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アーシア強襲

 「アーシア、一つ仕事を頼まれてくれないか」


 ソファに座っていたアーシアは静かに立ち上がり、ボスの方を向いて答えた。


 「はい。ボス。何なりと」

 「ロベルトを処分してくれ」


 そう言いながら、ロベルトの屋敷までの地図と、屋敷内の間取り図を机の引き出しの中から取り出して、アーシアの前に突き出した。

 アーシアはそれを受け取り、書かれている情報を頭にインプットし終えると、ボスに視線を向けてたずねた。


 「今からですか?」

 「そうだな。早い方がいいだろう。

 今から、行ってくれ」

 「分かりました」


 アーシアは顔色一つ変えず、そう答えた。

 人間のような感情などない。相手が知り合いだったとか、昨日までは仲間だったとか、そんな感傷もない。

 そんなアーシアの態度に頼もしさと、怖さの二つが入り混じった複雑な思いを抱きながら、ボスが身体を反転させドアに向かって行くアーシアを見送った。




 ベルッチのソルジャーが運転する車がロベルトの屋敷の一角に到着する。

 その車が停車すると、後部座席のドアがゆっくりと開き、そこからアーシアが一人出てきた。

 アーシアが降りた場所から、ロベルトの屋敷の壁に沿ってゆっくり進んでいく。そのアーシアの視線は前方ではなく、屋敷の壁のあたりに向けられていた。

 やがて、一本の大きな木の枝が屋敷から道路側に張り出しているところで立ち止まると、辺りをきょろきょろと見渡した。

 周りに人気はない。少し離れた位置に自分が乗ってきた車が止まっているだけである。

 一瞬、アーシアが屈んだかと思うと、次の瞬間にはその枝に飛び移っていた。

 そして、その枝から壁に移ると、壁に腰かけて屋敷の中を見渡した。


 敷地の中には何人かのソルジャーたちが武器を構えて、警備のため、歩きまわっているのが見える。

 すでにロベルトはベルッチからの攻撃を予期し、厳戒態勢をしいていた。

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