エントランスの攻防
ソルジャーの一人がごくりとつばを飲み込むと、再び全神経を扉の外に向ける。
次の瞬間、ソルジャーたちは自分の目に何かの変化が起きたような気がした。
「うん?」
ソルジャーたちが目を瞬かせ、お互い何があったんだと言う風に見つめあっている。
「後ろだ!」
別の離れた場所にいたソルジャーが、すでにアーシアが屋敷の中に入り込み、仲間のソルジャーたちの背後に立っている事に気づき、大声を上げた。
扉に向け、銃を構えていたソルジャーたちは背筋に冷たいものが流れるのを感じた。
あわてて、背後に銃を向けようとしたが、間に合わなかった。
アーシアのマシンガンが、ソルジャーたちの胴体を容赦なく撃ちぬいていく。
腹部の筋肉が飛び散り、内臓と血をまき散らしながら、ソルジャーたちが倒れていく。
もはや、そこに生きた仲間はいない。
そう感じた離れた場所にいたソルジャーたちがアーシアに向け、トリガーを引く。
ドババババッ!
体中に響き渡る銃撃音が、廊下の細長い空間にこだまする。
それも一瞬の事だった。
自分たちが放った銃弾の弾道上から、アーシアが消えている事に気づいたソルジャーたちが、トリガーを緩めた。
エントランス部分の空間は廊下からは見えない。
姿を消したアーシアが隠れているとしたら、場所はそこしかない。
ソルジャーたちはアーシアの居場所をそう推定した。
マシンガンを構え、一歩一歩ゆっくりと近づくソルジャーたち。
アーシアが潜んでいると思われるエントランスの手前で、ソルジャーたちが立ち止まる。
一人が壁に寄り添って、マシンガンを構える。
その背後にもう一人。
さらにもう一人は飛び出す体勢をとっている。
ソルジャーたちが顔を見合わせ、頷きあう。
一人のソルジャーが勢いよく飛び出しながら、マシンガンのトリガーを引く。
離散的な火花と断続的な射撃音がエントランスを満たす。
しかし、そこにアーシアの姿はなく、視界には開け放たれた扉を通して屋敷の庭だけが映っていた。
ソルジャーたちがすぐにトリガーを緩め、お互いの顔を見合わせる。
「どこに行った」
ソルジャーたちがそう思った頃、アーシアは屋敷の裏側で、一階に火を放ち、二階の窓を見上げていた。




