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TCG バトル・ガーディアンズ  作者: あんころもちDX
第1章・学園編
21/66

BATTLE:010【衝撃! 絶対零度の凍結!!】

 今話で、学園編はめでたく完結です!


 お知らせとして、新しくガーディアン達のパラメーターにDGというのを追加しました。これは味神ユウキさんの案で、ガーディアンのダメージ量を表しています。


 お詫びの言葉としては、バトル描写を一部カットしてます。アニメで言えば、序盤を見せた後にCM突入。CM明けにはもう終盤、みたいな。そんな感じのカットの仕方です。

 勉強が忙しくて、ノーカットで書く気力が湧きませんでした……すみません。

「それ、一体どういうことですか?!」


 カイトはユキヒコに詰め寄り、事情を聞こうとする。


「言葉通りの意味さ」


「そんな……一体、なんのために!?」


「簡単な話だよ。戦宮くん、並びにリンナ。今の君達の体たらくでは全国大会は勝ち残れない。そう判断したからだ」


「えっ……」


 カイトが絶句する。

 その横で、リンナは気まずそうにしている。


「ただ楽しくカードバトルできればいい。それはなによりも大切なことだが、もっと大事なのは、常に強くあろうとする心だ。向上心無くして、人は成長しない」


 ユキヒコは自嘲気味に笑う。


「だから、少々荒療治な手を使わせてもらうことにした。そして、俺の昔馴染みのシンヤに頼んだ」


「……東條部長…」


 カイトは先程の勢いを無くし、意気消沈していた。


「戦宮くん。一応言っておくが、これは俺の独断じゃない。リンナも承認済みだ」


「なっ?!」


 カイトは目を大きく開いてリンナの方を向く。

 リンナは小さく「黙っててごめんなのだー……」と弁解していた。

 ユキヒコはカイトに言う。


「俺はな、この三人で全国大会を勝ち抜きたかったんだ。でもそれには、二人の力は足りなさすぎる。断言しよう。今の二人の実力は、聖野くんと早乙女さんに劣っている!!」


「「………」」


 ユキヒコの言葉で、ただただ黙る二人。


「部長さん、少し言い過ぎでは……」


「君は黙っていろ、聖野くん。君は部員ではない。君には関係のないこと。これは、カードバトル部である俺達の問題だ」


「……だったら」


 そう言うとイクサは一歩前に出て、ユキヒコに入部届を突き出す。

 今日渡そうと、朝の段階から密かに用意していたものだ。


「入部すれば、俺も話に入れますよね?」


「イクサ?!」


 カイトは目を見開いてイクサを見た。

 ユキヒコは少し目を細め、入部届を見つめる。


「どういう心境の変化かな? てっきりキミは、入部しないと思っていたんだけど」


「確かに、俺も最初は入部する気なんてありませんでした」


「だったら、どうして」


「……カードゲームは、一人ではできないからです」


「それは、どういう意味かな?」


「そのままの意味ですよ。一人ではできないからこそ、自分一人の力だけでは、強くなるのには限界がある。なら、その限界はどうやったら超えられるか」


 イクサは一瞬だけカイトの方を向き、すぐにユキヒコに向き直る。


「『苦しい時は、周りをよく見ろ』。そう教えてくれた奴がいるんです。凄く当たり前のことですよね。でもそう言われるまで、俺はそれに気づかず忘れてて、だからこそ思ったんです。一人で見る景色より、仲間と一緒の方が、きっとより多くのモノを見ることができる、って」


「……」


「互いに足りない部分を補い合う……それがきっと、強くなるための一番の近道なんですよ。せっかくカードゲームを始めたんです。俺だって、もっと強くなりたい。だから、入部したいんです」


