第63話 決戦!艦隊戦!
「艦隊をもっと広げろ!
白い奴からの攻撃は、ミサイルで対処すればいい!」
艦隊戦は始まった。
大統領の息子であるレンブレスを射殺した後、この行為が大統領命令であることを話し、混乱を納めた。
実の息子の犠牲を前提の作戦を考えるなど、普通のものならできないことだ。
だが、大統領はそれを許可し、この作戦を出してきた。
「アジカ艦長!正面の宇宙船に主砲が効きません!」
『こちらのミサイル攻撃もだ!どうなっている!』
「もしかして、『シールド』持ちか?」
『シールド』持ち、それは、現在の人類系統の最高峰である連邦の軍隊でも、落とすことができないもの。
何より、連邦の研究機関でも解析ができていないらしい。
『シールドシステム』はまさに、我々にとってのオーバーテクノロジーだったか。
『くそっ!『シールド』持ちなら、いくら攻撃しても無駄じゃねぇか!
おい!攻撃対象を『シールド』持ちから白い奴に変更だ!』
味方艦との通信をオープンにして、艦隊戦を始めたが、現状は芳しくない。
時折……。
『こちらも白い……!!』
「グレーズ、爆散!これで、味方は残り七隻です!」
これだ、『シールド』持ちを盾にして白い奴が攻撃をしてくる。
この命中精度、ビームの威力、何より、貫通力があるためミサイルで防御することができない!
撤退も考えるが、レンブレスを殺めているのだ。
もはや逃げ場などない!
このまま撤退したところで、大統領から罪をなすりつけられて処刑されるだけだ。
そして、悲劇の大統領が人々の支持を集める……。
「くそ!逃げ場なしか!
艦隊を広げろ!白い宇宙戦艦に攻撃を集中させろ!」
「は、はい!」
部下に大声で指示を出すが、ここまで来たらもう覚悟を決めるしかない!
「全艦攻撃をしながら全速前進!
敵に近づけるだけ近づいて、攻撃の威力を上げる!」
「りょ、了解!ブースター起動!全速力!」
特攻だ!!
▽ ▽
「フッ、私たちの星の宇宙戦艦を甘く見ないでほしいわね。
近頃ロールアウトしたばかりの最新鋭艦なんだから!」
シュレナさんが、胸を張り自慢するように自分が乗ってきた白い宇宙戦艦を褒めている。
確かに、攻撃の主体であるビームは宇宙船『アーサー』を盾にしているとは思えないような精密攻撃だ。
確実に、敵艦にあたり爆散させている。
『また一隻、爆散しました!』
「いい?遠慮せずに撃ち続けなさい!
一隻たりとも逃がすんじゃないわよ!」
『了解しました、シュレナ様!』
これが、オープン通信というやつだ。
戦闘中は、他の艦と連絡をとりながら戦うのが基本だそうだ。
そのため、連絡ミスや確認ミスをなくすように、こうして味方同士で通信をオープンにして戦うのだと。
艦隊戦なんてしたことないし、そもそも運搬屋の俺たちには、縁の無い出来事だ。
本来なら、こんな戦闘はないように運搬するだけだからな。
だから、戦闘の指揮をシュレナさんに任せている。
俺は、艦長席に座ったまま、コーヒーを飲んでいた。
目の前では、モニターに注視しながら、自分の宇宙戦艦へ指示を出すシュレナさんがいる。
「……なんだか、生き生きしているな」
『それだけ、修羅場を乗り越えているのだと思います、マスター』
「俺には、縁のない話だよ……」
それにしても、衝撃だった。
連中、自分たちの上の存在である大統領の息子を撃ち殺すなんてな……。
しかも、俺たちの目の前で……。
これ絶対、夢に出てきそうだ。
『マスター、コーヒーのお代わりはいかがですか?』
「……飴か何かないかな?
コーヒーばかり飲んでて、お腹がタプタプだよ」
『では、食堂で、何か軽くつまめるものを作ってきますね』
「ああ、お願い……」
そう言うと、カレンはブリッジを出ていった。
俺がモニターを眺めていると、敵艦隊に動きがある。
全艦がブースターを噴射しているみたいなのだ。
そこに、気づいた時、シュレナさんたちの方にも動きがあった。
『シュレナ様、敵前進を始めました!』
「特攻をかける気ね?キルカ、ゆっくり後退させながら攻撃を続けて!
エヴァさん、私の宇宙戦艦に合わせて、この船の後退をお願いできる?」
エヴァは、シュレナさんにお願いされると、一度俺を見た。
俺が頷くと、エヴァはシュレナのお願いを了承する。
『了解!宇宙船『アーサー』は、白い宇宙戦艦に合わせて後退します!』
「ありがとう!
キルカ、ミサイル攻撃を始めて!」
『了解です、シュレナ様!』
後退しながらも、攻撃の手を緩めない。
しかし、敵の速度の方が上のようで、迫ってくることに変わりはなかった。
『敵戦艦、二隻爆散!残り三隻!』
「……粘るわね、やはりそんな簡単に沈まないか……。
キルカ!例のあの兵器を使いなさい!ちょうどいい的もあるしね!」
例の兵器?何だろう……。
どんな兵器なんだろうか?
『いいんですか?こんなところで披露して!
次の式典の目玉だったんじゃ……』
「いいのよ!兵器なんてものは、使わなきゃ意味なんてないんだから!
ほら!すぐに用意して!ターゲットロック!」
『わ、分かりました!』
モニターの前にいる通信相手のキルカという男性に、シュレナさんが指示を出している。
キルカさんは、慌てて周りにいる乗組員の人達へ指示を出した。
『ビームショット展開急いで!
羽根は広げるだけでいいから!エネルギー充填始めて!』
「さあ、新兵器のお披露目よ!
加藤さん?記録、お願いできるかしら?」
艦長席で、モニターを眺めながら見ているだけの俺に、シュレナさんがお願いしてくる。どうやら、新兵器の記録を撮りたいらしい。
多分、会話の中にあった式典とやらで記録した映像を流すのだろう。
「オリビア、映像の記録、お願いできるか?」
『できますわよ、マスター。
これから使う兵器の映像と敵にあたる映像、後は全体の映像でいいのかしら?』
「ええ、それでお願い」
『了解しましたわ、映像記録、開始しますわ』
満面の笑みで、モニターを見るシュレナさん。
何というか、先を見ている行動は、さすが商人と言わざるを得ない。
『シュレナ様、準備完了!』
「よし、ターゲット、ロック開始!
標的は、前方の赤い奴と黒い奴二隻の計三隻!」
『…………ターゲット、ロック完了!』
「てっ!!」
『撃てっ!!』
すると、モニターの中で、白い宇宙船から『アーサー』を避けた扇状にビームが発射される!
そして、目の前に映る敵艦の三隻へ向けて、発射されたビームが曲がり直撃をくらわせた!
『全ビーム命中!』
『黒い敵戦艦二隻、爆散!』
『赤い敵艦で、誘爆が起きています!』
「……チッ、赤い奴はすぐに爆散しなかったか。
さすがは旗艦、といったところね。でも……」
目の前では、赤い宇宙戦艦の内部で誘爆が起きていることが分かるほど、あちこちから爆発している。
そして、今、ブリッジであろう場所が内部から爆発!
その爆発の後、二秒とかからずに赤い宇宙戦艦は爆散した……。




