121.交換優先度
まぁでも周りの建物を修理するのは続けた方が良いな。って事で就寝し、翌日、転移2ヵ月2日目。
「コウカンデキルイチラン、トドイタ」
「ありがとうございます」
朝ご飯の時にキウリさんが声をかけてくれたので、工一さんと王子様、以外にも人を集めて一覧を開いた結果。
「おいこれ人が入ってるんだが?」
「[しかも思ったより人数が多いな……]」
「あの、その「交換可能な人間」の下に、何か時間制限っぽい表示があるんですけど……?」
「まず救助だ、異論ねぇな!?」
「[そうだな。人命は優先するべきだろう]」
「緋朱の鱗で足りますかね、これ」
工一さんと王子様の言う通り、そこそこの人数の「人間」が含まれていて、まず彼らを交換という形で救助する事にした。ここも現実になったからの変化かな。普通の人も交換対象になっていたから。いやまぁ人数はパワーなんだけど。
なお王子様がキウリさんに確認を取っていたんだが、どうやら以前の襲撃を綺麗に返り討ちにした事で、宇宙人の冷静な人達はこっちに相応の武力がある事を認識したようだ。
武力があるという事は自衛できるという事であり、「保護」の理由が薄い。なおかつその時、モンスターの魔法核や素材も一緒に持って行って貰った事から、「取引相手」としてみなされているらしい。
「……なるほど。つまり、勝手に生き延びてくれそうな上に相応の「利益」があるとみなされ、それこそ「交換材料」として人間を生きたまま確保するようになった、と」
「[商人の発想だな。それも足元を見る類の]」
「それなりに腹は立つが、それでも俺らでは間に合わなかった範囲まである意味救助してくれるんだから、助かる人数は増えてるのが……」
ほんと全力で協力してくれるキウリさんの(人間基準の)善良さがすごいんだよなぁ……。
まぁでもそれならそれで、本体さえ傷つけなければ襲って来た宇宙人は全力で返り討ちにしていいんだな、と、探索組の人達は物騒な理解をしていたし、それで大体間違ってないんだけどな。それはそう。
という事で緋朱の鱗、だけでなく、山積みになっているマルティヤとダギアンの魔法核もある程度放出して、とりあえず交換できる一覧に並んでいる人間を全員交換してもらう事にした。まぁその内また増えてるだろうから、毎朝確認する必要はあるだろうが。
「ん? キウリさん、この「チェンジポート」って何ですか?」
「ベンリナドウグ。コウカン、イツデモデキルヤツ」
「コンテナで来るよりこっちの方がいいんじゃねぇか?」
「[キウリは他にも色々やるべき事があるからな。こちらで出来るならそれに越した事は無いだろう]」
「……キウリ、イラナイ?」
「キウリさんにしか出来ない事が多すぎて大変だと思うから、楽してほしいなって事です」
「キヅカイダッタ。ニンゲンヤサシイ……」
キウリさん、主に仕事関係で配慮するとちょいちょい社畜系の闇が見える気がするんだが、気のせいだろうか。宇宙人にも社畜がいるとか思いたくないのもあるけど。
「チェンジポート」自体はそこそこお高かったんだが、キウリさん曰く、1回交換したら後はずっと使えるらしいので、出来るだけ細かく人間を救助したいこちらとしては、早めに設置するに越した事はない、って結論になった。
幸いというべきか、今は毎日ダギアンかマルティヤの襲撃があるし、ボロボロの剣の回収をするのに一回り大きいやつを倒す事になるし、周りの建物の修理をするとモンスターが寄って来る。少なくとも、魔法核の入手には困らない。
「[だがこの分だと、魔法核がいくらあっても足らんな。クイチ、図面があったら修理の指揮をとれる人間は他にいないのか]」
「一応は専門技能だからむしろそう簡単にできる事じゃねぇんだよ。1人作業に特化してんのに他人に指示出しも出来るツミキさんが規格外に優秀なんだ」
「まぁまぁ。人が増えたら工務店とかリフォーム経験のある人が増えるかもしれませんし、作業を続けたら指示を受けている人も色々覚えてくれるでしょうから、今は育成の時ですよ」
まぁ王子様はその消費量を見て、モンスターを倒す量を増やす目的で修理を加速させたかったようだが、ちょっと人員が足りないんだよな。こればっかりは仕方ないんだが。
というか王子様も王子様で、修理した建物が増えるとその分結界の魔道具が必要になる訳だが、そっちは大丈夫なんだろうか。確か、装備の更新も実質1人でやってる筈だろ。
「というか、そういうリットさんこそ過労気味になってる気がするんですが。滅茶苦茶働いてますよね? 主に魔法って言う技術に関する事で」
「……そういや結界の魔道具作って全員分の武器更新して、何なら魔法で防衛戦参加してるな?」
こら。目を逸らすな。自分を労われ。




