費し、山札からカードを5枚ジャンクゾーンに送る)
┗あなたのターン、コストを支払うことで発動できる。そうしたら、あなたの【アンデッドトライブ】のアタックガーディアンを500リペアし、このカードをジャンクゾーンに送る。
「フォースを1枚消費し、デッキからカードを5枚、ジャンクゾーンに送る。ツインキラーを500リペアする」
【不死の双剣使い】
DG【700→200】
LP【2100→2600】
「ダイスステップ。サイコロを振る」
サイコロの目は、【5】。
【不死の双剣使い】
【1】【2】【3】……あなたのジャンクゾーンのSF【1】以下のカードを1枚選択し、その選択したカードのLPの値のダメージを相手のアタックガーディアンに与える。
【4】【5】【6】……あなたは自分の山札の上のカードを1枚、ジャンクゾーンに送る。そうしたら、相手のアタックガーディアンにX00ダメージを与える。(Xはジャンクゾーンに送ったカードのSF×2)
「フォースを1つ消費して、バトルフェイズ! デッキトップのカードをジャンクゾーンに送る」
【不死の弓手】
SF【3】
「SF【3】のカード、よって600のダメージを与える!」
ツインキラーの双剣にアーチャーの魂が宿り、【カオス・ロアー】を切りつけた。
【カオス・ロアー】
DG【800→1400】
LP【1700→1100】
「ターンエンドだ」
「俺のターン、メインドロー!」
(ヤバイな……)
イクサはそう思い、手札を見る。
フジミはアシストガーディアンの効果でアタックガーディアンを回復してくるため、LPの差は中々縮まらず、このままではやがて開いていくだろう。
このターンで何かアクションを起こさなければ。
「フォースチャージして、追加ドロー!」
しかし一方で、イクサには【カオス・チャージャー】の能力を受け継いだ【カオス・キャノン】がいる。
バトルフェイズにフォースを使用しなくて良いので、召喚できるガーディアンの幅が広がる。
「フォースを3つ消費して、アタックガーディアン【カオス・ストライカー】を召喚!!」
背中にスラスターを内蔵したバックパックを持った黒い鎧の戦士が出現した。
【カオス・ストライカー】
SF【3】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【カオス】
DG【1400】
LP【3500→2100】
それでもLPはまだツインキラーと500の差がある。
「魂の継承!!」
【カオス・ストライカー】に、【カオス・ベビーナイト】と【カオス・ロアー】の魂が受け継がれる。
さて、どうしたものか。イクサは思案する。
ダイスステップの際にサイコロの目が当たる確率は1/2。
いや、まだアタックアビリティを発動する必要は無い。なぜなら、安定してダメージを与えられる【カオス・キャノン】があるのだから。わざわざ賭けに出る必要はないだろう。
「【カオス・キャノン】のアシストアビリティ発動!」
【カオス・キャノン】
【アシストアビリティ】
【自】(あなたのセットフェイズ終了時)
┗このターン、あなたはダイスステップをスキップしてバトルフェイズを開始する。相手のアタックガーディアンにXダメージ与える。(Xは、あなたの【カオストライブ】のアタックガーディアンのSF×500)
「よって、ツインキラーに1500のダメージを与える!」
「くっ……クククッ」
「っ?!」
フジミは突然笑いだした。
そして、フォースを1枚裏返す。
「フォースを1枚消費し、カウンターカード【真実の鏡】を発動!」
【真実の鏡】
FORCE【1】
【カウンター】
【自】(カウンターステップ時)
┗あなたは相手のダメージ効果の対象を変更し、半分のダメージを変更したカードに与えることができる。
「俺は、攻撃対象を【カオス・キャノン】に変更!」
「えっ?!」
「ダメージ量1500の半分……つまり750のダメージを、【カオス・キャノン】に与える!!」
【カオス・キャノン】から発射された光弾が【真実の鏡】に吸収され、そのまま【カオス・キャノン】に返ってきた。
【カオス・キャノン】
DG【0→750】
LP【600→0】
LPが0になったことで、【カオス・キャノン】と【カオス・チャージャー】がジャンクゾーンに送られた。
