表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
18/22

第1章 第十八話 冤罪

クロノス星へと帰還するルシフェルの心中は、激しい渦の中にあった。


黒い仮面の男の言葉が事実であれば、仲間たちはウカビルの嘘に操られていることになる。


「誤解を解かなければ……。真実を伝えれば、みんなは必ず理解してくれるはずだ」


ルシフェルは宇宙空間を切り裂き、クロノス星の軌道上へと到達した。


しかし、星の周辺を警戒していた時の使者の宇宙船群は、ルシフェルの接近を感知するや否や、迷うことなく全艦艇で包囲陣を敷いた。


「ルシフェルを確認! 仮面軍の残党だ、直ちに排除せよ!」


通信回路から聞こえてきたのは、かつて共に訓練を受けた教官の声だった。


ルシフェルは愕然とする。


「待ってください! 私です、ルシフェルです! なぜ攻撃を……!」


ルシフェルの切実な叫びは無視された。


轟音とともに、警備隊の放った高出力レーザー砲がルシフェルの至近距離を掠める。


「くっ……!」


反射的にバリアを展開し、船体を守る。


ルシフェルは懸命に呼びかけ続けた。


しかし、彼らが信じているのは「ルシフェルがノヴァを殺した」という決定的な事実だけだった。


「これ以上、こちらに来るなら容赦しない! 撃て!」


次々と放たれる追撃の砲弾。


ルシフェルは仲間たちに傷つけまいと回避に徹していたが、船団からの集中砲火は止まない。


やむを得ず、ルシフェルは反撃に転じた。


最小限の出力で船体の動力部をピンポイントで貫く。


ドォォォォォオン!


次々と警備隊の宇宙船が炎に包まれ、無力化されていく。


「違う……私は、みんなと戦いたいわけじゃないのに……!」


ルシフェルの頬を、宇宙の冷たい影が流れる。


嫌な予感が全身を支配する。


時の使者の本部を目指す彼女の前方に、ついにクロノス星の大気圏が迫ってきた。


この日は、奇しくも雨だった。


まるで、かつての絆が切り刻まれることを悲しんでいるかのように、雲の間から激しい豪雨が降り注いでいる。


ルシフェルは意を決して、地上にある時の使者本部へと機体を強行着陸させた。


本部広場に降り立ったルシフェルを待っていたのは、銃口を向けた数百名の時の使者の隊員たちだった。


彼らはもはや、ルシフェルを友とは見ていない。明確な殺意と、裏切りへの憎悪を込めてトリガーに指をかけている。


その隊列の真ん中を割って、一人の男が歩み出てきた。


ボロボロの衣服に身を包み、手にはノヴァの形見である【ブラスターエクリプス】を握りしめたウカビルだった。


その目には、理性など一片も残っていない。


激しい雨の中、ウカビルは震える声で、しかし確実にルシフェルの心臓を射抜くような言葉を吐き捨てた。


「……なんで、ノヴァを殺したんだ……!」


ルシフェルの全身に、警備隊の銃弾が叩き込まれる。


激痛に顔を歪めながら、ルシフェルは肩を押さえ、必死に訴えた。


「違う……私はなにもしていない……! お前だろ、本当の首謀者は……!」


だが、その言葉は雨音にかき消され、誰の心にも届くことはなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