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3人のunknown

 この店はその商売の内容から、多くの監視カメラは取り付けておらず、店の表、裏の入り口と女たちが身支度を整える部屋に通じる細い廊下の三カ所にだけ監視カメラが取り付けられていた。

 そんな監視カメラを制御するコントロールルームに、ガンビーナの者たちがボスを先頭に入って行く。

 その部屋に襲撃の被害は一切なく、並べられたTVモニターの二台は何事も無かったかのように、今も普段通り店の入り口付近の映像を映し出していて、最後の一台は暗くノイズだらけの映像を映していた。

 ボスが顎で合図を送ると、一人の男が制御装置が並んだ机の前に座り、操作を始めた。

 男が手際よくキーボードを叩く。


 モニターに映し出される映像が、数時間前に録画された映像に切り替わり、早送り再生されていく。

 一台には店に連れてこられる女たちが。そして、もう一台にはそんな女たちが細い廊下を進んでいく姿が映し出されている。

 この店にはもう一つのシステムが備わっていて、その情報が別のモニターに映し出されている。

 それは店に入ってくる人物の顔を認識するシステムで、顔の拡大画像と、認識結果としてのその人物の名前を表示するものだった。

 店に入る女や男一人一人の顔と名前が表示され、それを見るたびにボスの背後にいる男が補足していく。


 「店の者です」

 「店の女です」


 何人かの後、Unknownが表示された。

 それはルチアーナだったが、その男は知らないようだった。


 「待て、そこを通常再生しろ」


 未登録の人物が映っている部分の再生が始まった。

 Unknownと同時に、ミルコと言う人物が映っていた。その映像はミルコが嫌がる女を無理やり、店に引っ張り込んでいる場面だった。


 「ボス、これはミルコが借金のかたに店に連れて来た女では?」

 「そうだな。これは関係ないかもしれん。次に行け」


 再び、早送り再生が始まった。何人かの人物データの後、再びUnknownが表示された。それはモニカだった。

 ガンビーナのボスはその顔に見覚えがあった。


 「やはり、こいつか。サンドロのところの化け物だ。

 中にいた敵の一人はこいつに間違いない」


 今までにアジア系の女は映っていない。この女の映像を求め、再生は続けられた。

 やがて、三人目のUnknownが表示された。今度は、あすかだった。


 「やはり、こいつか。

 こいつは何故、ここに来た?」


 ガンビーナのボスがつぶやく。

 カタラーニの支配域で、チェーザレのソルジャーたちと戦うあすかの姿をカメラで撮っていたバイクの男。

 名をセルジオと言った。

 セルジオはガンビーナからの依頼であすかの事を調査していたのであり、その姿と戦闘能力はガンビーナのボスに報告されていた。

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