「これで目障りな砲撃が無くなったな」
「っ……。だけど、【カオス・チャージャー】がジャンクゾーンに送られたことで、ポテンシャルアビリティが発動!!」
【カオス・チャージャー】
【ポテンシャルアビリティ】
【自】(このカードがジャンクゾーンに送られた時)
┗あなたの山札から【カオストライブ】のカードを2枚選び、表状態でチャージゾーンに置く。
イクサはデッキからカードを2枚選択し、チャージゾーンに置いた。
しかしマズイことになった。これでは再びLPの差が開いていくことになる。
「ターン、エンド……」
「俺のターン、メインドロー」
続いてフジミのターンだ。
「フォースチャージして、追加ドロー! ……ほう、このカードを引いたか」
フジミは追加ドローしたカードを掲げる。
「不死の力、今から存分に見せてやろう。フォースを3つ支払い、アシストガーディアン【不死の王宮騎士】を召喚!!」
肌が青く変色した、ゾンビの騎士が現れた。
【不死の王宮騎士】
SF【3】
GT【ノーマル/アシスト】
Tr【アンデッド】
DG【0】
LP【2000】
「ジャックのポテンシャルアビリティを発動する!」
【不死の王宮騎士】
【ポテンシャルアビリティ】
【自】(このカードを召喚したアピアステップ時)
┗あなたは自分の山札から【不死の女王騎士】を1枚まで選んで、ジャンクゾーンに送る。
「これにより、クイーンをデッキからジャンクゾーンに送る。さらに、ジャックのアシストアビリティを発動!」
【不死の王宮騎士】
【アシストアビリティ】
【起】(COST:フォースを1枚消費し、あなたの山札からカードを5枚ジャンクゾーンに送る)
┗あなたのターン、コストを支払うことで発動できる。そうしたら、あなたのジャンクゾーンから【不死の女王騎士】を1枚選び、フォースを消費せずに召喚する。
「フォースを1つ消費してデッキからカードを5枚、ジャンクゾーンに送る。クククッ。俺は運が良い。今のジャックの効果で、必要なカードが全てジャンクゾーンに置かれた」
小さく笑い、ジャンクゾーンからカードを1枚手に取る。
「【不死の女王騎士】を、ノーコストで召喚!!」
【不死の女王騎士】
SF【4】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【アンデッド】
DG【200】
LP【3500→3300】
あっという間にSF【4】のガーディアンが召喚され、イクサの声が震える。
「そんな……」
「まだ絶望するのは早いぜ? 次のターン、今度はクイーンの能力によってキングが召喚され、やがてジョーカーが召喚される……。ダイスステップ!」
サイコロの目は、【3】
【不死の女王騎士】
【1】【2】【3】【4】【5】【6】……あなたのジャンクゾーンに【不死の帝王騎士】がある場合に、攻撃できる。相手のアタックガーディアンに1000のダメージを与える。
「フォースを1枚消費、バトルフェイズ! 【カオス・ストライカー】に1000のダメージを与える!!」
青い肌に金髪を靡かせる女王の剣が、【カオス・ストライカー】に襲いかかる。
【カオス・ストライカー】
DG【1400→2400】
LP【2100→1100】
LP差が2200になってしまった。
この差を埋めるのは中々にキツイ。
「これでターンエンドだ」
「っ……俺のターン、メインドロー!」
とにかく今のイクサがすべきことは、次のフジミのターンでなるべくこれ以上LPを削られないようにするしかないことだけである。
「フォースチャージして、追加ドロー!!」
追加ドローで手元に来たカードを横目で確認する。
(よし、これで乗り切れば……)
「フォースを4つ消費して、アタックガーディアン【カオス・リフレクター】を召喚!!」
黒いプレートアーマーを持った戦士が出現した。
【カオス・リフレクター】
SF【4】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【カオス】
DG【2400】
LP【5000→2600】
「そして、トライブアビリティ発動! 魂の継承!!」
【カオス・リフレクター】に、魂を繋いだ仲間達の能力が宿る。
