新しいボスの命令
三人の目の前に次々に運ばれてくる料理。
魚介類、肉料理、フルーツ。
ついさっきまでテーブルクロスの白が部屋の照明を反射していた空間が、色とりどりの食材で鮮やかな空間に生まれ変わっていく。
三人が目の前の料理に手を伸ばし、次々に口の中に放り込んでいく。
そんな時、オッタビアが手を止め、チェーザレに視線を配りながらたずねた。
「さて、チェーザレ、カタラーニはほぼ戦闘継続能力を失ったと考えているが、どうかね?」
「はい。カタラーニには、我々と戦闘を継続する力はすでに失われています。あとひと押しで、壊滅できるでしょう」
「なるほど。そこで、私の考えを聞いてもらいたい。
カタラーニを壊滅させた場合、その空白地帯を扱うのが難しい。隣接する他のファミリーが手を伸ばしてこないとも限らない。
特にコミッションの一角、コルレオーネファミリーが、どう動くのかが気になる。
へたをすれば、新たな抗争となりかねない。
今、このままカタラーニとの抗争を終結させれば、この方面からの攻撃の心配は無くなる」
「つまり、カタラーニとの抗争を終結させ、私にガンビーナとの抗争に力を貸せと?」
チェーザレは、オッタビアの言わんとすることを先読みして、少し不機嫌な口調でたずねた。
「ははは。さすが頭の回転が速い。
まあ、そう言う事だ。
今はガンビーナとの抗争に、専念すべきだと思うのだがね。
はっきり言って、二つの五大ファミリーを腹背に同時に敵に回す余力は無い。
それに我がファミリーが保有していたヒューマノイドの二体が謎の失踪を遂げた以上、過度にヒューマノイドに頼るのは危険だ」
「しかし、どうすれば、あのヒューマノイドを倒せるんですか?」
チェーザレにはあの驚異的なヒューマノイドを倒す事ができるとは信じられなかった。
「私にも分からない。原か彼の教育を受けた者が生きていれば分かったかも知れないが。
それより、これからの話だ
カタラーニと抗争を終結しろ。
君の力をガンビーナとの抗争に、振りむける。分かったな」
新たなボスからの命令だった。
「承知しました」
チェーザレは不満もあったが、承諾するしかなかった。
決められた事への行動は早かった。
次の日にはカタラーニとの間に使者が送られ、抗争の終結が取り決められた。そして、ガンビーナのボスに刺客として、クラウディアが送られた。




