ルチアーナとあすかと、もう一人は?
ルチアーナを探させまいと、男が威嚇するような態度であすかの前に回り込んだ。
「そうですか。では、私が中を探してみます」
あすかがそう言いながら、目の前に立ちはだかった男を無視するかのように、横をすり抜けて、奥に進もうとした。
あすかの言葉と態度はマフィアのクラブの中で、普通の人間が言える言葉ではない。
そのあまりにも無鉄砲な発言に、男はあすかの事をこいつは馬鹿なのかと疑っている。
そんな事はお構いなしに、あすかが店の中を進んでいく。
「待て」
男が怒声をあげ、あすかの肩を掴みかける。
その時、もう一人の男が、その男の肩を持って、耳元でささやいた。
「待て。
こいつは上玉だ。奥に入って行ったところで、引っぺがせばいいんだよ。
これも、商品にするんだ。奥に行けば、逃げられない。
そうなればこっちのもんだ」
そうささやかれた男が、なるほどと言う表情で頷く。
「お譲ちゃん、外国の人?
その人を探しに入って行ってもいいよ」
ついさっき怒声を上げていた男がそう言ったが、あすかはその言葉に特に反応もせず、奥に進んで行った。
「しかし、今日は上玉の新人に恵まれているな。
これで三人目だ」
男たちがいやらしい笑みを浮かべながら言った。