「さらに、フォースを2枚消費して、アシストガーディアン【カオス・巫女・ナイト】を召喚!!」
黒と白の巫女服の上に黒い甲冑を身に纏った女騎士が現れた。
【カオス・巫女・ナイト】
SF【2】
GT【ノーマル/アシスト】
Tr【カオス】
DG【0】
LP【1700】
確かに巫女ナイトのカウンターアビリティを使えば、次のターンを生き残ることは可能だろう。
防御面はこれで完璧であると言える。
「フォースを使い切ったから、これでターンエンドです」
「フッ、巫女ナイトのカウンターアビリティを狙っているのだろうが。それだけで果たして生き残れると思うなよ?」
「え……?」
「まあ、見てれば分かるさ。俺のターン、メインドロー。フォースチャージして、追加ドロー。クイーンのポテンシャルアビリティを発動!!」
【不死の女王騎士】
【ポテンシャルアビリティ】
【起】(COST:あなたのアシストゾーンの【不死の王宮騎士】をジャンクゾーンに送り、フォースを1枚消費する)
┗あなたのターン、コストを支払うことで発動できる。そうしたら、あなたのジャンクゾーンから【不死の帝王騎士】を、フォースを消費せずに召喚する。
「ジャックをジャンクゾーンに送り、フォースを1枚消費する。墓場より蘇れ! 【不死の帝王騎士】を、ノーコストで召喚!!」
【不死の帝王騎士】
SF【5】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【アンデッド】
DG【200】
LP【4900→4700】
「そして、ジャンクゾーンに送られたジャックのもう1つのアシストアビリティが発動!!」
「っ?!」
【不死の王宮騎士】
【アシストアビリティ】
【自】(このカードがアシストゾーンからジャンクゾーンに送られた時)
┗ジャンクゾーンに【不死の女王騎士】と【不死の災狂騎士】があるなら、フォースを3枚消費して【不死の災狂騎士】を、フォースを消費せずに召喚する。
「さあ、墓地から招来せよ!! 最強の不死の騎士よ!!【不死の災狂騎士】!!」
【不死の災狂騎士】
SF【6】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【アンデッド】
DG【200】
LP【5800→5600】
鎖で拘束された三本の剣を携えた、不死の災狂騎士が、現れた。
「っ……」
「ジョーカーの武器である三本の剣は、忌々しき呪縛によって拘束されている。だがその呪縛も、三騎士の魂を喰らうことで解放される!!」
【不死の災狂騎士】
【ポテンシャルアビリティ】
【永】
┗このカードはバトルを行えない。
【起】(COST:フォースを1枚消費する)
┗あなたのターン中、コストを消費することで発動できる。このターンの間、あなたのジャンクゾーンに【不死の王宮騎士】、【不死の女王騎士】、【不死の帝王騎士】があるなら、このカードは【永】を失う。
「フォースを1つ支払う! 墓場に眠りし3つの魂が剣に宿る時、呪縛は解き放たれる!!」
ジャック、クイーン、キング。3つの魂がジョーカーの三本の剣に宿った時、拘束の鎖が砕け散った。
「トライブアビリティ発動! 永遠なる魂の宴!!」
「っ!!」
【不死の災狂騎士】
【トライブアビリティ】
【起】(COST:フォースを1枚消費する)
┗あなたのターン、コストを支払うことで発動できる。そうしたら、あなたはダイスステップをスキップしてバトルフェイズに移行する。このカードは3回攻撃する。1回目は1000のダメージ、2回目は2000ダメージ、3回目は3000ダメージ、それぞれを、相手のガーディアンカードに与える。攻撃対象は、あなたがそれぞれ指定できる。
「攻撃回数が、3回も!?」
「これが、ジョーカーの力。まず一撃目は、【カオス・リフレクター】だ!」
一撃目……つまり、1000ダメージ。
2000、3000と、続けざまで来るのなら、まずは大人しく受けた方が良い。
巫女ナイトのカウンターアビリティは1ターンに一度しか使えないのだから。
ジョーカーの一撃目が、【カオス・リフレクター】に直撃した。
【カオス・リフレクター】
DG【2400→3400】
LP【2600→1600】
「続いて、二撃目…」
(来る!!)
