レーザー銃による攻撃
その場で交わされたのはガンビーナファミリーが抜けたコミッションの一角に、ベルッチファミリーを据える事を、コルレオーネからコミッションに提案すると言うものだった。
また、コミッションの五大ファミリー間での戦争は禁止されており、この確認も行われた。ベルッチファミリーにとっては、勢力拡大の足かせにもなるものだったが、無敵と考えていたヒューマノイドが次々に葬られ、クラウディア一体となっている今の状況では、一旦戦争を終結させ、足元を固める絶好のチャンスと、オッタビアは考えていた。
そんな話しあいは、お酒と食事を交えた友好的な雰囲気の中、数時間で終了した。
「今日は有意義な話し合いでした」
オッタビアがにこやかに席を立ち、手を差し出した。
「いやいや、こちらこそ」
コルレオーネもにこやかに手を重ねた。
二人がにこやかに談笑を続けながら、ホテルの門に向かって行く。その後に続く警護の二人は話をかわす事も無く、ボス二人に従って歩いていた。
ホテルのドアを出ると、オッタビアの車が後部のドアを開けて止まっていた。
「では、ここで」
オッタビアがそう言うと、二人は再び握手を交わした。
オッタビアとクラウディアが乗り込むと車のドアが閉じられ、二人を乗せた車は静かに発車した。
走り出す車をコルレオーネはにこやかな表情で見送っていたが、視界から消えると笑い始めた。
「どうだ、この後、どうなると思う?」
横に付いていた警護の者を見ながら言った。
「あの女がここに来た時点で、すべて上手く行ったと言うことでしょう。計画通りいきますよ」
オッタビアを乗せた車はコルレオーネの支配地域を抜け、旧カタラーニの支配地域に入り、やがてその中でも一番の大通りに入った。
そこは普段より、極めて通行量が少なかったが、地元ではない彼らはその事に気付いていなかった。 さらに彼らが進んで行くと、その先の道路は渋滞していた。オッタビアを乗せた車が減速し、最後尾に停止する。
さらに先には警察車両が停止しているのが、車の中からも垣間見えた。
「どうした?」
オッタビアが運転手にたずねた。
「事故か何かで、通行止めのようです」
前方では警官が停止の指示をしていて、その先には野次馬の姿が垣間見られた。
停車したオッタビアの車に警官が近づいてきた。車両は完全防弾仕様であり、窓を開けきらなければ問題は無いので、運転手は窓を少し開けた。
「この先で事故がありましてね。しばらくは、この道は通行できません。お急ぎでしたら、その道を曲がって、迂回してもらえますか」
警官はにこやかに、そして丁寧に言った。
「そこですね?」
運転手は指さして、その道を確認すると、ハンドルを切りながら、アクセルを踏み込み車を発進させた。
オッタビアを乗せた車が入ったその道は片側一車線のそれほど広い道ではなかった。その道をさらに進んでいくと、再び渋滞していて、オッタビアを乗せた車が減速し、最後尾に停車した。
停車して数分。微動だにしない。
「どうした?」
停車したまま動き出さない状態に、オッタビアが運転手にたずねた。
「分かりません。車が止まっていて、その先が見えません」
オッタビアが外の様子を探れと、クラウディアに目配せをする。
クラウディアはうなずくと、車を降りて辺りを見渡した。
車列が先の方まで続いている。反対車線を走ってくる車はおらず、はるか先で事故か何かで、車線がふさがっていると思える状況だ。
車道の横には歩行者が歩くスペースがあり、何人かの人が歩いている。
クラウディアの視界に映るその光景からは、特に何と言うものも見つからないため、車がつながっている先頭の様子を探るために歩き始めた。
クラウディが向かっている先から、数人の男がこちらに向かって来ていた。
その中の一人が突然筒のような物を構えた。
それはレーザー銃だったが、クラウディアの頭の中の既存データにはその情報は無かったため、反応が遅れた。
その男がトリガーを引くと、ちらちらと焼け落ちる埃がその光跡を浮かび上がらせ、その先にいたクラウディアのドレスが焼け焦げた。




