地下室と似たにおい?
恐るべき力を手にした者は、その力を試さずにはおられない。
オッタビア、サンドロ、チェーザレたちは隣接するカタラーニファミリーを襲撃し、カタラーニファミリーに大打撃を与えた。
そんな報告に心を痛めている原は、ベルッチの屋敷の一室に幽閉されていた。
幽閉されているとはいえ、ヒューマノイド開発の大切な協力者と言うだけあって、原の部屋の中はボスの部屋にも匹敵しそうな調度品で埋め尽くされていて、ボスの部屋との差を上げるなら、その部屋の窓は閉じられ、開かない構造となっているところくらいである。
一人、机に向かって原が何か作業をしていると、扉から断続的に乾いた音がした。
誰か来た。
原は机の上のものを慌てて引き出しにしまうと、何かのコードをコンセントから引き抜いた。
「どうぞ」
開いたドアから姿を現したのはロベルトだった。
部屋に入ってきたロベルトは部屋の中を見渡しながら、訝しげな表情をしている。
「何だか、地下室と同じような匂いがするな。これは君がいるから、染みついているのか?
今まではしなかったような気がするが」
原が立って、机から離れた位置に置いてあるソファに向かいながら返す。
「そうですか?
私には分かりませんが、きっと私の衣服などに染みついているのでしょう。
どうぞ」
原がソファにロベルトを誘う。
「なるほど。それは難儀だな」
ロベルトはソファに向かわず、開いたままの扉の向こうにいる部下に命令した。
「おい。離してやれ」
何の事だ?
そう思った原が、ドアに目をやると、ドアから入ってくる一人の女性の姿があった。