イクサは身構える。
だが、そんなイクサに対して、フジミはニヤリと笑う。
「攻撃対象は、【カオス・巫女・ナイト】だ!!」
「えっ?!」
これではカウンターアビリティが発動できない。
ジョーカーの二撃目が、巫女ナイトを貫いた。
――マスター、お役に立てず、申し訳ありません……――
【カオス・巫女・ナイト】
DG【0→2000】
LP【1700→0】
巫女ナイトは、ジャンクゾーンに送られてしまった。
「さあ、いよいよ三撃目。3000のダメージだ。攻撃対象は、【カオス・リフレクター】だ!!」
「っ……!!」
「これで終わりだ!!」
――俺は、負けるのか……?
ジョーカーの剣がリフレクターに迫るのを、イクサはただ呆然と眺めていた。
そんな時だ。
――苦しい時は、周りをよく見ろ――
カイトの声が、脳裏に過ぎる。
「ッ!!」
ジョーカーの三撃目が、【カオス・リフレクター】を、貫いた……。
巻き起こる爆風。
フジミは、勝利の笑いをあげる。
「ぐははは! 俺の完全勝利だ!!」
次第に爆風は収まった。
次の瞬間、
「な……なに?」
その声は驚愕に染まる。
収まる爆風から段々と、人影が見えてきたのだ。
「そ、そんなはずは……」
爆風が、止んだ。
【カオス・リフレクター】
DG【3400→4900】
LP【1600→100】
ギリギリだが、【カオス・リフレクター】は生きていたのだ。
「な、なぜだ! ありえない!! 【カオス・リフレクター】は、3000のダメージを受けたはずだ!!」
「ええ、確かに。【カオス・リフレクター】はジョーカーの攻撃を受けました。ただし、半分だけ」
「な…にぃ?」
「危なかったですよ、本当に。【カオス・リフレクター】のカウンターアビリティを発動させてなきゃ、負けてました」
「か、カウンターアビリティ……だと?」
【カオス・リフレクター】
【カウンターアビリティ】
【自】(カウンターステップ時)
┗1ターン一度、このカードが受けるダメージ効果1つを半分にできる。
「そ、そんな効果が、あっただと?!」
「さあ、どうします?」
「くっ……、ターンエンドだ!」
「なら。俺のターン、メインドロー!」
あの時、不意にカイトの声が脳内に響いた。
それでイクサはとっさにカオス・リフレクターの効果テキストをよく見た結果、この効果に気付いたのだ。本当に危機一髪である。
だが生き残ったとはいえ、巫女ナイトは封じられ、リフレクターの残りLPを考えるれば、カウンターアビリティはもう使えないだろう。
手札を見ても、起死回生と言えるほどのカードもない。
ジョーカーのLPは、5600。
つまりこのバトルを勝利するためには、それ以上の火力を、このターンで叩き出さなきゃいけないのだ。
「フォースチャージして、追加ドロー!!」
――っ!!