「それが、キミが見つけたあの時の回答というわけだね」


「ええ」


 イクサが頷くと、カイトは感動したのか少し鼻声で「イ゛グザ〜!」と声をあげた。


「お前、お前って奴は……」


「困った時こそお互い様、なんでしょ?」


 涙を拭い、カイトは力強く「おう!」とガッツポーズを決める。

 イクサはユキヒコに振り返る。


「これで、俺が話に加わるのに文句はありませんよね?」


 腕を組んでイクサの話を聞いていたユキヒコは、その重い口を開いた。


「キミの意思はよく分かったよ。でも、だからと言って俺はキミの入部を認めたわけじゃない」


「え……」


「仲間と共に強くなる。それは立派なことだ、素晴らしいとさえ思うよ。だけどね、その仲間だって、人間個人として見たら倒すべきライバルだ。いつかは蹴落とさなきゃいけない。なぜなら、それが強くなるってことだから」


「それは……」


「俺からすれば、キミの結論はただの理想論だ。現実味がなく、果てしなく茨の道だ」


「でも、それでも、俺は自分が信じた道を歩みたい。たとえそれが茨の道だとしても、歩き続けるつもりですよ」


「なら、それを俺に証明してみせてくれ。これで、ね?」


 そう言って、ユキヒコはブレザーからデッキケースを取り出した。


「仲間と共に強くなる、その結論に行き着いたキミなら分かるよね? カードバトルは、口より物を言う。キミの覚悟を、俺とのバトルで見せてくれ」


「……望むところです」


 イクサも自分のデッキを構える。

 ユキヒコとの己の威信をかけたバトル。

 イクサはユキヒコのデッキから、何か強大な力を感じていた。

 今までの相手とも、フジミ以上の力を感じる。

 手札交換を済ませ、準備が完了した二人はテーブルを挟んで向かい合う。

 心なしか、イクサの手が震える。


「「ダイス・セット!!」」



 それでも、やるしかない。

 そう思いながら、ドローフェイズを開始する。

 先攻はイクサだ。


「俺の先攻、ドロー!」


 ユキヒコがどんな戦い方をするか分からない以上、一気にガーディアンを召喚して守りを固めるべきだろう。


「フォースチャージして、追加ドロー! 手札からポテンシャルアビリティを発動!」


【カオス・ミクロナイト】

【ポテンシャルアビリティ】

【永】

 ┗あなたのアタックゾーンに【カオストライブ】のガーディアンがいないのなら、手札のこのカードをSF【0】として扱う。



「よって、アタックガーディアン【カオス・ミクロナイト】をノーコストで召喚(サモン)!!」


【カオス・ミクロナイト】

SF【1】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【カオス】

DG【0】

LP【1500】



「さらに、手札からポテンシャルアビリティを発動!」


【カオス・ロアー】

【ポテンシャルアビリティ】

【永】

 ┗自分フィールド上のアタックゾーンに【カオストライブ】のカードがあるなら、手札のこのカードをSF【1】として扱う。



「フォースを1つ消費し、【カオス・ロアー】を召喚(サモン)!!」


【カオス・ロアー】

SF【2】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【カオス】

DG【0】

LP【2500】


「そして、ロアーはミクロナイトの魂を受け継ぐ! 魂の継承(ソウルサクシード)!!」


 フジミとのバトルの時に使った戦法であり、これでイクサのフィールドにはSF【2】のカードが召喚された。

 序盤は攻撃せずに場を整え、ひたすら防御に徹する。これがイクサなりに見つけたカオストライブの戦い方である。


「ターンエンド!」


「俺のターン、ドロー」


 ユキヒコはカードを手札に加え、チャージ用のカードを選択する。


「フォースチャージして、追加ドロー。手札からアタックガーディアン【ブリザード・スパイク】を召喚(サモン)!」


【ブリザード・スパイク】

SF【0】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【ブリザード】

DG【0】

LP【500】



「ブリザードトライブ……初めて見るトライブだ…」


 イクサがユキヒコのカードに釘付けになっていると、カイトが声をかけてきた。


「イクサ、気を付けろ。部長のブリザードトライブは、かなり強力な効果を持ってる!」


「強力な……効果?」


 カイトの助言を受け、イクサは身構える。


「フッ。そう警戒しないでくれ。まだバトルは始まったばかりなんだからさ。じゃあ、サイコロを振るよ」


 ユキヒコは笑顔を浮かべ、サイコロを振った。


【4】


【ブリザード・スパイク】

【1】【2】【4】……相手のアタックガーディアンに300のダメージを与える。このバトルフェイズ中に相手がカウンター効果を発動しなかったら、相手は次の自分のターンにアシストガーディアンを召喚できない。

