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冷林ぬいぐるみ騒動3

 「誰にも見られずに最上階のビップルームへ行けって事だな……。」

 「……この時間は酔ったお客さんが自分の宿泊場所に戻っていく時間帯ですね……。どうしましょう?」


 「そうなんだよなあ……。冷林が酒に酔ったって事にして多少みられても大丈夫なようにするって手もあるが……冷林が酒を飲むのかもわからねぇし、だいたい、こいつは寝るのか?私生活はまるで謎だ……。」

 リュウとタニは何の考えもなしにとりあえず従業員用廊下を困り果てながら歩いた。


 こっそり従業員用の階段を上っていた時、少女に声をかけられた。


 「ん?あれ?お兄さんとさっき会った女の子じゃないですか!やっと見つけました!こんなとこで何してんですか?」

 「うっ……。」

 少女は先程タニが会ったあの少女だった。階段の下からタニ達を見上げ声をかけている。


 「あ、あなたはっ!さっきこのぬいぐるみをくれた……。って、あの、このぬいぐるみ、ぬいぐるみじゃないんですよ!あなたの物だって言っていましたけど……。」


 タニは先程の会話を思い出し、少女に向けて必死で言い放った。あまりに必死過ぎて完璧に他の神々に見られないように冷林を上階に連れていくというお願いを忘れていた。


 「おい、ちょっとお前……。」

 リュウは青い顔でタニを見ていたがタニは少女に冷林を思い切り見せていた。


 「この方、北の冷林さんなんですよ!」

 「はい、知ってますよ。先程、お渡ししたのはもしかしたら本物の冷林さんだったかもしれないって思ってあなたを探してたんですよ!私のはこっちのぬいぐるみ版の冷林さんで……。」

 少女はリュウが抱いている冷林とまったく同じ冷林ぬいぐるみを見せた。


 「うっ!?」

 リュウとタニが同時に変な声を漏らした。


 ……少しでも疑いたかったがやっぱり……こいつは北の冷林!

 リュウは自分が持っている冷林に冷や汗をかいた。


 「それで……あの……冷林さん全く動いてないですけど大丈夫なんですかね?」

 少女はリュウが抱いている冷林の雰囲気のおかしさに気がついた。


 リュウとタニはほぼ同時に顔から血の気がなくなった。


 「え、えっと……だ……ダイジョウブダヨ!ハハッ!……ほら、な?」

 リュウが声を高くして冷林の手を人工的に動かした。


 「……冷林はしゃべらないんだけど……」

 少女は怪しんでいる顔でリュウを見た。少女は冷林を気絶させてリュウ達が何かをしようとしていると思っているらしい。


 「ちょ、ちょっと目が回っちゃっているみたいで……。」

 タニは慌てて冷林の顔を見せる。冷林の顔だと思われる部分は渦巻模様がついている。


 「冷林はそういう顔(?)なんですが……。」

 少女の顔はだんだんと険しくなってきた。タニもリュウも何も思いつかず息を飲むしかできなかった。

 言い訳を一生懸命に考えていると階段の上の方から何やら音が聞こえた。

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