イクサはドローしたカードを確認し、思わず顔が綻んだ。
「起死回生のカード、引き当てた!!」
「なに?!」
「フォースを5つ消費して、【カオス・エンペラー・ロード】を召喚!!」
【カオス・エンペラー・ロード】
SF【5】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【カオス】
DG【4900】
LP【6000→1100】
大剣を携えし、混沌の皇帝が舞い降りた。
「フォースを1枚消費して、魂の継承発動!!」
「フォースを消費しただと? どういうことだ!!?」
「【カオス・エンペラー・ロード】は、今までのカオスとは違うトライブアビリティを持っている。そしてそれは、フォースを1枚消費する事で発動できる!!」
【カオス・エンペラー・ロード】
【トライブアビリティ】
【永】
┗このカードのアピアステップ時、前のガーディアンはアンダーカードとして、このカードの下に置かれる。
【起】(COST:フォースを1枚消費する)
┗あなたのターン、コストを支払うことで発動できる。そうしたら、あなたのジャンクゾーンに存在する【カオストライブ】のガーディアンカードを3枚まで選び、このカードの下にアンダーカードとして置いてこのターンのダイスステップをスキップし、バトルフェイズに移行する。相手のアタックガーディアンにXのダメージを与える。(Xは、このカードのアンダーカードの【カオストライブ】の枚数×800)
「よって、ジャンクゾーンに存在する、チャージャー、キャノン、巫女ナイトを、【カオス・エンペラー・ロード】の下に置く。傷つき倒れた仲間達よ、エンペラー・ロードに力を与えよ!!」
【カオス・エンペラー・ロード】の大剣が光輝く。
「カオストライブのアンダーカードは、ベビーナイト、ロアー、ストライカー、リフレクター、チャージャー、キャノン、巫女ナイトの7枚。よって合計ダメージは、5600ジャスト!!」
「くっ……そんな、バカな……!!」
「仲間達の魂の数だけ、このカードは強くなる!! エンペラー・ロードの攻撃!!」
【カオス・エンペラー・ロード】の大剣が、ジョーカーに振り下ろされる。
ジョーカーはそれを三本の剣で受け止めようとするが、所詮は魂を喰らうだけのアンデッドの剣……魂を繋いでそれを大いなる力に変換したカオスの剣に敵うはずもなく、砕け散った。
大剣が、ジョーカーを一刀両断する。
【不死の災狂騎士】
DG【200→5800】
LP【5600→0】
灰となって、跡形もなく消滅した。
「はあ……なんとか、勝てた」
イクサは緊張が解け、ホッと息を吐く。
それも、本当にギリギリである。
あそこで【カオス・エンペラー・ロード】を引けていなかったら、間違いなく負けていただろう。
イクサは項垂れているフジミに駆け寄る。
「さあ、鹿羽会長。俺が勝ちました。事件の真相を、教えて下さい!」
「事件の、真相? ふふふ、ふはは……。そんなの、このカードを見れば一目瞭然だろうよ」
そう言って懐からこの学園のIDカードを取り出し、イクサに渡した。
「これは?」
「諸星シンヤが持っていたものだ。おそらくそのIDカードで、学園内に侵入したんだろう」
「え、でも……これって…」
「驚くのも無理はないだろうな。俺もそれを見た時、これは面白くなる、と思った。クククッ……くはははは!!」
狂ったように笑い続けるフジミに対し、イクサは段々気味が悪くなり、扉の鍵を開けて早々に退室した。
イクサがいなくなり、一人残っているフジミは生徒会室の壁を思いっきり殴る。
「潰す…潰してやる……カードバトル部なんか、潰してやるっ……」
◇◇◇◇◇
「おっ、イクサ。遅かったな。大か?」
「違うよ」
教室に戻ると、カイトが机に頭を乗せていた。
「あ、そうだ。イクサ」
「なに?」
「部長がさ。今日の放課後に緊急集会をするんだと」
「緊急集会……」