【3】【5】【6】……あなたは手札を2枚捨てる。そうしたら、相手は次の自分のターンにカードを召喚することはできない。



「フォースを1枚消費して、バトルフェイズ。【ブリザード・スパイク】の攻撃!」


【カオス・ロアー】

DG【0→300】

LP【2500→2200】


「そして、聖野くん。キミがカウンター効果を発動しなかった事によって、キミのアシストゾーンは凍結する!」


「っ!?」


 次のターン、イクサはアシストゾーンにアシストガーディアンを召喚できなくなった。守りを固める上で、これは中々の痛手だ。


「そう簡単に準備を整えさせるほど、俺は優しくないよ」


「さすがですね……」


「俺のターンはこれで終了。君のターンだ」


「言われなくとも。俺のターン、ドロー! フォースチャージして、追加ドロー!!」


 イクサのフィールドにはフォースが2枚、アタックガーディアンが1体。

 アシストゾーンは封じられたので、アシストガーディアンの召喚はできない。

 かといって、SF【3】のアタックガーディアンが召喚できるわけでもなく、攻撃できるほどのアタックアビリティも揃っていない。


(いや、一か八か攻撃してみるか?)


 イクサはアタックゾーンに存在している【カオス・ロアー】を見ながら思った。

 【カオス・ロアー】のLPはまだ2200。現在はそもそもゲームの序盤であり、たとえ攻撃に失敗して弱体化したとしても、1ターンで瀕死になるほどの大ダメージを負うことは考えにくい。

 イクサは思いきった行動に出る。


「ダイスステップ、サイコロを振る!」


 サイコロの目は【2】


【カオス・ロアー】

【1】……相手のアタックガーディアンに200のダメージを与える。

【2】……相手のデッキからカードを8枚、ジャンクゾーンに送る。



「よし、目を当てた!! フォースを1つ消費してバトル!!」


「なるほど、賭けに出たわけか。まあ、妥当な判断かもしれないね。だが、ブリザードトライブ使いである俺に対して、フォースを使用しないでおくのは得策とは言いがたい」


「えっ?!」


「手札からカウンターカード【横取り】を発動!」


【横取り】

FORCE【0】

【カウンター】

【自】(カウンターステップ時)

 ┗あなたは相手の表状態のフォースを2枚まで選択して裏状態にし、その枚数だけあなたは自分の裏状態のフォースを表状態にする。



「よって、君のフォースを1枚裏状態にし、俺のフォースは1枚回復。そしてこの瞬間、手札のこのカードのポテンシャルアビリティを発動!」


【ブリザード・サーヴェイ】

【ポテンシャルアビリティ】

【自】(あなたがカウンター効果を発動した時)

 ┗あなたは手札のこのカードをジャンクゾーンに送り、手札のカウンターカードを1枚選んでその効果を発動できる。



「手札のサーヴェイをジャンクゾーンに捨て、このカードの効果を発動する! カウンターカード【バトルルーレット】を発動!」


「なっ、カウンター効果をもう一度発動させるなんて!!」



【バトルルーレット】

FORCE【1】

【カウンター】

【自】(カウンターステップ時)

