107.保管に必要なもの
転移1ヵ月26日目。
「なんか変な夢を見た気がする……」
ひいてはぐっすり眠った気がしない。かといって悪夢だったかと言われると困るぐらいの微妙さ加減だな。しかもあのボロボロの剣に関する事だった気がするし、もしかして回収できなかったのが思った以上に気になってたのか?
でも鞘を作って最低限でもあのボロボロの剣が満足する「質」に届く為には、それこそアルラウネの蔦木材ぐらいしかない。少なくとも現状では。雑魚は当然として中ボス程度でもまだ格が足りない。
何しろアルラウネ、リリーローズ・アルラウネっていうのは、あれでもボスだったからだ。それと同格の素材ともなれば、当然ボス素材になる。
「もちろんもっと厄介な奴がたくさん出てくるようになれば話は別だろうけど、蛇が5匹のダギアンとか、歯が2重になったばかりのマルティヤとかじゃ足りないんだよなぁ……」
「ツミキさーん、今日も襲撃です! 今日はダギアンです!」
「はーい。分かりました、行きまーす」
すっかり緊張感が欠けた声掛けだが、まぁもう襲撃が始まって5日目だからな。しかも完封できているしお肉がたくさん食べれるようになっている。余裕も出てくるだろう。
王子様と工一さんの探索状況は分からないが、順調という言葉が私の想定と同じであれば、今日あたりに中ボスその1との戦闘になる筈だ。2つの群れの縄張り争いにおいて、ある程度の範囲の指揮を執る、まぁ、小隊長的な奴との戦闘だな。
2つの群れで3体ずついる訳だが、最後の1体はどちらかを殴るともう1体が乱入してくるので、結局2体同時に相手をする事になる。厳しいが仕方ないな。一応、それをどうにかできる程度の装備は持っている筈だし。
「さて。とりあえず昨日と同じだけ回収したら、あとは鞘作りだな」
……夢に見る程気になるのなら、とりあえず回収できるだけ回収してしまえば良いのでは? って何かが囁いている気もするんだが、それは出来ないんだよな。残念ながら。
いっそ地下倉庫に桐箪笥を並べてそこに入れておこうかとも思ったんだが、それで解決するのは収納スペース的問題であって、速やかに鞘を作らなければいけない問題は何も解決してないんだよ。そしてより問題なのはそっちだ。
それこそボスであるマンティコアとオルトロスの毛皮であれば、それをなめしたものを良い感じの大きさに切って袋にするだけで鞘になるだろうけど、あいつらの毛皮は装備素材に使う予定だしな。やっぱり性能が良いから。
「回収したい気持ちはあるんだけどな。一応。鞘が無い状態で放置しておいたら、あんな威圧みたいなものを向けてくる以上はどんな影響がどこに出るか分からないし。ボロボロ状態で放置した、って事で家を呪われても困るし」
という事で、今日も24本だけ回収して鞘作りをする事にした。まぁ、24本でも十分多いと言えば多いんだ。そろそろ私の部屋に2つ追加した桐箪笥も一杯になるし、この辺で満足しておこう。
しかし桐箪笥がいっぱいになったらどこに置いておこうかな。いや候補は地下倉庫しかないんだけど。何か入れ物に入れておいた方が修復が早くなった筈だから、出来れば何かに入れておきたいんだよな。
かといって桐箪笥がそんなに数がある訳でもないし、そもそも出し入れする訳ではない(スマホで修復進捗は見れる)から、桐箪笥である必要が無いんだよな。
「……作るか、アルラウネ木材で、重ねて保管できる剣ケース……」
家具が無いなら作ってしまえばいいよね。だって元々そういう仕事をしていたし、そういうゲームだったし。正攻法である。
それに、中に敷くぐらいだったら中ボスの毛皮でも大丈夫だろうし。ちゃんと自分で仕留めた分は回収して解体機に放り込んでいるから、ちゃんと使える形で地下倉庫に入ってるし。
アルラウネ木材自体は、その、壁の強化にはちょっと届かないかな? ってぐらいの量があるからなぁ。剣ケースの百ぐらいは作ってしまっても、まぁ問題無いだろう。
「剣ケースと言っても、そこそこ深さを持たせれば普通に漫画ケースとかの大きさになるしな」
よし、そうしよう。
まぁ今日は寝るし、明日だな。明日も襲撃があるだろうけど、それの当番をしながら回収もお休みして剣ケースの作成だ。回収の再開はその後だ。




