122.交換品と予定
王子様以外に魔法って技術を扱える技術者が必要だなぁ、という結果にはなったが、キウリさんには早速交換をお願いして、工一さんはアルラウネが開けた道路の大穴の対処、私は近くの建物の修理に出発だ。なお、そういう話し合いをしている間も襲撃は行われている。
とはいえ皆すっかり防衛戦には慣れているので、あんまり緊張感は無い。モンスターやゾンビを倒すと経験値が入ってレベルが上がる現象が起こるから、どんどん精度が高くなっていく不思議現象を楽しそうに受け入れている。
不思議現象への順応性が高いな~と思いつつ私は全力で修理である。これもゲーム補正なのか、昨日より手伝ってくれる人達の動きが良いんだよな。もちろん仕事自体は丁寧に行われているのだが、指摘する回数が明らかに減っている。
「これなら今日は普通の建物ばかりですし、日中に3軒目の完了まで行けるかもしれませんね」
「わぁ」
「いや、早いに越した事はないんだ」
「それはそう」
何故かちょっと慄いた声を出されてしまったし、何か覚悟を決めていたようだが、私は無茶な事は言わないぞ。今のペースならいけるかも、って言っただけだ。……もしかして無理をしたペースだったか? だったらもうちょっと余裕を持たせた方がいいかもしれない。
一応、無理をしていないか確認というか、休憩はちゃんと取ってるか確認する回数を増やしたんだが、そういう意味では大丈夫なようだった。うん? じゃあ何だったんだあの妙な反応は。
はて? とちょっと内心首を傾げる事になったんだが、その理由は、ちょっとだけ3軒目の修理が間に合わないところで帰って来た後の晩ご飯の時に判明した。
「だって俺らの手が早くなっても、ツミキさんの指示はどんどん出てくるし……」
「何なら指示出しに重きを置いて自分の作業は手加減してたんだなって……」
「これが経験の差かーって今更ながら実感したっていうか……」
「あぁなるほど。まぁ一応これで生計立ててましたからね」
どうやらレベルの差を実感したって事だったようだ。それはそうだよ。むしろ実質素人からここまで、実質1ヵ月ぐらいで作業できるようになった方がすごいんだけどな。というのはちゃんと伝えておく。
それに、自分の作業は手加減してた、と彼らは言うが、私は出来そうな作業はどんどん任せているからな。私自身の作業はむしろ減っていっている。つまり彼らの作業が増えてるって事であり、それでタイムが縮んでるって言うのは間違いなく成長だ。
この分なら、今ある比較的難易度の低い図面の家なら割とすぐ任せられるようになるだろう。それこそ、王子様が装備を更新するこの何日かの終わり頃には。
「実質的に一番難しいのは、図面という名の指示書無しでややこしい損傷に対応する時ですからね。存分に経験を積んで下さい」
「そう言えば今工一さんの図面あるんだった」
「え、あれ難易度低い建物ばっかりだったの?」
「難易度は低いですよ。だって一度も電気も配管も触ってないじゃないですか」
「あぁそう言われれば……」
「床とか壁の穴塞ぐのがほとんどだと思ったら」
だから私も遠慮なく仕事を振れるんだが。ギリギリ日曜大工でも出来なくはない範囲だからな。資格的な意味で。
まぁ流石に今の段階で資格を取って貰う事は不可能だろうから、そういう対処が必要な部分は私か工一さんが動くしかない。だから最終的に、工一さんが図面という名の指示書を作って、私が資格が必要な部分を担当し、それ以外の場所を他の人がやる、って形になるだろう。
その前に、ちゃんとした資格を持った人が増えればそれが一番いいんだけどな。世界がひっくり返った以上は資格の有無よりも経験の多寡が重視されるだろうが、一応人が住んでもらう予定なんだ。その辺はちゃんとしておいた方がいいだろう。
「それに、ここからは一気に人数が増える予定ですからね。急いで住む場所を増やしていかないと、ちょっと部屋が足りなくなる可能性も高いですし」
「そう言われればそうだった」
「あれ、それじゃもう引っ越しの準備はしておいた方がいい?」
「いえ、まだ水道と電気が復活してませんし、そこにダメージが行っている家が無いとも限りませんからね。流石にうちにある発電機と浄水機だけでここら辺一体をカバーするのは無理がありますし」
「それはそう」
「水と電気は必要だよなー」
だから王子様が、モンスターの魔法核の入手量を増やそうとしたんだろうけど。だって宇宙人の技術の、発電機と浄水機があったからな。それも数無制限で。
あれがあれば、建物が並んでいる所も普通に人が住めるようになる。もちろんその数は相応に必要だろうし、1つ1つも決して安くはないが、手が届かないって訳でもないぐらいだったから。




