第51話 終結、そして…
今回は短めです。
避難民のいるコロニーの宇宙港に無理やり止めて、例の宇宙船を接収すると息巻いている大臣を、何とか止めようとしていた時、通信士のもとに緊急の連絡が入った。
連邦政府の軍隊、『緑の部隊』がこのくだらない戦争に介入してきたのだ。
『緑の部隊』は温和だと、クリス連邦大使から聞いていたが、出現してすぐに戦闘に介入してくるとは……。
「何故連邦政府の軍が介入してくるのじゃ?!
惑星政府の政治に介入しないとの約束は、どうなっておるのじゃ!!」
「大臣、連邦法第244条ですよ。
『シールドシステム』を搭載した宇宙船の接収は、連邦法違反です!
あなたが違反したんですよ!」
「何じゃと!
……ええい、言い争っている場合ではないわ!
月の『レレン』にいる大統領に連絡じゃ!すぐに連邦政府に軍を引き上げるように……」
焦るように、通信士へ叫ぶ大臣だが、時すでに遅く通信士から絶望的なことを告げられる。
「た、大変です!月『レレン』が『緑の部隊』に占領されました!
他の宙域でも、次々と投降、敗走が始まっています!」
大臣が目を見開き、息が止まったかのように驚いていた。
「……バ、バカな……連邦の軍は、ここまで早いのか……?」
そこへ、この宇宙戦艦の艦長であるヒルスという男が、ブリッジに入ってきた。
後ろに憲兵の二人の男を連れて。
「ジェガット大臣、連邦法違反の罪で拘束する。
のちに、『緑の部隊』へ引き渡しも連絡してある」
「な、何を言っている?
儂を拘束などできるものか!儂は現政府の大臣じゃぞ!」
その時、通信士の男が、ゆっくりと立ち上がり、大臣の方を向いた。
その通信士の顔は、青ざめている。
「……『緑の部隊』による、現政府軍、および反抗勢力軍の鎮圧が完了したそうです。惑星『シンガー』の戦争は、終結宣言が出されました……」
その通信士の言葉に、ブリッジにいた誰もが驚き隠せなかった。
大臣もまた、膝から崩れ落ちている。
「う、嘘じゃ……。
『緑の部隊』が現れてから、まだ30分もたっておらんのじゃぞ……?」
その大臣の呟きに、ヒルス艦長も信じられない、という言葉をのみこんだ。
いや、誰しもが信じられなかっただろう。
私が、会議室からこっちに戻ってきて、大臣を何とか説得しようとしても聞き入れてもらえなかった。
それからすぐに、連邦政府の『緑の部隊』の登場だ。
大臣も焦って対応を何とかしようと、大統領と協議しようとしている間に次々と戦闘宙域は静かになり、現政府軍の基地となっていた月の『レレイ』が占領。
その報告に驚いている間に、すべての戦闘宙域が鎮圧され、現政府も反勢力も降伏したようだ……。
ここまで、出現からわずか30分の間の出来事だ。
連邦の軍は、化け物なのか……?
私は、押し黙ったブリッジで、冷や汗が止まらなかった……。
▽ ▽
「大使!クリス大使!通信が入っています!」
これから惑星『シンガー』へ避難民を救出するために出発する宇宙船を見送ろうとしたとき、私のもとへ職員が知らせてくれる。
どうやら、通信の相手は『緑の部隊』の代表のようだ。
すぐに、見送りを中止し、宇宙港の中にある通信室へ入り、映像を繋いだ。
すると、そこには金髪のロングのストレートの女性が、連邦の部隊別の制服を着ていた。
風をイメージした緑のコートを着ている。
「連邦大使、惑星『シンガー』担当のクリスです。
『緑の部隊』の人ですね?初めまして」
『初めまして、『緑の部隊』キッシンジャー隊所属のエリシャです。
今回の惑星『シンガー』の戦争鎮圧が終了したことをお伝えするために通信しております』
さすが、連邦の部隊だ。
来てすぐに鎮圧するとは……。
「ご苦労様でした。
この後は、どうするように命令が出ていますか?」
『この後は、クリス大使の指示のもと、戦後処理と避難民救出のお手伝いをするようにと、命令が出ています。
それと、救援要請にあった現政府の大臣及び、大統領の拘束も完了しました。
この者たちはどういたしましょうか?』
すごいな、すでに政府の上の連中を拘束しているとは……。
「その者たちは、月の『レレイ』にある基地の牢に入れておいてください。
避難民の救出や、戦後処理が終わり次第、処分を考えます」
『了解しました!』
「エリシャさん、あなたの階級は?」
『ハッ!今回の部隊の全体の責任者である大部隊長を襲名しております』
「では、派遣されてきた『緑の部隊』の責任者というわけですね?」
『ハッ!そうなります!』
……きれいな敬礼をする人だな。
それに、今回初めて責任者になった、というわけでもなさそうだ……。
「では、これから短い間ですが、よろしくお願いします」
『よろしくお願いします!』
そう言うと、通信が切れた。
さて、まずは避難民のことから始めますか!
▽ ▽
シールドを張って、宇宙船『アーサー』に引きこもっていたら、いつの間にか戦争が終わっていた。
連邦の軍隊である、『緑の部隊』が出現すると、あっという間に現政府軍も反勢力軍も、鎮圧され、現政府の大臣たちは拘束され戦争終結である。
「……あっさり終わったな」
ブリッジの艦長席で、俺が呟くとカレンが答えてくれる。
『連邦の色付きの軍隊は、精鋭ぞろいですからね。
本気で対処すれば、こんなものでしょう』
それが、すごいんだけどな。
長いことドンパチ争っていた戦争が、ものの30分で終結。
ハッキリ言って、ギャグである。
「連邦の軍隊が、これほど強いってことは、あの『青の部隊』もかなり強いんかな?」
『先ほども言いましたが、色付きの部隊は精鋭ぞろいです。
どこが一番強いか分かりませんが、この宇宙を現在支配している連邦の力ですからね。ケタが違うということでしょう』
……でもまあ、これで、堂々と移動することができる。
こんなところで足止めをくらったが、ナンシー班長に連絡して、次の依頼だ。
俺たちは、宇宙を飛び回る運搬業なんだからな……。
今回で終わりではありません。
まだまだ続いて行きます!