 ┗あなたは偶数か奇数のどちらか一方を選択する。あなたはサイコロを振り、その出た目が選択したものなら、相手のアタックアビリティ1つの効果対象を相手に変更できる。



「フォースを1枚消費。俺が選択するのは奇数だ。サイコロを振る」


 ユキヒコが振ったサイコロの目は……【3】。

 奇数である。


「よって、【カオス・ロアー】の攻撃は聖野くん、君に変更される」


「そんなっ?!」


 デッキからカードが8枚、ジャンクゾーンに送られた。


「ブリザードトライブは相手の召喚・行動を封じるトライブ。故に、相手はフォースを召喚のために消費できなくなる。だがそれは、言い換えれば相手にカウンターカードを使うための機会を与えてしまうということ。だからこそ、その対策用のカードも、きちんと俺のデッキには内蔵されているんだよ」


「さすが、部長。自分のトライブを熟知しているんですね」


「そりゃあそうさ。カードを生かすも殺すも、それは俺達カードマスターの手に委ねられているんだからね」


「でも、俺だって、カオストライブの事は熟知しているつもりです」


「そう、なら良いことを教えてあげる。俺のデッキはキミのカオストライブ並びに早乙女さんのアイドルトライブにとっては、ある意味でメタデッキなんだよ」


 ナミが首を傾げていた。

 ブリザードトライブはカオストライブやアイドルトライブのメタ……つまり、天敵であるとユキヒコは言っている。


「たとえそうだとしても、俺は負けませんよ!!」


「クククッ。そう言ってくれると、なんとも頼もしくて嬉しいかぎりだよ!!」


 イクサとユキヒコは、とてもバトルを楽しんでいた。

 ユキヒコが繰り出すブリザードトライブの封印攻撃、多種多様なカウンターカードは、イクサの行動を制限し、自身の被害を最小限に保っていた。

 次はどんな戦法を見せてくれるのか。イクサは内心ワクワクしていた。





 そして、ターンは流れ、あっという間に終盤。


 イクサのフィールドには、SF【5】の【カオス・エンペラー・ロード】とSF【2】の【カオス・巫女・ナイト】があり、フォースは6枚。


【カオス・エンペラー・ロード】

SF【5】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【カオス】

DG【3600】

LP【2400】


【カオス・巫女・ナイト】

SF【2】

GT【ノーマル/アシスト】

Tr【カオス】

DG【0】

LP【1700】



 対して、ユキヒコのフィールドにはSF【4】の【ブリザード・ジャイアント】とフォースが7枚。



【ブリザード・ジャイアント】

SF【5】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【ブリザード】

DG【1000】

LP【4500】


 ライフ差は2100。

 このターンで、ケリを着けるべきだろう。


「俺のターン、ドロー!」


 ドローしたカードを確認する。


(よし。目当てのカードが来た!)


「フォースチャージして、追加ドロー! フォースを6枚消費して、【守護龍 カオスドラゴン】を召喚(サモン)!!」


【守護龍 カオス・ドラゴン】

SF【6】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【カオス】

DG【3600】

LP【7000→3400】


「そして、魂の継承(ソウルサクシード)!!」


 カオス・ドラゴンに仲間達の魂が受け継がれていく。


「フォースを1枚消費して、カオス・ドラゴンに受け継がれたエンペラー・ロードのトライブアビリティを発動!!」


【カオス・ドラゴン】

【トライブアビリティ】

【永】

 ┗このカードのアピアステップ時、前のガーディアンはアンダーカードとして、このカードの下に置かれる。

【起】(COST:フォースを1枚消費する)

 ┗あなたのターン、コストを支払うことで発動できる。そうしたら、あなたのジャンクゾーンに存在する【カオストライブ】のガーディアンカードを3枚まで選び、このカードの下にアンダーカードとして置いてこのターンのダイスステップをスキップし、バトルフェイズに移行する。相手のアタックガーディアンにXのダメージを与える。(Xは、このカードのアンダーカードの【カオストライブ】の枚数×800)



