あすか再び
ベルッチファミリーの支配域に近い、カタラーニファミリーの支配域。
その中心街を東西に走る広い道が貫いている。歩道が車道の両端に設けられ、さらにその歩道に沿うように多くの夜の店を思わせる看板を掲げた店が並んでいる。
昼間の今、この通りには人通りはほとんどないが、その理由はこの通りが夜の街だからと言うだけではない。
しばしばベルッチファミリーが街を荒らしにやって来るので、マフィアたちの抗争に巻き込まれるのを避けようと、この通りを人々は避けているのである。
荒らしにやって来るのはもはやヒューマノイドではなく、ただのソルジャーたちである。
ヒューマノイドなど不要なくらい、カタラーニファミリーの力は落ちていた。
明るい日差しの中、そんな通りを運転席と助手席に二人の神父が乗る一台の車が、ゆっくりとしたスピードで走っている。
「うん?」
そんな声を出しながら、ハンドルを握っている神父がその先の光景に目を細めた。
騒ぎを予感させるざわめきのようなものが、かすかに遠方から伝わってくる。
運転席の神父が窓を開けた。
けたたましい銃撃音と耳障りなガラスの割れる音が確かな振動となって、車の中の空気を震わせる。
神父たちが、その先の対向車線に目を向けた。
はるか先に一台のマフィアらしい車がいて、自分たちの方に向かって進んできている。
ベルッチファミリーのソルジャーたちである。
「止めます」
運転していた神父がそう言って、ゆっくりと車を路肩に寄せると、助手席にいた神父が振り返って、後部座席を見た。
「あすか、街中を騒がす奴らを片づけてきてくれ」
その言葉に、あすかが頷き、ドアを開けて車から降りた。




