新たな戦いの始まり
カタラーニの支配域の中で、最も開けた街の大通り。そこにあすかたちに救援を求めた女性が勤めていると言う店がある。
その大通りにコルレオーネファミリーのソルジャーたちが姿を現した。
ソルジャーたちの乗った車の窓から差し出されたマシンガンが火をふく。
エンジン音をもかき消す銃撃音。
砕け散るガラスの破壊音と人々の悲鳴が入り混じる。
通りを走っていた一般車両が銃撃に巻き込まれまいと、一気に加速して逃げ出し始めた。
道行く人々も銃撃の巻き添えを避けようと、遮蔽物に身を隠くそうと、走り出している。
そんな騒然とする通りをコルレオーネファミリーのソルジャーたちは襲撃してすぐに引き上げる訳でもなく、そこがもはや自分たちの支配域であると言う事を示すかのように、悠然と走り回っている。
コルレオーネファミリーの襲撃はあすかたちに救援を求めた女性の手で、ロレンツォ教会の神父たちにすぐに伝えられた。
ロレンツォ教会の扉が開くと、二人の神父とあすかが出てきた。
「来た!」
離れた場所で、隠れるようにロレンツォ教会を見張っていたセルジオが言った。
三人が車に乗り込むのを確認すると、電話をかけ始めた。
相手はガンビーナのボス ヴィクトルであり、あすかが向かっていると言う話は、ヴィクトルからコルレオーネファミリーに伝えられた。
電話を終えたセルジオはバイクに飛び乗ると、一気に加速して、あすかたちが乗る車を目指す。
やがて、その視界にあすかたちの車をとらえると、バイクを減速し、怪しまれない距離を開け、後をついて行く。
コルレオーネのソルジャーたちは時折銃撃を加えながら、まだ悠然と街の中を巡回していた。
その光景を高いビルの上から見ている者がいた。金色の長い髪をなびかせたセレンである。
カタラーニファミリーから救援を求められているはずなのに、セレンは動かず、コルレオーネファミリーの暴れるがままにしている。
しばらくして、あすかを乗せた車が通りの端に到着した。
あすかたちの車の位置からも、コルレオーネファミリーの襲撃が視認できた。
あすかを乗せた車が通りに少し入った場所で路肩に停止したかと思うと、あすかが飛び出してきた。
コルレオーネファミリーの車はまっすぐにあすかたちの方向に進んできている。
街を破壊する事に気を取られ、すでにあすかが到着している事には気づいていない。
あすかがピストルを構える。
コルレオーネファミリーの車を運転していた男があすかに気付き、急ブレーキを踏みながら、車の中で何を叫んでいる。
その瞬間、男は額を撃ちぬかれていた。




