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ガンビーナ到着

 夜の街の大通りに次々に停車する真っ黒な車。

 停車と同時にそのドアから、マシンガンを構えたガンビーナファミリーのソルジャーたちが飛び出していく。

 目指すは自分たちの収益源の一つである地下クラブ。

 ベルッチファミリーによる襲撃を知ったガンビーナファミリーの援軍が、駆けつけてきた。

 ソルジャーたちが武器を持って警戒しながら、店の中に足を踏み入れる。

 店の内部は壁のいたるところに銃痕と黒く変色し始めた血痕が残り、床に広がる血の海に多くの遺体が横たわっていた。

 すでにそこには味方の姿も敵の姿も無い。

 ソルジャーたちがマシンガンを構え、警戒しながらさらに奥に進んでいく。

 奥には女たちがいる小部屋があったが、すでに多くの女たちは逃げ出したのか、そこに姿は無く、小部屋の片隅で小さく丸まって震えている何人かの女たちが残っていただけであった。

 敵がいない事を確認したソルジャーたちの一人が店を出て、大通りに停車している一台の高級車に向かい、その車のドアを開けた。


 「ボス、敵はいません」


 その言葉に車からゆっくりと目深に帽子をかぶり威厳を漂わせた一人の男が降りて来た。

 ガンビーナファミリーのボスである。


 惨劇の現場となった店の中に、ガンビーナのボスが消えて行く。

 入口からそう遠くない所で、配下の男が死体の顔を確認していた。


 「ボス、こいつらベルッチファミリーの奴らに間違いありません」


 ガンビーナのボスは腹立たしげに、足元に転がっているサンドロの配下の死体を蹴飛ばした。


 「ボス、中の小部屋に女たちがいます。何か見ているかも知れませんので、連れてきました」


 ボスに駆け寄り、そう言ったソルジャーの後方を女たちが一塊となって、歩いてきていた。

 肩を寄せ合い、小刻みに震えている女たち。

 ボスが女たちに歩み寄る。


 女たちの前でボスは立ち止まると、震える女たちを見渡した。

 ボスが未だ恐怖から解放されていない女たちをこれ以上怖がらせまいと、煮えくり返っている腹の内をぐっと抑え、落ち着いた口調で言う。


 「見た事を全て話せ」


 ベルッチファミリーが襲ってきた時、女たちは小部屋におり、銃撃が起きた時にはその恐ろしさに、部屋の片隅に身を潜めていたため、詳しい事を知る者はいない。

 だがその直前、あすかが起こした騒ぎに小部屋から、顔を出した者はいた。

 そんな一人が口を開いた。


 「銃撃が始まる前に、何か騒ぎがありました。

 何だろうと、私が部屋から顔をのぞかせた時、銃撃音が始まりました。

 その時、中にいた見た事もない真っ赤なドレスを着た女が飛び出して行って、店の男の人たちを倒して行きました」


 「女?」


 ガンビーナのボスがベルッチファミリーにいる化け物のような女のソルジャーの事を思い浮かべた。


 「私は銃撃が始まる前に、店の男の人を倒している女の姿を見ました。

 正確には女と言うか、子供のようにも見え、真っ赤なドレスを着てなんかはいませんでした。

 あれはアジア系です。

 その後、銃撃が始まり、私は慌てて部屋に隠れたので、それからの事は分かりません」


 「中に敵が二人いたと言う事か?」


 ガンビーナのボスの頭の中には二人のイメージが浮かんでいた。

 一人は間違いなく、ベルッチファミリーにいる化け物のような女のソルジャー。

 そして、もう一人はマフィアたちを容赦なく葬っているあすかと言う謎の少女。

 ただ、この二人の関係が分からなかった。

 片方はマフィアの女。もう片方はマフィアを倒している少女。

 二人が手を組む理由が無い。


 「監視カメラを見るぞ」


 ガンビーナのボスはそう言うと、店の監視システムの中枢コントロールルームの方向へ歩き出した。

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