 ジャンクゾーンからカードを3枚選択し、カオス・ドラゴンの下に置く。

 前のターンでもエンペラー・ロードの能力を使ったことで下に置かれたカードの枚数はこれで10枚。


「よって、合計ダメージは8000!!」


 これで勝負が決まる、イクサはそう確信していた。

 しかし、


「フッ。勝ちに急ぎすぎたようだね、聖野くん」


「えっ!?」


 ユキヒコはフォースを1枚裏返してカードの効果を発動させる。


「俺のチャージゾーンには、まだ使われていないフォースが1枚ある。フォースを1枚消費して、手札からカウンターカード【ハーフダメージ】を発動!!」


【ハーフダメージ】

FORCE【1】

【カウンター】

【自】(カウンターステップ時)

 ┗相手のダメージ効果1つの数値を半分にする。



「よって、ジャイアントが受けるダメージは、4000!!」


【ブリザード・ジャイアント】

DG【1000→5000】

LP【4500→500】



「くっ、でも…次のターンさえ乗り切れれば今度こそ!!」


「乗り切れれば、ね。でも断言しよう。キミは次の俺のターンで負ける」


「そんなこと、俺が負けるのはまだ決まってないじゃないですか!」


「なら、それを痛感させてあげよう。俺のターン、ドロー!」


 ユキヒコはドローしたカードを見て小さく微笑む。


「フォースチャージして、追加ドロー」


 そして、カードを掲げた。


「全てを凍らすブリザードの真の力……それが今、唸り声をあげて降臨する! フォースを7枚消費して、【守護龍 ブリザード・ドラゴン】を召喚(サモン)!!」



【守護龍 ブリザード・ドラゴン】

SF【7】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【ブリザード】

DG【5000】

LP【7000→2000】


『しゅ、守護龍のカード?!』


 イクサを含め、全員が驚愕した。

 ユキヒコもまた、イクサ同様に守護龍の持ち主だったのだ。


「驚くのはこれからだ。ブリザード・ドラゴンのトライブアビリティを発動!!」


【守護龍 ブリザード・ドラゴン】

【トライブアビリティ】

【起】(COST:自分の手札のカウンターカードを3枚選んでジャンクゾーンに送る)

 ┗このターン、コストを支払うことで発動できる。そうしたら、このターン中、互いのプレイヤーはFORCE【2】以上のカウンターカード以外の効果を発動できない。ただし、このカードのアタックアビリティは発動できる。



「手札からカウンターカードを3枚捨てる。このターン、巫女ナイトはカウンターアビリティを発動できない。これがブリザード・ドラゴンのトライブアビリティ、絶対零度の凍結ゼロ・アイシクルバインドだ!!」


「そんなっ?!」


「そして、サイコロを振る!」


 ユキヒコのサイコロの目は、【6】。


【守護龍 ブリザード・ドラゴン】

【1】【2】【3】……相手は次のターン、バトルフェイズを行うことはできない。

【4】【5】【6】……相手のアタックガーディアンにXダメージを与える。(Xの値は、あなたのジャンクゾーンにあるカウンターカードの枚数×500)



