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森と海の王国 (雨蛙は苔の中へ)  作者: 森野うぐいす
第四章 ≪世界の物語≫
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モノリス

森の中に青白い光が見える場所があり、ああ、あそこに ' ホウセイの木の花 ' が咲いているのだろうとすぐに分かった。


そこには確かに ' ホウセイの木 ' が何本か生えており花を咲かせていた。


木を伐採したのであろう、いくつもの切り株があった。切り株からは新しい芽が出ていたし、切り株からだけでなくそこいら中から新芽が顔を出していた。


花の咲く木のそばにイチジ大僧正が立っており、イチジ大僧正は ' 真っ黒な正方形 ' の物体の前にいた。


その ' 真っ黒な正方形 ' の物体は、' T.モノリス(ティードットモノリス) ' と呼ばれるものであった。


「これはこれはラド殿に、それからナダ殿...。」と大僧正は言った。


「カモノハシ達が俺にかけられたアクセス・コントロールを大僧正なら解けるんじゃないかって言うんだ。無理だろ?」シロはおもむろに大僧正に聞いた。


「はい。それは無理でございますな。」


シロはカモノハシ達に「な。」と言った。カモノハシ達は少々残念そうな顔をした。


「それは、' T.モノリス ' か、初めて見る。」とラド・シエナは言った。


「' T.モノリス ' をご存知ですか、さずがにシエナ大公家の血を引くお方。」


かつて、――かつてと言っても相当な昔のことであるが――、かつて西域にシエナ大公国という小国があった。もう滅亡して数百年か千年以上は経つかもしれない。しかし、ラドのようにその子孫の者が未だにシエナの名を名乗っていられるのは、シエナ家の者は ' 騎士の血 ' を濃く受け継ぐ者が多いためである。


「' T.モノリス ' は()() T().()O() ()()()()()()()のすべての情報が保存されておる。」


「もちろん、ナダ殿は我々とも関わりが深いので ' T.モノリス ' にもナダ殿の情報はありますが、ほとんどアクセス・コントロールがかけられている。しかしそもそも、()()殿()() T().()O() ()()()()()()K().()U().()N() ()()()()()。」


「ちょっと待て、()()()()()()()()()()()()()?」


「お前、俺が普通の人間に見えるのか?」シロは言った。


ラド・シエナは本当に知らないようであった。


まあ、ナダは見た目上は人間の少年のようにしか見えないのではあるが......。


ちなみに、カモノハシは基本的にはこの森を守ることを目的として開発された生命型兵器である。


「ああ、いえ、生命型兵器と言ってよいのかどうか...なんとも言えないですが、かなり複雑なニューロン・ノードをしておりますゆえ......ナダ殿つまり『白蛇殿』とドラクレア『大蛇殿』は......あるいは...我々、生命型兵器の始祖というべき存在なのではと推察してございます。」


「しかし、ナダ殿とホウセイの木はかなり不思議な存在です。ホウセイの木は生命型兵器であるにも関わらず、生命型兵器が開発されるより遥か太古からこの地に存在しています。」


「そしてその太古の時代に、こことは別の場所ですが ' ナダの力 ' を発現する者がおったようで......。」


「ああ、しかし、もしアクセス・コントロールを解けるとしたら、' 宝玉・太陽の石 ' があれば解けるやもしれませぬが...。」と大僧正は言った。


≪登場人物紹介≫

・シロ ・・・ 本当の名をゲンカイ・ナダという。

・クロ ・・・ 本当の名をクロ・ト・ジュノーという。ジュノー王国の王子。

・アオ ・・・ 本当の名をアポトーシス・オルガという。〈死神〉と呼ばれることがある。


・男 ・・・ 謎の男。名前はラド・シエナ。


・灘よう子 ・・・ 東京で探偵をやっている。

・鴨木紗栄子 ・・・ 灘よう子に仕事を依頼する。

・鴨木邦正 ・・・ 鴨木紗栄子の伯父。植物学者。

・黒戸樹 ・・・ 鴨木紗栄子の夫だった人物。

・蒼井瑠香 ・・・ 医者。


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