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怯えるルチアーナ

 カテリーナの家にガンビーナ達が到着した頃には、空の闇がめっきり深くなっていた。

 到着した車列から、あわただしくソルジャーたちが飛び降り、カテリーナの家を目指す。

 ソルジャーの一人がカテリーナの家にたどり着き、激しくその門を叩くと、断続的な激しい空気の振動が闇に潜む人々の恐怖心を揺さぶった。

 夜の静けさを破る悪意の気配に、辺りに住まう者たちは何事かと外の気配をうかがい始め、カテリーナの家の中では娘を取り戻しに、再びガンビーナ達が来たと思い、息をひそめる。

 ドアを叩くソルジャーの背後に次々に仲間のソルジャーたちがやって来る。

 返事が無いことにしびれを切らしたソルジャーの一人が、ドアを叩いているソルジャーの肩に手をかけ、ドア前から押しのけると、ピストルを取り出した。

 ピストルを構えたソルジャーが、カテリーナの家の玄関の鍵の部分に向けて、トリガーを引く。

 人々を恐怖に陥れる銃声が数回轟くと、ドアの鍵はその力に抗しきれず破壊され、力を失った。

 銃弾を受けた反動で、ゆっくりと固く閉じていた門は外側に向かって、隙間を見せた。

 ソルジャーが玄関の取っ手を引き、勢いよく扉を開ける。

 扉が開くや否や、何人ものソルジャーたちが家の中になだれ込んでいく。

 部屋の中は照明がつけられておらず、かなり暗く、その空気は湿っぽいだけでなく、カビの匂いさえ漂っていた。


 「探せ!」


 ソルジャーたちはそれほど広くは無いカテリーナの家の中を探し始めた。

 家の中は狭く、カテリーナたちを探し出すのに、時間は要さなかった。


 「いたぞ。

 灯りをつけろ。

 ボスをお呼びしろ」


 その言葉に一人のソルジャーがボスを迎えに向う。

 ガンビーナのボスが近くに止めていた車からやって来た頃には、カテリーナの部屋には照明が点けられ、ソルジャーたちにカテリーナとルチアーナが取り囲まれていた。

 カテリーナとルチアーナの二人はガンビーナのボスまで来ている事で、恐怖の頂点に達し、ただただ二人で抱き合って、震えているだけだった。

 ガンビーナのボスがルチアーナの顔を手で、くいと持ち上げ、その顔を確認している。


 「確かに、あの女だな。

 お前、名前は?」


 「ル、ル、ルチアーナ」


 震える小声で答えた。


 「心配するな。お前を今ここで、どうこうしようと言う訳ではない。

 少し、聞きたい事があってな」


 ルチアーナは今すぐにでも殺されるか、殴られ店に連れ戻されると思っていただけに、少しだけ安堵したようだった。

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