「フォースを1枚消費して、バトルフェイズ。俺のジャンクゾーンにはカウンターカードが10枚ある。よって、カオス・ドラゴンに5000のダメージを与える!」


「くっ…!!」


 巫女ナイトのカウンターアビリティは封じられている。

 手札にはFORCE【2】以上のカウンターカードもない。

 つまり、絶対にこの攻撃は防げない。

 まさに身体が凍てついて動けないかのような感覚である。



【守護龍 カオス・ドラゴン】

DG【3600→8600】

LP【3400→0】



「俺の、完敗です。部長……」


「いや、【ハーフダメージ】を引けていなかったら、負けていたのは俺だ。キミの覚悟は十分見せてもらったよ、聖野くん」


「え、俺……負けたのに?」

「覚悟とは何も勝つ事でのみしか示されるモノじゃないだろう? キミとバトルをしてみて、キミの仲間に対する気持ちは十分伝わったよ」


「そう……だったんですか」


「うん、聖野くんは本当にこの数日間で強くなったね。これからの成長にも期待できる。これも、仲間のおかげなのかな?」


 そう言うと、ユキヒコはナミの方を向く。


「さて、じゃあ次は早乙女さんかな?」


「えっ?! わ、私!?」


 突然話題を振られたナミは慌てふためいた。

 ユキヒコは頷く。


「うん。聖野くん曰く、仲間と一緒ならより強くなれるらしいからね。なら、仲間は多いに越したことは無い。それに、戦宮くんから聞いたけど、早乙女さんは凄く強いらしいね。一度手合わせをしたいと思っていたんだ」


「え……あの……その」


 いつもおちゃらけているナミだが、実は割りと人見知りだったりする。

 イクサは勇気付ける意味も込めて、軽く背中を押す。

 ナミが横目でチラッとイクサを見てきたので頷く。

 それで観念したのか、


「……よろしく、お願いします…」


 制服のポケットからデッキケースを取り出した。




 ◇◇◇◇◇



「負けたぁ!!」


 結果だけ言おう。

 ナミの完敗だった。

 ユキヒコのブリザードトライブのガーディアンの効果によってアシストガーディアンの動きを完全に封じられ、為す術なく速攻でやられた。


「私のアイドルトライブ、アシストガーディアンが主体なのにぃ」


 なるほど、だからブリザードトライブはアイドルトライブの天敵と言えるのか。

 イクサは納得する。

 ユキヒコは満足そうに頷いてる。


「うんうん。早乙女さんも腕は悪くないね。アイドルトライブの特性をしっかり理解してる。でもアシストガーディアンに頼りきった戦い方じゃ、さっきみたいに封じられればすぐに倒されるから、そこを見直してデッキを作り直してはどうだろう?」


「はーい。了解しましたー!」


 ナミはユキヒコに対して敬礼のポーズをする。すっかり打ち解けたようで、先程のような人見知りさは成りを潜めたようだ。

 ユキヒコは小さく笑ってイクサに言う。


「仲間と一緒に強くなる……こういうのも、悪くないかもしれないね」


「はい」


 イクサは力強く頷く。

 それを見たユキヒコはカイトとリンナの方を向いて頭を下げた。


「二人ともすまない。さっきは強く言い過ぎた」


 それに対し、カイトとリンナも頭を下げる。


「いや、そんなことないですよ。部長は俺達のことを思って色々とやってくれてたんですから」


「リンナも、もっと強くなるように頑張るのだー」


 二人の言葉に、ユキヒコは「ありがとう」と呟いた。

 そして、再びイクサとナミの方に向き直る。


「じゃあ、改めて自己紹介をしようか。俺は部長の東條ユキヒコ、こっちは副部長の園生リンナと会計の戦宮カイト。俺達カードバトル部は、キミ達を歓迎する。俺達と一緒に、全国大会を目指してくれないかい?」


 そう言って手を差し出してくる。

 イクサとナミは、その手を迷わず取った。


「「こちらこそ、よろしくお願いします!」」



 最初、イクサはきっと生涯でカードゲームはしないんだろうと思っていた。それだけ、カードゲームは彼の生活には縁がないモノだったからだ。

 それが今はどうだ。

 カードマスターとなり、強敵と戦い、そして……共に切磋琢磨する仲間を得た。

 まるで夢のようだ。夢のように、信じられない。

 叶うことなら、この夢がずっと続いてほしい。

 それだけ、今この瞬間、イクサの人生は輝いていた。とても、とてつもなく。

 明日からきっと、新しい日々が始まる。

 そんな期待が、イクサの心に満ちていた。






―第1章 学園編・完―

 次回、全国大会編がスタートします!

 新たなトライブ、新たなカードとの出会い、イクサの宿命のライバル『孤高 センリ』も登場!

 バトル・ガーディアンズ全国大会、果たして優勝は誰の手に!!?

 お楽しみに☆

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