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あすか vs セレン

 セルジオがさらにズームする。

 足に装着したホルダーに収められた銃形状の物体。

 銃より全体としては少し大きいが、銃身は短い。

 様々な銃を見てきたセルジオだったが、その銃らしきものに該当する銃に心当たりは無かった。


 「何だ、これは?」


 セルジオがそう思った時、あすかの足がかすかに動いた。

 ついさっきまで、セレンはあすかを見下ろしたまま動作を停止していた。

 セレンの右足が上がる。

 あすかにとどめを刺そうとした時だった。あすかの足が素早く動き、セレンの左足を払った。

 セレンはあすかに身体を支えていた左足を払われ、見事に仰向けに倒れた。

 その隙を突いて、あすかが起き上がり走り出す。

 逃がすまいとするセレンが起き上がり、あすかに追い付くのに時間は不要だった。

 セレンはあすかの前に先回りし、再びあすかの前に立ちはだかった。

 あすかは立ち止まると、すぐ後ろにあった街路灯より少し下がった位置に後退した。

 逃げるあすかを倒そうとセレンの左足の蹴りが飛んだ。

 セレンの蹴りはあすかではなく、街路灯に当たった。

 街路灯は鈍い音を立てて折れ曲がり、重力に耐え切れなくなった街路灯はそのまま道路側に倒れ込んだ。

 道路を走っていた車の目の前に突然、街路灯が倒れて来たため、何台もの車が急ブレーキをかける。

 不意の出来事に一部の車は停止が間に合わず、衝突事故を起こす。

 遠巻きにして、二人の戦いを見守っていた人たちも、二人の戦いの場所が移動していることやセレンの余りの破壊力、そして引き続き起きた自動車の事故に、さらなる恐怖を感じ、我先にとさらに遠くへ逃げ出し始める。

 街路灯でセレンの蹴りをかわした時、あすかは手にしていたピストルをセレンの胴体に向けてトリガーを引いていた。

 この至近距離で、胴体を狙われればセレンでも、回避はできない。

 あすかの放った銃弾はセレンのお腹のあたりに命中し、外装を突き破った。

 セレンがわずかに停止しているわずかの間と数十秒程度の速度が落ちている間に、あすかは場所を移動しようとしていた。

 何度となく足を運んだこの辺りの地理にあすかは精通している。

 セレンと遭遇してすぐセレンとの戦闘を行う最適な場所を、選定し終えていた。

 あすかはひたすら、その場所を目指している。

 すでに車道は街路灯が倒れこんだことで、事故と渋滞が起き始めていた。

 その事態に気づくのが遅れた一台の車が急ブレーキと急ハンドルを切ったため、あすかの目の前の歩道に突っ込んできた。

 行く手を阻まれ立ち止まったあすかの肩に、追いついたセレンが右手をかける。

 捕まえたあすかの頭上に、セレンは左手を振り下ろした。

 あすかは信じられない速さで、身体をひねり、向きをセレンの方向に変えながら、思い切りしゃがみこんだ。

 あすかをつかんでいたセレンの右手はあすかの肩から離れ、振り下ろした左手は車の天井を貫いた。

 大きな音とガラスがあたりに飛び散り、あすかの頭上にもガラスの破片が降り注ぐ。

 あすかはそんなことは意に介さず、しゃがんだ状態のまま、セレンの腹部を殴打した。

 その打撃はセレンをいくらか後ろに飛ばした。

 そして、その隙にあすかは車のボンネット部分をひらりと飛び越え、再び移動を始めた。

 セレンはすぐにあすかを追撃した。

 追われるあすかは突然立ち止まり、身体の向きを変え、迫っているセレンの側頭部に蹴りを入れようとした。

 セレンはそれを左腕で受け止めると、右手であすかの腹部を殴打した。

 その威力はすさまじく、あすかは一直線に後ろに吹飛んだ。

 あすかの体は、遠巻きにしていた人たちのところまで飛んで行き、大勢の人々を巻き添えにして、なぎ倒した。

 あすかが直接ぶつかった人はもちろん、さらに背後の人も含めて、何人かが負傷し、あたりは悲鳴と真っ赤な鮮血で染まった。

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