ルチアーナを助けてください!
かつて、誰もが恐れて近寄らなかったロレンツォ教会。
今は二人の神父の下、人々が祈りを捧げる場になっていた。
手入れされることもなく痛み放題だった外観も、きれいに手入れされ、今はその造りの豪華さが分かるほどによみがえっていた。
薄汚れていたドアの取っ手も、今は金色の輝きを取り戻している。
そのドアの取っ手を持って、カテリーナが門を押し開けた。
教会の建物の中は白い壁で覆われていて、いくつかの窓から差し込む光が、教会の中を穏やかな明るさに包みこんでいた。
「すみません。すみません。誰かいませんか?」
娘を救いたい一心とは言え、本当にこの教会にあすかがいるのか分からないカテリーナは、かつてのこの教会の噂の方が恐ろしくて、中に踏み込めず、開いたドアから顔だけを入れて、呼びかけた。
誰もいない教会の中に、カテリーナの澄んだ声が響き渡った。
その問いかけに応えて、奥の部屋の扉が開き、そこから白い顎鬚を蓄えた神父が現れた。それは、あすかが乗る車の運転席にいる神父であった。
「どうしました」
普通の神父である。カテリーナはそう感じると、教会の中に走り込み、神父に向かって叫んだ。
「娘を、娘のルチアーナを助けてください」
神父は話が見えず、きょとんとした顔でたずねる。
「はて?どう言うことですか?
娘さんに何かあったのですか?」
「借金のかたに、マフィアに連れて行かれたのです。このままでは売りものになって、客を取らされてしまいます」
その言葉に、神父は困ったと言う表情と仕草をした。
「マフィアですか?
それはここではなく、警察に行かれるべきでは?」
「警察はマフィアと関わりたくないんです。
なので、警察にここを紹介されたんです」
「なるほど。そう言うことですか。
警察はここの事を知っていたんですね。
それはそれで、困りましたですねぇ」
神父は少し困惑した顔をカテリーナに向けた後、奥に向かって話しかけた。
「聞こえていましたか?いかがいたします?」
その言葉に応えるかのように、中からもう一人の男が現れた。