「お前も来る? まあ、どうせ優柔不断なお前のことだから断るんだろうけど」
「いや、行くよ。その緊急集会」
「だよなぁ、来るわけ―――ってえぇ?! どうした、一体?! やっぱり大だったのか?!」
「大は関係ないでしょ……。なに、来ちゃ駄目なの?」
「も、勿論ノープロブレムだぜ! いやぁ、俺はお前を信じてたぞ、うんうん!!」
「さっき、どうせ来ないとか言ってたくせに……」
「昔のことは忘れたぜ!!」
「おいおい……」
調子の良いことばかり言っているカイトに、イクサは思わず呆れる。
―――キーンコーンカーンコーン
すると、昼休みが呆気なく終わってしまった。
ただイクサからすれば、とても濃い昼休みであっただろう。
時は流れて、放課後。
イクサ、カイト、ナミの三人がカードバトル部の部室に向かっていた。
「っていうか、なんでナミまで」
「暇だから〜♪」
「歌うな」
ナミに絡むイクサに対し、カイトはなだめる言葉をかける。
「まあまあ、いいじゃんイクサ。人数が多いに越したことないんだし」
「そーだ、そーだ!」
カイトの言葉に乗っかるナミに対して溜め息を吐き、イクサは部室の壁紙を見る。
変わった張り紙が張られた扉――……部室の前に到着。
早速カイトが扉を開ける。
「東條部長、緊急集会って何ですか?」
扉を開けるなり、カイトはそう言って入室した。
部室のソファーでは副部長のリンナが寝ており、部長のユキヒコは椅子に座って小説を読んでいたようだ。
「やあ、戦宮くん。……あれ? 聖野くんと早乙女さんも一緒かい?」
イクサは、意を決したように一歩前に出た。
「緊急集会の前に、1つだけ……聞きたいことがあります」
「……なにかな?」
「これ、なんだか分かります?」
イクサは、懐から取り出したIDカードをユキヒコに見せる。
ユキヒコはニッコリと笑う。
「ああ、それは俺のIDカードだね。良かった、無くしちゃって困ってたんだよ。聖野くんが拾ってくれてたんだね」
「いつ、紛失したんですか?」
「……何が、言いたいんだい?」
「このIDカードは、諸星シンヤが持っていたそうです」
『えっ?!』
カイト、ナミ、リンナが一斉に驚く。余談だが、いつの間にかリンナが起きていたことに対しても、カイトとナミは目を剥いていたた。
ユキヒコはイクサを聞いても相変わらずにこやかに応対する。
「へえ、そうなんだ。それで?」
「諸星シンヤは、このIDカードを使って学園内に侵入したらしいです」
「つまり君は、こう言いたいのかい? 諸星シンヤにカードバトル部を襲わせたのは俺、だと」
「証拠はこれだけですから、断定はしません。あくまでも、貴方の口から真実を知りたいんです」
「………フッ」
ユキヒコは小さく自嘲気味に笑い、それでも尚、笑顔を顔に貼り付ける。
「そこまで言われたら言うしかないかな。キミも色々と大変な目に遭ったみたいだから」
そう言った直後、ユキヒコの顔が真顔になり、オーラに冷たさが宿る。
――ゾクッ
イクサを含めた全員が、その豹変に戦慄した。
「うん。俺がシンヤに頼んで、カードバトル部を襲わせた。まさかシンヤが重傷を負うとは、思わなかったけどね」
イクサは生まれて初めて、人間に恐怖心を覚えた。
【号外! フィニッシュカード特集!!】
イクサ「鹿羽会長、強敵だったぜ」
カイト「でも、なんとか勝てて良かったな」
イクサ「おう。今回のフィニッシュカードは【カオス・エンペラー・ロード】だ!」
カイト「本編では5600っていう大火力を叩き出したな」
イクサ「フォースを1つ消費してトライブアビリティを発動。フィールド上のカオストライブのカードを3枚まで選択して自身の下に置ける。そして、下に置かれている枚数だけパワーを得るんだ!」
カイト「なるほどなぁ。あ、それにしても、まさか犯人が部長だったなんて……」
イクサ「ということで。次回、学園編完結だ」
次回もお楽しみに☆




