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セブンイレブンのとみ田の冷やし中華をよく食べます
卓弥はかつて学校だった建物の屋上でボーっと空を眺めていた。
風はさほど感じないのに見上げれば雲が異様に早く流れる。
ここまで登れば下界に漂う死臭もいくらか軽減される。
ましてや学校は休みの期間に入っていたので死体はほとんど転がっていない。
もしかしてこの地球上で生きているのは自分だけだと錯覚する。
そんなことはない、そんなことはあってはならない。だとしたら自分は死ぬしかないではないか。
「五十嵐さん……」
そう呟いた自分が恥ずかしくなった。しかし、周りに、少なくとも半径一キロくらいのところには誰もいないではないか。
「五十嵐さーん!」
今度は叫んでみた。
車で町の外に出る。そんなことは浅草がそうなった時点ですぐに考えた。
いいアイデアだと思う。しかし14歳の自分が車を果たして運転できるのか。
街はひどく臭っていた。卓弥はなるべく息を吸わないようにして、パーカーのポケットからすばやく防臭マスクを取り出すと口を覆った。右顎の部分にある小さなスイッチを押すとブーンと小さくモーター音が鳴る。
出てくる前にUSBコードで充電してきたから8時間は持つはずだ。
マスクは無人となった南千住の現場労働者向きのショップから失敬したものだった。その他にも軍手やロープなど、とりあえずこれからの生活に必要そうなものを数々調達させてもらった。




